学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

ゴーゴリ『馬車』

2009-08-27 18:23:13 | 読書感想
『馬車』は、ロシアの作家ゴーゴリ(1809~1852)が27歳のときに書いた小品です。ゴーゴリといえば『鼻』、『外套』が知られていますね。私も以前読んだことがあり、再び読み直そうと本棚に向かったところが、見当たらず。どうも売ってしまったらしい…。

『馬車』は元騎兵連隊勤務のチェルトクーツキイが、連隊のお偉方に立派な馬車を見せること、午餐に招待することを約束します。約束の後、チェルトクーツキイはすぐに帰るつもりでしたが、場の流れでお酒をたらふく飲んでしまいます。酔っ払った彼…翌朝の約束は一体どうするのでしょう?というお話。

とても滑稽な小説です。難しい顔して、額にしわを寄せながら読むこと無しに、ただ純粋に笑いを提供してくれます。これはお酒を飲みすぎて失敗する話(そもそも約束自体が間違っていたのですが)でもありますが、お酒の飲みすぎにはご用心。そう、私(笑)

ちなみに、後に「新しいゴーゴリの誕生」と言われるドストエフスキーはこのとき14歳。ゴーゴリとは13歳の年齢差ですね。文学にしろ、芸術にしろ、皆こうしたつながりを持っているわけで、それを見てゆくことは私にとって楽しいことなのです。

●『肖像画・馬車』(平井肇訳 岩波文庫 1935年)