大会録

ホノマラの人々の大会の感想など

CCC 2019 完走記 あとがき(もり)

2019-09-16 19:23:55 | UTMB
以下、装備等の記録・感想を本当に雑多に記します。


①装備

・必携品(揃えるの大変でした。お金…。)
ザック…サロモンADV SKIN 8(本当は容量10Lは欲しかったんだけど、全然合うサイズがなくて止む無く8Lのウィメンズモデル。ポケットも多いし、揺れないし、とても使いやすかった。ザックは同じサロモンを使っている選手が一番多かった。)
ビーカー…200mLの小さい水筒(寒かった時に温かい飲み物入れられるかな?と他の人のブログを参考にした。結局、ほとんど使わなかった。)
ライト…Black Diamond Spot 325ルーメンのやつ(New)と、250ルーメンのやつ(信越の時から値段は同じでパワーアップしてる!と思い同じモデルをもう一つ買う。確かに明るいし軽いけど、説明書に記載の点灯持続時間は嘘。一晩で必ず1回は電池交換必要です。)
レイン上…モンベル トレントフライヤー(ストライクトレイルフーディは薄くて心配だったので、GOREにしました。出番なし)
レイン下…TNF ストライクトレイルパンツ(出番なし)
レギンス…ミズノのあたたかいタイツ(出番なし)
キャップ…レイドライト ひらひら付き(途中で落とす)
セカンドレイヤー…パタゴニア キャプリーン・クール・ライトウェイト(これだけで夜も寒いってほどじゃなかったし、日が昇ってからも脱ぐほど暑くならなかった!生地が薄くてやわらかくてとてもよい~)
防水グローブ…サロモン BONATTI WP MITTEN (ミトンタイプの薄いけど完全防水のやつ。悪天時は更に下にモンベルの薄手のグローブを装着する予定だった。出番なし)

・寒い時用
サードレイヤー…パタゴニア キャプリーンサーマルウェイト(うすいけど裏地がふわふわで、速乾性もあってよさそう。出番なし)

・他
ポール…SINANO

結果:
天気がよくて気温も低くならなかったので、レインウェア上下、あたたかいミッドレイヤー、あたたかいタイツ、わざわざ現地調達したビーニーは一切使わず、結果ただの重りになってしまった(笑)
でもコンディション悪かったら、完走できてなかったし、本当によかったと思う。
装備は寒かった時のこと考えて、慎重に、ケチらず選んだので、今回使わなかったものも今後活用したい(´;ω;`)!


②補給


持ち物:()は実際食べたもの。
 山より団子×1(食べず)
 エネモチ×2(0.5個)
 えいようかんシリーズ×3(2個)
 アスリチューン×7(4-5個)
 マグオン×1(1個)
 塩タブ(DNSイオンチャージ)(5粒くらい)

エイド:
食べ物は、結構いろいろ置いてくれていた。パン、チーズ、サラミ、チョコ、パウンドケーキ、ビスケット、ドライフルーツ…充実してはいた。
けど、疲れた身体でも食べたいって思えるものは、個人的にはなくて、結局バナナ、オレンジばっかり食べていた。
やっぱり、日本の大会の方が食べ物も飲み物も口には合っていた。蕎麦、おにぎり、カレーとか、食べたくなるんだよなぁ。
こればかりは仕方ないし、CCCはドロップもないので、自分が食べたいものは、背負っていくしかないかと…。
飲み物は、スポドリは絶望的にまずかった。コーラや温かい飲み物も毎回のようにおいていた。
(エイドの中身は関係ないけど、サポートしてくれる人たちがみんな温かかった!
どんなに変な時間でも、必ずハイテンションで迎えてくれて、本当に元気づけられた!
ホスピタリティ◎)

結果:
信越五岳110kmの時は、ジェルを10kmに1つで、ずっと食べ続けられたけど、
飛騨高山100kmでは、後半ジェルすら食べたくなくなったことから、あえて固形食を多めに背負っていったけど、
結局後半は、餅(エネモチ、山より団子)を食べる余裕はなかった(´;ω;`)
ジェルはアスリチューン中心で、エイド間で余裕のあるタイミングで食べるって感じで、後半まで食べれたので、持っててよかった!

中でもよかったのは、ようかん系!【井村屋のえいようかんシリーズ】は1個で200kcal前後摂れてとてもエネパがよいし、負担にならない(^o^)
最後のフードエイドでも、抹茶チョコようかんは、抹茶が爽やか美味しく食べれました(^o^)

(反省:
100kmだから前半食べれていれば、後半の補給は適当でも、身体は動くことはなんとなく分かっていたので、そんなに無理して食べることもなかったけど、
もっと距離と時間が長かったら、そうも言ってられないんだろうな…
疲れてきてからも食べれる補給食を見つけるか、食べるトレーニングをするかは、依然必要がありそう。)


③コース(総括)

コースはこれまでで一番厳しいものだったけど、それ以上に景色が最高で、変にテクニカルなところはなくて、素晴らしいコースだったと思います。
途中しんどくもなったけど、幸い完全に潰れることもなく、わりと終わった瞬間にすぐ美化されました。
つらかったところばかり書いてしまったけど、ちゃんと楽しかったです(笑)
走力がある人たちにとっては、もう最高に楽しいと思う、そんなコースです。



感想


行くまでは、結果はどうなろうとこれで一区切り、人生そろそろ現実見よとか
終わったあとすぐは、だいたいMont Blanc周りの雰囲気は分かったし、他の国のいろんな山も見たいな、とか
それぞれホントで、そう思う自分も居るのですが、

CCCを完走こそしたものの、全然練習もできていなかったし、レースの中身もほんと情けなくなるような
ポンコツそのものだったなぁって、完走したときは満足だったんだけど、振りかえると悔しくて…

何より、トップランナーや、TDS、PTL、UTMBといったもっと過酷なレースを走りぬいた人たちが、めちゃくちゃかっこよくて、素敵すぎて…

最終日UTMBとPTLをゴールする人達を応援していたのですが、
ゴールした瞬間感涙する人(素敵すぎ)、仲間に迎えられてみんなでゴールする人(これすっごい楽しそう)、
待っていた子供と手をつないでゴールする人(これほんと尊かった)、誇らしげに国旗を掲げてゴールする人、ふらふらになりながらも力をふりしぼり走り切る人…
ひとりひとりいろんなドラマがあって、みんな誇りをもって走っていて、とても感動的でした…

そして、国や順位、時間帯に関係なく、街にいる人みんなが、大会に関わる人みんなが、熱い称賛を送り続ける、
この雰囲気はさすが世界最大のレースであり、間違いなく世界最高で…

帰るころには結局、
「いかなる形であれ、また違った形でUTMBに参加したい!シャモニーに戻ってきたい!!」と思うに至るのでした。
仲間とグループで来てみたいな~とか、思ったけど、
UTMBのレースは、まずエントリー資格を得る(保つ)のも大変だし、エントリーできても倍率は高いし、
参加申し込み者の増加に伴い、仕組みも年々変わってるし…で
「行きたいときに、行きたい人と、行けること」が本当に難しいのです。
今回、私は「資格あるし、相方について行くならついでに走れないかな?」とふらっと申し込んで当たったわけですが、
ものすごく幸運だったことを実感しました(しかも、なかなかないであろう絶好の天気)。

本当に贅沢で、夢のような時間、光景、体験でした。

次、シャモニーをUTMBで訪れるのは、何年先か、仲間と一緒か、家族と一緒か、どんな形になるか分かりませんが、
可能であれば私自身も走って参加したいし、そのためにもこの先も走り続けたいと思うのでした。
年1くらいで100km前後のレース走って、エントリー資格維持するくらいはしないとな…
今回のたくさんの反省点を踏まえつつ、多分これからもスピードを追及することはせず、
もっと余裕をもって、より楽しんで走れるようになることを目標に、のんびりトレランを続けたいな!!

CCC 2019 完走記 本番編 (もり)

2019-09-16 18:57:16 | UTMB
前日
※レース前後は相方と被るので、詳しくはそちらをご参照ください(笑)
レース前日の朝にジュネーブ国際空港に着き、9時過ぎにはシャモニー入りできていたと思う。
現地は日が高くないうちは天気が良くても、とても涼しかったけど、
昼前に受付が終わったころには強烈な日差しでかなり暑さを感じた。

受付で、ザック、レイン上、エマージェンシーシート、最少1Lのドリンク、…抜き打ちでいろいろチェックされる。
昨年MCCでは、水はあとで買おうと思ってて、受付で持ってなくて買いにもどったけど、
今回も頭を完全に覆える暖かい帽子だけは必携品の中で見落としてて(寒い時キットだと思ってた)、
結局TNFの灰色ビーニーを現地調達(´・ω・`)

お昼はお米が食べたくて日本料理店で、サーモン丼を食べ、
午後はブースを見たり応援したりして、
夕飯もやっぱりお米が食べたくてSushiをテイクアウトしてお宿へ。

飛行機で座りっぱなしで浮腫みがひどかったのと、一日外にいたのとで、足の疲労感が結構あった。
まだ明るい19時台には寝た。

当日
スタートまで
5:00ごろ起床→6:30ごろ宿発。
朝ごはん:α米おにぎり×2、バナナ×1、どらやき×1、オレンジジュース
シャモニーからはスタート地点のクールマイヨールまで無料バスが出ている。
所要時間は40分強くらいで、7:00頃発のバスに乗った。
それほど寒くないこともあって(~15℃くらい?)周りの選手の多くはすでに走る格好で、荷物も少なかった。
(注)バスはなぜかスタート・荷物預け地点から1kmくらい離れたところに到着するので、スタート地点までは歩いて移動することになる。
スタートエリアは選手以外入れないようにゼッケンをチェックされる。
モコモコに着こんで大きなリュックごと移動していた私は、スタートエリアで「Runner only」って追い返されそうになった。おこ…(´・ω・`)
9:00と9:30のウェーブスタートがあることは、他の人のブログで知っていて、
私は遅いからと勝手に9:30スタートだと思っていたら、なぜか3000番台は9:00スタートということで、なんと第1ウェーブ。
Bib番号は、速さやITRAポイントとは関係ないみたい??
15分前くらいに列に並び、曲が流れ、ドローンが飛び、盛り上がる。

あれ?もう9時なのにスタートしないんだけどwwさすがここはイタリア、時間にルーズだなぁとか思っていると、突如カウントダウンが始まり1分遅れでスタート(^o^)丿


Courmayeur(スタート)~Bertone 13.5km 1448m+ 3:06:59 (3:40) ※以下()内は目標タイム
私は登りで早々に歩き始めたが、第1ウェーブということもあってか、周りは速い人たちばかりで、
あっという間に置いて行かれ、本当にビリケツの3人組くらいになって、ちょっと寂しかった。
1時間も経たないくらい、山に入り斜面が急になってきたころに、後続の速い人たちに追いつかれ抜かされ始める。(ここから最後の区間まではほぼ抜かされっぱなし。)
それでも登りは急がないと決めていたので、のんびりマイペースに、登っては譲り、登っては譲りを繰り返していた。
速い人たちをやり過ごすたびにビリケツ仲間のおばさんと再会しては、目を合わせてニヤニヤしていた(笑)

