学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

『風が強く吹いている』を読む

2016-03-05 22:38:59 | 読書感想
春の風に鼻をくすぐられる感じだったのに、今日は泉のようにこんこんと鼻水が湧いてくる。今年もきちんと花粉症になったらしい。

三浦しをんさんの『風が強く吹いている』を読み終えた。マラソン経験のほとんどない大学生10名が、箱根駅伝で頂点を目指すというストーリー。彼らは突如として降って湧いた箱根駅伝の話に、当初は反発を繰り返しながらも、徐々に心がひとつにまとまっていく。

私の人生において、ひとつの目標に向かい、全員の力がひとつになるという運動部の経験はあまりない。中学校は文化部だから無縁だし、高校の弓道部では、みんなの心はバラバラのまま、たいして実績も残せずに引退してしまった。その程度の経験なので、本を読んで思ったことは、なんて熱くて若い美しい話なんだということだった。特に、神童(登場人物のひとり)が激走した場面では不覚にも涙が出そうになった。

私と箱根駅伝との距離はこれまで遠いものだった。宮城県の育ちのせいか、舞台となる首都圏にはまず縁がないし、陸上競技にもさほど関心がなかったからである。しかし、この本を読んで距離が縮まった。箱根駅伝は1月に終わったばかりだが、来年はぜひ見てみたい。

ちなみに、本の装幀に使われている絵は山口晃さんによるもの。本の内容は、その絵によって全て語られている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする