学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

水戸芸術館「ハロー・ワールド」展

2018-02-14 23:00:12 | 展覧会感想
現代美術は難しい。どうも、一般的にそう思われていることが多いよう。作品が何を意味しているのか、素材は何でできているのか、何のために制作したのか、など、疑問を持たれがちです。私自身、今でこそ全く抵抗はありませんが、本格的に美術を勉強する前までは、正直なところ、ちんぷんかんぷんなところもありました。

先日、茨城県の水戸市にある水戸芸術館へ出掛け、「ハロー・ワールド」展を見てきました。芸術はいわば「危険早期発見装置」である、をキーワードに、作品を通して、我々の文明に対する批評や弱点、危険性の提示するという内容です。この展覧会、現代美術に抵抗のない私でも、なかなか難しかった(笑)哲学書を読み込むときのように、作品を理解するために一つ一つ集中して作品と接する。今日の最低限の社会問題を知っていれば、より作品から引き出されてくるものを感じることができます。

私にとっては、レイチェル・マクリーンの映像作品《大切なのは中身》が最も良かった。まず、主題がかなりわかりやすいし、脱スマホを心掛けている今の私の生活ともリンクするところがあって、自分と作品との距離感が近いと感じたためです。

同展は、アートの役割を考えるため、難解ではあるものの、一石を投じる内容であると思いましたし、さらに我々の文明に対して問題を提示するものとして、非常に重要な展覧会ではないかと思います。

※受付で配布される展示室の図面と作家紹介の文章が、難解であろう作品を理解するための手助けをしてくれます。