天気は最高、景色も最高、テンション上がる(^o^)丿
一気に1400m以上登るヤバイ区間だったけど、さすがに一発目なのでまだまだ元気に上り切った。
下りになった途端、周りがガンガン飛ばす。緩い下りと平地を頑張る作戦だったが、足とお腹を温存したかったので、ゆっくり走った。
かなりのんびりのつもりだったけど、予定より30分以上速くて、周りの速さにつられてしまっているな、と思う。



Bertone~Arnouvaz 26km 1879m+ 5:36:35 (06:05)
この区間はとにかく景色がよかった!

モンブランをのぞみながら、気持ちよく走れる区間。
つらくなかったからこそ、あまり記憶のない区間(笑)

貴重な走れる区間だったが、想定よりペースが速めだったこともあり、後々のお腹と足へのダメージにつながらないよう、慎重に走っていた。
ただ、周りのランナーは、ガンガンとばす。
だだっ広く走れるというよりは、シングルトラック率が高かったので(←コース全体にいえること!)、
安全に抜いてもらうために止まってよけるのが大変だった。
抜いてもらうことには一切抵抗はないのだけど、ゆっくりマイペース走り続けたいだけで、止まりたくはないのに・・・と少しヤキモキする。
とかく私が遅いのがいけないわけですが(´;ω;`)もっと頑丈な足だったらなぁ…


Arnouvaz~La Fouly 40km 2705m+ 09:16:55(09:26)
イタリアとスイスの国境にあるフェレ峠を越える区間で、2つ目のピーク。
まだまだ元気と思いきや、この登り、かなりの急登で、胃と呼吸がしんどくなり始める。
登りはゆっくり、下りと平地で走り、心拍数を同じくらいにする…という気持ちでしたが、
この区間の登りでは、すでに心肺に疲れが出ており全然ダメでした…。練習不足だなぁ。
無理すると気持ち悪くなりそうな感じもしたので、途中岩場に座って短く休みを何度か取りました。
登りはつらかったけど、景色はすばらしかったよ…
途中、日本の人のお兄さんと出会い、頂上まであとどのくらいですかね~~と尋ねると、
GPSウォッチをみて、あと120mくらいですね!と教えてもらい、元気が出る。
やっぱりGPSあると、山でも今どのあたりにいるか分かるのは、とてもよいな~と思う。
実際に間もなくして山頂が見えて、到着。

山頂、風強いし、よぼよぼだしで、適当にしか写真取れず。
お兄さん、30kmってこんな長かったでしたっけ?とか言いつつ下りになった途端かっ飛ばしていく、つよい。

ここからは20kmほどの長い下り、ここで飛ばすと足とお腹がやられるとは聞いていたけど、登りでだいぶ時間ロスしたし頑張らなきゃ。
でも、結構急な下りで、うまく走れない。

途中La Peulaのウォーターエイド、牛がいっぱいいてスイスっぽい、アルプスっぽい。
次のエイドLa Foulyまで半分くらい下った?意外といいペース?って思ったけど、半分ではなさそうで、エイドまでは思ったりよりもかかった。
前の区間までは予定より30分以上速めのペースだったのに、10分くらいしか余裕がなくなっていて、のんびり行き過ぎたな…と思う。


La Fouly~Champex-Lac
54km 3282m+ 12:20:00 (12:26)
ここからも下りが続く。あんまり細かくは覚えていないけど、途中山道から、少し舗装された道も走った。
走る前に痛めていた、右ハムと左膝内側は、走り出したらそれほど支障なかった。
一方で、長い下りのダメージか、この辺りから、下りで右膝内側が明らかに痛み始める。
走れないほどの痛みではないが、先も長いのでポールをつかって気持ち優しい接地を心がける…無理だけど。
さらに、内臓も疲れ始めてきて、胃が痛くなったり、脇腹が痛くなったり、下腹部が痛くなったり…けど、ゆっくりを心がけていたおかげか、そんなにひどくはならなかった。

途中、嫌な予感がして道端の仮設トイレに入ったら、生理ちゃんが来ていた。
おいおい…さすがに今じゃないやろ感。
信越の時もドンピシャだったし、私の生理ちゃんはお山が好きらしい…。(擬人化することで愛着?がもてるようになったので、小山健さん感謝。)
結局、身体も今はそれどころじゃないと認識したようで事なきを得ました。(えらいよ、生理ちゃん。)

シャンペ前後の登りがレース中で一番精神的にも肉体的にもきつかった。
長い下りで、ゆっくりではあったけどずっと動き続けていたから足も心肺も疲弊していて、登りで全然足が進まないし、フェレ峠以上にすぐに息が苦しくなってしまう。
途中から暗くなりヘッドライトをつけたり、つけ直したりするのを口実にして、ちょこちょこ止まってしまうようになった。

久々かつCCCでは最大のエイドであるシャンペにたどり着くも、ヘトヘトだし、
時間も予定ピッタリくらいで、まだ先は長いのに貯金を使ってしまったことに焦る。
ランナーとサポーターでごった返して、ゆったりできる感じじゃなかったし、なぜか着いた途端に鼻血が出てきたし、もうなんなんだ~~(´;ω;`)
フェレ峠とシャンペまでの登りがきつすぎて、このレベルの登りあと3回って、つらすぎて絶対無理だって思った。
そこで、スタート後数時間の相方につらい旨をLINEするも、無理しないでね。なんて言ってもらえるはずもなく、


あんまり食欲はないけどフルーツやらリンゴジュレやらちびちびつまみ食い。
噂に聞いていた麺入りスープをもらってみたけど、フォークとか持ってきてないから食べられない!
助けを求めようかなと思うけど、鼻血ティッシュ状態で情けなさすぎて、スープだけ飲んで諦めるって感じで、全然うまく補給できなくて、さらに焦る。
時間ないしとにかく出るしかないって思い、エイドを出る。
◎割りばしでもなんでも持っておくことをオススメする◎


Champex-Lac~Trient
70km 4349m+ 17:17:12 (17:19)
日も暮れたし、山頂付近は寒いかな、と薄い長袖ベースレイヤーを着た。
シャンペ出てからしばらくは、シャンペ湖の近くの舗装された道を走りを交えて早歩きする。
あまり食欲はなかったけど、この辺りから水をたくさん飲めるようになる。
前半のエイドでフラスクに足したスポドリがまずすぎて、途中からは捨てて、基本水だけ飲んで、エイドごとに塩タブをかじるようにしていた。
ここの登りが一番しんどかった。全然前に進まなかった。途中、多いときは10分に一回くらい道端に座って息を整えないとしんどかった。
止まっては星がたくさんの夜空を見上げて、眠気ではないけど、なんだかぼーっとしていた。

長い長い登り、まだこの先も登るのに、今こんなんじゃ、もうダメなんじゃ…。完走できないこと、リタイヤすることを考え始めて、つらくなる。
相方も頑張ってるのに、せっかく一緒に来れたのだから、2人で完走したい。
私のせいで、素晴らしい思い出に、ほろ苦い要素を余計に添えたくない。
2人で完走出来たら、どんなに嬉しいだろうか。

そんなことばっか考えながらようやく登りきって時計をみると、予想に反して、ほぼ予定通りの時間で来れていた。
ここはみんなが苦しむところなんだ。まだ諦めちゃいけないんだ、と思う。

下りは結構走りやすい道が続き、幸い足が動き、呼吸も登りと比べて楽なので、飛ばせて、ちょいちょい抜かす。
途中、下を見ると明るい大きな建物があって、こんな夜中にすごく盛り上がっているエイドだ、とすぐ分かった。
けど、あまりに遠くに感じて、まさか次のトリエントだとは認識できなかった。
橋?みたいなの渡ってから、めっちゃくちゃ急で走れたもんじゃない階段続きの急下りになって、ようやく、あそこまで降りるんだと絶望した。
さっきまで気持ちよい下りだったのに、足が死ぬじゃないか…本当にドSコースだなと思う。
相方と後で話したけど、UTMBではそんな急な階段はなかったという話で、実はここら辺ちょっとコースが違ったのかも???


Trient~Vallorcine
83km 5186m+ 20:56:16 (20:57)
また急登。だけど、さっきほどしんどくなく、ゆっくりだけど歩き続けることができるようになる…!
前区間の下りも割と気持ちよく来れたし、ここでウルトラ特有の復活を感じる。
つらくても復活を信じて進み続けるしかないんだよね!気持ちも元気になり、だいぶ楽になる。
それでも長い登りで、少し胃が気持ち悪くなりそうだったので、慎重に、たまに休みつつ進む。
この区間は、ずっと先の登りまで続くヘッドライトの光の列が遠くに見えて、絶望する一方で、これが噂の…!とちょっとわくわくする。
ヘッドライトの光の列が星空に登っていく、なかなかきれい?だし、面白い光景でした。
森の中からだんだん開けた草原風になっていくと、静かな中にカウベルの音が聞こえる。
人がいる!チェックポイントが近いのかな…?と期待したけど、放牧されている本物の牛だった。
勝手にがっかりするけど、明るいライトでチラチラ照らされて、こんな夜中に起こされて困っているのは牛かもしれない。
山頂ちょっと手前にチェックポイントがあり、テントと焚火があった。寒くは感じなかったけど、焚火の周りで少し休んで出発。
山頂までは、遠く感じた。

バロシーヌまでの下りは、途中から大きな岩がごろっごろした、広い道路みたいな感じで、そこまで急下りじゃないけど、私には走りにくかった。
なかなか、下りも走らせてくれないな…と焦るも、この区間もほぼ予定通りの時間で着く。
ペースは遅くなっているけど、完走した人みんなもそうだったんだ。
となんとかなる気がしてくるが、これは油断しすぎなのでした…。


Vallorcine~La Flegere
93km 24:56:18 (24:28)
最後の登り!山に入るまでは、かなり緩やかな登りで、せっせと早歩きできた。
途中で日が昇った。
距離にして3-4km、標高にして1/3弱に見える1つ目のチェックポイントにはあっさりと着いた。
しかし、ここからの登りは急で、なかなかいい感じの道だが、まぁまぁきつい。

完走はできると思い込んでいるので、岩場でたまに座って休みつつ、いい景色だなー風が気持ちいいなーとかのんきに考えていた。

そろそろ着くかな~あそこら辺が頂上かな?と思って着いたら、まだ先があった。
あの先かな?と思ったらまた違った。
山に隠れた雲がチェックポイントのテントに見えて、今度こそあれかな?と思ったけど、着いてみたらまた違って、
ようやくずーっと先にチェックポイントのテントが見えたころには予定してた時間を過ぎてしまっていた。
さすがにちょっと焦るけど、登りで急げるほど余裕はなかった。

日が高くなり、暑くなるけど、朦朧としていたシャンペからの登りで、
ベルトにくくりつけてた、レイドライトのお気に入りのサハラキャップを落としてしまっていた。(結構ショック!)
日差しが強く、夜が明けてからゴールまででかなり日に焼けてしまった。

頂上について、最後のエイドまで急ぐぞ!!!と思うけど、意外と単調な下りではなく、走りづらい。
全く焦ってないマイペースランナー(多分9:30スタートの12:00ゴールでいい人たち。私は9:00スタートの11:30ゴール)の層が厚くて、
みんな全然走ってくれないし、シングルトラックだから抜かせない。
どんどん時間がなくなっていく…やばいやばいやばい。(めちゃめちゃ焦)
最後の最後で抜いて、ラストのエイドを完全にスルーして飛び出したのが、9:56とか。
◎最後の登りは長いし、フェイクが多いので油断禁物◎


La Flegere~Chamonix (ゴール) 101km 26:03:55(26:00)
結局11:30までの1時間半で8km走らないといけなくなり、そんなペースでこれまで一度も走れたことないし、
下りも急で全然走れないことばかりだったのに大丈夫なのかと
ガチで焦るが、ここまで24時間超やってきたことを絶対無駄にはできない…

最後だし、どうなってもいい!って気持ちで飛ばす。
焦りすぎて、初っ端道を間違えてゲレンデを下り降りてしまうも、
後ろのランナーが気づいて叫んで教えてくれた。
もし教えてくれなくて、ここで道に迷ってたら、絶対にゴールできてなかった...感謝しかない。

周りはゆっくりなランナーが多く、かなり抜かした。
不思議なことに、ずっと痛みを感じていた右膝も痛みを全く感じず。アドレナリン効果なのか。
シャモニーからのハイカーの声援を受けながら、シャモニーの街を見下ろしながら、下り続ける。
結局、この区間がレース中で一番速いペースだった(笑)
だけど、決してまだまだ余力が残っていた訳ではなく、下りきって、まだ30分強時間が残っていることに気づくと、
一気にしんどくなって、たくさんの人が応援してくれる中、ゴール直前までは歩いてしまった。弱すぎ。
本当にウルトラは、気持ちの問題だなと思う。

ゴールの瞬間は、心底ほっとしたし、嬉しかった。
もし待ってくれている人がいたら絶対泣いてた(´;ω;`)

走った直後の身体の状態は史上最高にやばくて、足と腕はどこを触っても痛くて、1時間ぐらい動きたくなくて、日陰で転がっていた。
※でもその後の回復は意外と早くて、幸い怪我もなかった(´▽`)

日差しが強くて、とってもいい天気だった。
ニューハレのテーピングの跡がくっきり日焼けしてしまって可笑しいことになっていたけど、この夏全然焼けてなかったから、勲章だな!と少し嬉しかったり。

CCC 2019 完走記 まえがき(もり)

2019-09-16 18:43:07 | UTMB
ホノマラ7年目の森です。
今回、CCC® を完走したので投稿します。

CCCとは??
UTMBのコース後半を走る 101km 6100D+のレースです。(ざっくり)
https://utmbmontblanc.com/jp/page/21/21.html
Courmayeur→Champex-Lac→Chamonixの頭文字)

※UTMBは、モンブランの周りをぐるっと一周する…。

経緯
相方が昨年に引き続きUTMBにエントリーするとのことで、
昨年2018年に信越五岳110kmを完走していたおかげで、ITRAポイントもあったことと、
日程的にもUTMBと近く、社会人1年目で長く休めるか分からないけど、あわよくば一緒に行って、一緒に走れるかな?と
軽い気持ちでポチったところ、(倍率3.5倍?くらいだったらしいけど)当選(^o^)/

距離こそ経験あるもの、累積標高差がこれまでの比じゃない(信越は110km4670mD+)
嶮峻な5つの山を越えるという、私にとっては激やばコースなのでした。



練習

4月 141.9km(FTR名栗短縮15km)
5月 152.3km(阿蘇ラウンドトレイルペーサー55km)
6月 139.5km(飛騨高山ウルトラマラソン100km)
7月 58.1km(北丹沢短縮32.5km)
8月 29km (CCC本番まで)

これは練習しないとやばいぞ、と思うも、仕事が始まり平日は疲れて走れず、
5月阿蘇ラウンドトレイルのペーサー(55kmくらい)あたりから、前々から長距離走ると左右問わず痛めることの多かった膝が気になり始めて、
6月の初のロード100km飛騨高山で、左膝内側を完全にやらかしてしまう(後半ほとんど歩いていたはずなのに(´;ω;`))。
その後は、一週間単位で完全休養しては、様子見で走って、まだ治っていない、を繰り返し…上記の通り月間走行距離もひどいもので、まともに長い距離を走る練習ができませんでした。
筋力や心肺機能が落ちるのが怖くて、階段を上ってみたり、週末は近くの山を20km前後トレッキングしたりはしたけど、明らかに筋肉も体力も落ちたと思う。
だんだん左膝よりも右ハムが痛むようになったけど、原因が分からなくて結局今も完全には治っていません。

