細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『ホットロード』は一種のタイムスリップものなのか。

2014年06月25日 | Weblog

6月19日(木)13-00 築地<松竹映画本社3F試写室>

M-066『ホットロード』Hot Road (2014) 松竹映画・日本テレビ・レブロエンターテイメント

監督・三木孝浩 主演・能年玲奈 <122分> 配給・松竹 ★★★

少女コミックの世界では、1986年から圧倒的な人気を持つストーリーの映画化で、ある意味では神話化されたバイブル。な、そうだ。

われわれ高齢者世代には、石原慎太郎の青春小説「太陽の季節」が、あの湘南海岸を舞台にした「太陽族」が原点だったが、それは遠い昔話。

いまの湘南海岸で車の整備店に勤務する登坂広臣は、夜のオートバイ・ライダー仲間ではリーダー格だが、ある夜、家出同然の少女と知り合う。

少女は14歳で万引きで警察に保護されたが、身請けに来なかった母親が、父親の死後は若い男性とつきあっていて、家族は崩壊状態だという。

自分は望まれて生まれて来たわけではない、というトラウマから、彼女は奔放な行動を重ねてトラブルを起こして、ライダー青年と知り合う、という発端。

あとはご存知にような、暴走族グループの抗争を背景に、このはみ出した孤独な二人の心は、歪ながらも傷だらけな接近を重ねて行く。

ありがちな青春ドラマの展開を、まばゆい湘南海岸を背景にして、唐突に格言を吐く。しかしもっとスピーディで新鮮な映画展開を見せる、と思ったが、なぜかこの映画はエンジンがかからない。

まるでスイーツの広告コマーシャルのような、美しくて甘いシーンを見せるのだが、そのドラマの方はさっぱり拍車がかからないままに2時間が過ぎてしまった。

男性化粧品「タクティクス」がロングショットで、まるでコマーシャルのように画面に出してるのは、80年代を強調したかったのだろうか。

おそらく、多くの「ホットロード」ファンの若者たちは、このエピソードは熟知しているのだろうが、映画的なアクセントが、平板なままなのには、かなり退屈。

スカウトされたというヒロインには、それなりに新鮮さはあっても、演技面をカバーしたような心象風景をやたらとCM感覚でインサートするせいか、テンポが緩慢なのだった。

ま、多くの「ホットロード」マニアのお若い人々に、作品の評価はお任せするしかない。

 

■ファールで粘ってのフルカウントから、平凡なレフトフライ

●8月16日より、松竹系ロードショー 


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