細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『花の生涯/梅蘭芳』女形と男形のかなわぬ恋の果て。

2009年01月14日 | Weblog
●1月13日(火)12-30 六本木<アスミックエース試写室>
M-003 『花の生涯/梅蘭芳』Forever Enthralled (2008) 中国
監督/チェン・カイコー 主演/レオン・ライ ★★★☆☆☆
チェン監督としては、93年の『さらば、わが愛』以来の京劇をテーマにしたラブストーリー。
しかも今回は実在の女形スターだった<メイ・ラン・ファン>の生涯を描いているので、ひとつの中国近代京劇史としても興味深い。
とくに日中戦争を背景にして、日本軍が上海に侵攻した際に、彼の舞台を再演しようとする軋轢がドラマのサスペンスとなっている。
トリュフォーの『終電車』や、アルトマンの『今宵、フィッツジェラルド劇場で』に描かれたように、舞台芸術は多くの戦渦を潜って、より強い芸術性を鍛えて来たが、この京劇の舞台も同様な試練に直面する。
しかし、監督はあくまで梅欄芳の温厚な人格をそのままドラマの風格として維持して、非常にストイックで、流麗でセンチメンタルなメロドラマとして描いている。
古風だがこの繊細さも、得難い。

●3月7日より、新宿ピカデリーなどでロードショー

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