細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『スノーピアサー』はアメイジングな脱出サバイバル・ゲーム列車。

2013年11月26日 | Weblog

11月22日(金)13-00 六本木<シネマートB1試写室>

M-148『スノーピアサー』Snowpiercer (2013) CJ entertainment / union investment partners 韓、米

監督・ポン・ジュノ 主演・クリス・エヴァンス <125分> 配給・ビターズエンド ★★★☆☆

地球温暖化防止策が失敗して、氷河期を迎えてしまった近未来の2031年。一面の白銀の世界を疾走する列車が舞台だ。

高度の技術で開発された列車<スノーピアサー>の車両は、後部車両にはホームレスのような下層階級の人間たちが詰め込まれていた。

これはその監獄のようなスペースからの必死の逃亡、あのシナトラのナチスからの「脱走特急」みたいな設定のハード・アクションかと咄嗟に感じた。

ところが次元はまったく違っていたのだ。だって、あの「グエムル」や「母なる証明」のポン・ジュノ監督の最新作である。

ただの脱走アクションじゃないだろう、とは思っていたが、とんでもない意外な映像遊戯の異常な展開が待っていたのだ。

最後部車両の監房セクションのクリスは、仲間たちとどうにか前部車両へと脱出を試みるが、情報通のジョン・ハートの知恵で成功した。

兵士たちのよって管理されている前部車両のティルダ・スウィントン総理は凄腕で、このガードも強靭だが、ひとつずつ勝利していく。

なるほど。この作品は、かなりの難易度のPCゲームの世界なのだ。同じ列車で外は厳寒の地獄なので、とにかく目前の敵を負かすしかない。

その異様な状況が、前の車両に進行するたびに、世界は激変していくのだ。植物園や保育園もあればディスコ車両もあったりして、それは玉手箱。

おそらくポン監督は、この制約された極限のなかで、人間はどのように思考して、戦うのか。その究極の課題を突きつけて行く。

少しずつ前方の車両に行くに従って、資本主義社会の構造のような別世界が前方に開けて行くのは、アミューズメント・ワールド。

フランスのコミックをベースにしたという<ノアの箱船>は、ノンストップで異次元に突入していく。その映画的な意外性は飽きさせない。

まるでエンキ・ビラルの地下隔離世界だった「バンカーパレス・ホテル」(84)のように、この天国の地獄は、壮絶なラストを迎える。

 

■左中間を割るロングヒットで、余裕のツーベース。

●2014年2月7日より、TOHOシネマズ六本木ヒルズなどでロードショー 


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