そういうわけで、できることは情報収集しかありませんでした。
世界的に有名なレースとはいえ、まだまだ日本では情報が限られていて、一番参考になったのは実際に走った人たちのブログでした。
当日の様子や、装備のことなど、…調べれば調べるほど、難しいレースだと分かり、怖くて不安で仕方なかったけど、
その分ちゃんと装備は揃えたし、心構えができて、作戦も立てられて、逆に勇気づけられたりもして、本当に本当に助かりました。


この大会録の趣旨

多くのホノマラーにとっては、UTMBは関係のないレースで、そういう意味ではこの大会録の需要はないかもしれないけど、

自分にとっては、とても特別なレースになった、ということで記録に残したいという自己満足がひとつと、

もうひとつは、私自身がそうだったように、CCCを走ることになったけど、完走できるのか、不安に思うランナーの方に偶然見つけて読んでもらえた時に、(実際に役立つことはどれくらいあるか分からないし、むしろ真似しないでくださいって感じだけど…)
こんな人でも完走出来たんだと、少しでも勇気づけられたり、参考になること、完走したいとモチベーションになることが残せればいいなと

そういう思いで書いています(^o^)
大丈夫!!エントリーできたあなたは、完走できます!!!


目標
とにかく「完走」すること。
制限時間26時間半、目一杯つかって何とか完走しよう。

作戦
ペース配分は、昨年(やや天候崩れ、寒くてリタイヤ者もいたよう)の完走者のタイムを参考にしました。
25時間半~26時間半で完走した人のチェックポイント、エイドの通過時間の平均を割り出して、目標時間としました。
あまりに単純かな、と思っていましたが、実際だいたいペース通りになったので、自分の走力・完走時間に近い人のペース配分を参考にするのは悪くなかったと思います。
少なくとも関門時間は、前半ゆるくて、後半厳しくなるので、関門ギリギリに行くのはオススメできません。

走り方は、テクニカルなことは、本当にもっと練習したかったと走りながら何度も後悔しました。
楽な登り方、下り方、うまいポールの使い方…体得しておくことを強くおすすめします。
でも、これらは一朝一夕で身につかないし、私はまともに練習できない状態で、いろんな情報を頭でイメトレすることしかできませんでした。
ですが、いろんな方のブログを見ながら、多くの人が足や、特に胃をやられていて、とにかく序盤のオーバーペースには気をつけようと思いました。
ただでさえスピードのない私は、どこか悪くしてストップするようなことになったら、絶対完走できないと思ったからです。
ざっくりと、「登りは無理せず、下りと平地で極力走る。急な下りは無理しない。」ことで、登りと下りで負荷をできるだけ一定にする気持ちで走ることを作戦としました。(無理だけど。)

UTMB2019 完走記 後編(しの)

2019-09-05 20:49:26 | UTMB
UTMB2019大会録の後編です。前編はこちら

後編はUTMBを完走してから書いています。

〈結果〉
33:27:44
224位/2543人中 (日本人10位)

完走率 62%


後編では現地入りしてからの過ごし方やレースの模様について記録しておきます。




〈レース前日まで〉
8/28出国。成田からアブダビ経由でジュネーブまでエティハド航空で向かった。大会会場のシャモニーに最も近い空港はスイスのジュネーブ。そこから乗り合いバスに一時間ほど乗ってシャモニーに到着した。
到着したのは8/29朝。レースが30日なので前日に現地入りしたことになる。かなりタイトなスケジューリングではあった。
去年も観戦でシャモニーに来ているため、ある程度要領よく動けたから問題なかったけど、早めに現地入りして身体慣らしたりするのが理想だとは思う、そんなに時差ボケは感じなかったけど。

シャモニーの街は既にUTMB一色で町中がお祭りムードになっている。到着した日はグループレースのOCC(50km)が行われており、ゴールするランナーと応援する人たちで盛り上がっていた。

到着してまずは受付へ。受付会場はゴールゲートから少し離れたところにあるスポーツ施設のようなところ。シャモニーは第1回の冬季五輪の開催地でもありウインタースポーツの聖地なのでスポーツ施設が充実している気がする。
会場に入ると、ツアーの日本人が沢山受付に来ていた。UTMBに今年もたくさんの日本人が来ているみたいだけど、ツアーで来る人のが多いのかな。

パスポートを提示してゼッケンナンバーを告げると必携品のチェックリストを渡される。20弱ある必携品の項目のうち、リストにランダムで記載されている7つのチェックを受ける。
自分の場合、ザック、携帯電話、ライト2つと予備電池、レインジャケット(おそらくここまでは全員共通)、水分1L、帽子、ホイッスルをチェックされた。そんなにチェックは厳しくなかった。
チェックが終わると手首にリボンをつけられ、ザックにも変更できないようにタグが付けられる。
その後ゼッケンと参加賞のTシャツを受け取って受付完了。
混むときは一時間ほどかかるみたいだけど、スムーズにいき15分程で受付できた。

昼食は米が食べたかったので街中にある日本食レストランさつきへ。予約してる日本人がたくさんいた。

宿のチェックインまで時間があるので午後はOCCのゴールを見たりしながら過ごした。

夕飯をさきほどのさつきでテイクアウトしてから宿へ。

レースの装備を準備したりして早めに就寝した。


〈レース当日〉
朝は早めに起きてCCCのスタートに向かう相方を見送る。CCCはUTMBのグループレースの1つで距離は100km。クールマイヨール、シャンペ、シャモニーとそれぞれレースで通過する地名の頭文字をとってCCC。朝9時スタートだが、スタート地点はイタリア側のクールマイヨールなので送迎バスで移動する必要がある。
相方を見送り、バス停付近のパン屋で朝食を済ませる。

