学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

やっぱり絵を見たい

2020-04-11 19:28:00 | その他
晴れのちくもり。芝ざくら咲けり。

美術館で絵を楽しむ。こんな日常のことが、いかに幸せなことだったのか、を感じる今日この頃。新型肺炎の広がりは未だ止む気配なし。一刻も早い収束を心から願います。

このところ、休日は自宅で軽く体を動かしつつ、読書をする生活が続いています。幸い、家の床には多くの本が積んであるので、この機会に読み進めている次第です。最近読んでいるのは、会田雄次さんの『アーロン収容所』(中公文庫)、梯久美子さんの『散るぞ悲しき硫黄島総指揮官・栗林忠道』(新潮社)、石牟礼道子さんの『苦海浄土 全三部』(藤原書店)など。どれも面白すぎて止まらず、午後11時以降の読書は禁止することにしています。美術書も読みたいのですが、図版を見ると美術館に行きたい欲求が高まりすぎるのでちょっと敬遠ぎみ。やっぱり本物の絵を見たい。

本物、といえば、間近にあるのは、自分が勤める美術館の収蔵品です。いつも観ているから、なんてどうしても思いがちですが、美術館の事業自体が中止になっていくなかで、収蔵庫で絵をじっくり見る時間が取れるようになりました。絵の表面をながめて、細かいところを見てゆく。これまで気が付かなかった色と色との重なりや、絵の具の盛り上がり、微妙な筆のあと…知っているようで知らない。灯台下暗し。学芸員冥利に尽きます。新型肺炎の広がりが落ち着くまで、いろいろな勉強をして、その後の仕事に反映できるだけの力を付けておきたい、と思うのでした。