UTMBのスタートは18時なのでまだまだ時間があるが、体力を無駄に使いたくもないので宿で全力でだらだらした。昼食は持ってきていたアルファ米やインスタントの味噌汁をとった。

15:30戦闘準備。着替えて装備を整えてスタート地点へ。スタートは混雑するし山に入ってから狭い道を抜かしていくのは大変なのでなるべく前の方の位置に陣取るべく、16時過ぎにはスタートゲートに並ぶようにした。既に100~200人くらいは並んでいたと思う。
周りにも早くきた日本人が結構いたが、特に話すわけでもなくスタートまでぼーっとしていた。

〈レース〉

《スタート》
スタートゲートはシャモニー中心部の教会前広場にある。小さい広場におよそ2500人のランナーが集まる。2時間前に整列したのでスタートまで座って待っていた。


スタート前

スタート1時間前にはアナウンスが始まり、沿道には徐々に観客も集まりはじめる。
エリートランナーは並ばずに最前列からスタートができる。エリートランナーが現れるたびにアナウンスで紹介され盛り上がっていた。
スタート5分前にもなると会場の盛り上がりは最高潮になっていた。いよいよ始まる。興奮して叫んでいる人もいた。
2分前。UTMBのメインテーマであるconquest of paradiseが流れ始めた。レースのことを考えながら何度も聴いた曲だ。
感動して早くも泣きそうになった。涙はまだ出なかったが震えた。
周りのランナーも叫んだり、仲間と抱き合ったり、動画や写真を撮っていたりと各々高まっているようだった。スタート地点に立てる喜びを噛み締めているのはたぶんどのランナーも同じだ。
ここまで本当に長かった。
あとはこのレースを存分に楽しむだけだ。モンブランを1周してまたシャモニーに帰ってくる。きっとあっという間に終わってしまうんだろうな。
色々な感情がわき上がってくる。
気持ちを落ち着ける間もなくスタートの時間が迫ってきた。
conquest of paradiseが流れている中、Go!!!の合図と共にスタート。かなり前に並べたので、列が動き始めてすぐに走り始めることができた。沿道にはまさに十重二十重といった人がランナーを鼓舞している。店先やホテルの2階3階からも人が覗いていてAllez! Allez! と叫んでいた。こんなに応援の密度が濃いレースは初めてだ。スタートしてから数kmは人が途切れなかった。


《~St-Gervais サンジェルベ 21.5km 957m+》


最初の8kmレ・ズッシュの街までは高低図を見てもコース中唯一平坦に見える区間。細かいアップダウンはたまにあったが、概ね走りやすい林道を走る。とばしすぎないように意識的に抑えていたがそれでもキロ5ほどのスピードで走っていたようだ。
40分程でレ・ズッシュに到着。小さな街だったがたくさんの人がエイドで応援していた。序盤なので多くのランナーが素通りしていたが、水とコーラを一杯ずつもらってエイドを後にした。
レ・ズッシュを出ると最初の山。後半の山に比べたらそこまで大したことのない山だが、それでも1800mほどある。800m程登る。序盤なので周りのペースも早い気がしたが、抜かしたり抜かされたりするのに避けるのが面倒なので同じペースで登った。
下りが始まると次のエイド、サンジェルベまでは下りっぱなし。淡々と前のランナーに続いて下っていった。
多くのランナーが受付でゼッケンとは別にもらえる自分の国旗が書いてある札をザックにつけている。これをつけていると後ろから抜かすときにどこの国のランナーなのか分かるようになっている。周りには日本のランナーもちらほらいたがヨーロッパのランナーが圧倒的に多かった。みんなまだ元気なのか、話しかけてきてくれる外人のランナーが多かった。日本の話題だとみんな北海道でスキーしたことあるよみたいなのが多かった。トレランやってる人はスキーもやってる人多いなあと改めて思った。
サンジェルベの街はシャモニー並みに盛り上がっていた。スタートして20kmもたっているのに応援がすごい。エイドに入る前にエイドから出てきた鏑木さんとすれ違ったので、もしかして結構いいペースかな?と思った。
エイドではオレンジなどを少し食べた。気がする。

《~Chapieux シャピュー 50.6km 2900m+》


次のエイド、コンタミンまでは登り基調だが、所々走れる感じだった気がする。があまり覚えていない。。
コンタミンはサポート可能な最初のエイドで、たくさんのサポーターがランナーの到着を待っていた。エイドに着くと中に六花さんを発見したのでご挨拶。「しのらー来てたのか!めっちゃいいペースじゃん!」と励まされた?
他にも知ってる日本人の方を見かけたりして少しテンションあがりながらエイドを後にした。
そろそろ相方がCCC後半の山場であるシャンペ湖にたどりついた頃かなと思ってLINEを開くとやっぱりそうで、弱音を吐いていたので強気に行くように激励しておいた。確かこの時に初めて自分の順位を確認した。300位以内にいるのでまずまず予定通り。上位10%を目安目標にしていた(だいたい250位以内)のでこのままペースをキープしていけば目標圏内だと思っていた。
バルムを経てボンノム峠へ向かう。夜なのであまり印象にないが、山の上の方までヘッドライトの列が続いている様子が綺麗だった。日本のトレランにはあまりないこの長い登りで多くの日本人ランナーが苦戦するらしいが、事前に作っておいたタイムテーブルを見ながら登りがあと何分続くのかの目安を持って走っていたのであまり辛くなかった気がする。とはいってもこのセクションで結構抜かれたのでヨーロッパのランナー登り強いなぁと感じた。
淡々と下ってシャピューのエイドへ。シャピューでは装備品チェックがあった。サバイバルブランケットと携帯電話、レインジャケットをチェックされた。
前半のエイドでは必要な補給だけ済ませて滞在時間も最小限にした。エイドには水、コーラ、果物の他にチーズやサラミ、パウンドケーキやクッキーといったヨーロッパならではのものも多かった。日本のエイドには、あまりないので口に合わない人はジェル等の補給だけで済ますみたいだが、自分は携帯するジェルの量を最小限にしてエイドのものも色々摂取するようにしている。

《~Courmayeur クールマイヨール 81.3km 4728m+》


3つ目の大きな山であるセイニョー峠はフランスとイタリアの国境になっている。Col Seigne. Colは峠という意味。日本でも分水嶺が都道府県境になっているように、海外でも尾根が国境となっている。登り終えると舞台はイタリア。
この辺りで寒く感じたのでミッドレイヤーを上から羽織った。今年のUTMBはずっと天気に恵まれ、気温も暖かかったので、多くのランナーは終始半袖だったが、寒さに敏感な自分は少しでも涼しく感じたら上を着るようにしている。このあとさらに寒く感じたのでレインも羽織った。寒がりすぎる。。今年は寒い年ではなくて助かった。
少し下って登り返すとコース最高地点を通過する。そこから下ってコンバル湿原のエイドへ。


エイド(Lac-Combal)

明るいとアルプスが湖面に反射して絶景らしいのだが、夜なので何も見えない。その代わりこの湿原から見上げた星空はすごく綺麗だった。立ち止まって、ヘッドライトの明かりを消して、しばらく見上げていた。
ここから一山越えるとドロップバックを預けているクールマイヨールのエイド。
クールマイヨールの街に降りてくると、石畳の細い路地の如何にもヨーロッパといった道を走ってエイドへ。
クールマイヨールに着く頃には日がのぼり明るくなった。
大きな体育館のようなところがエイドになっていて、ドロップバックは入り口の手前にかけられていたので自分で取ってから中に入る。エイドでは靴下とシャツを着替えてジェルを入れ換えておにぎりとオレンジジュースを摂取した。預けておいたレッドブルをザックに入れて出発。レッドブルは後半のつらい時間に摂取する予定で日本から持ってきた(ふつうにこっちのスーパーにも売ってた)。事前にやることは決めていたので、エイドでだらだらすることなくスムーズに行動できたと思う。(記録を見たらしっかり30分も滞在してた。)


《~Arnouvaz アルヌーバ 98.6km 5956m+》


クールマイヨールのエイドを出てしばらくロードを登るとトレイルに入る。このあたりは前後に日本人がいてたまに話しながら登っていた。登り切るとベルトーネ小屋のエイド。エイドまで登ると目の前に突如としてアルプスの峰々が現れる。絶景だった。


ベルトーネ小屋まで登るとボナッティ小屋を経てアルヌーバまでは走れるトレイルが続く。そして左手にずっとモンブランをはじめとする山々を望みながら走れる絶景トレイル。適当に写真をとりながら走った。


《~Champex-lac シャンペ湖126.6km 7310m+》


アルヌーバを出ると、フェレ峠まで登り。フェレ峠に向かう途中でコース100km地点を通過した。100km6000m+を17時間台で走れていてまだまだ余裕もある。行ける。レース前はもしかしたらフェレ峠の登りから苦戦するかもしれないと想定していたこともあって、思いの外余裕なので、意気揚々と登った。
フェレ峠はイタリアとスイスの国境になっており、フェレ峠からシャンペの手前までは約20kmのダウンヒル。この下りを終えれば一気に距離も進みゴールが近づくと思っていたが、ここまでの下りで腹筋を酷使していたせいか、腹筋に力が入らず思うようにスピードを出せない。脇腹に差し込みが来た時の感覚に近いが、痛いのはその外側?もっと筋トレやっとくべきだったなあと少し後悔した。
シャンペ湖で126km地点。自己最長距離を越えた。因みに今までの最長距離は阿蘇ラウンドトレイルの121km。
ここから先は距離的にも未知の世界。コース的にもここからの3つの大きな山を越えなければならず、時間的にも日が沈み2晩目に突入するので眠くなったりと、とにかく勝負所と位置付けていた地点。勝負所といってもペースあげたりするわけではないけど、いかに我慢できるか。
なのでシャンペに到着する前にTwitterで日本から応援してくれてる方々から力をもらおうとツイートしました。多くの人がふぁぼってくれて有り難かったけど、リプで励まして欲しかった笑 リプくれた方は本当に力になりました、ありがとうございます。という感じでつらい時間帯はちょくちょくスマホで自分の順位を確認したりSNS見て紛らわす様にしてました。
シャンペのエイドをでて順位を確認すると250位以内に入っていた。そんなに抜かしてきた感覚はないけど、エイドを他の人より手早く済ませたり、途中リタイア者が順位のカウントから外れたりでじわじわと順位は上がっていた。このままいけば200位以内も可能ではと思い始めるが、裏腹に集中力が切れ始め、所々歩きの時間も増えてきた。



《~Vallorcine ヴァロシン 153.6km 9083m+》


シャンペから次のエイドのトリエントまで距離は約17km。エイド間の予想時間が1番長くなると想定していたセクション。このセクションから登りでも順位をあげられるようになった。一方下りは腹筋が痛くなってまともにスピードを出せなくなっていた。
シャンペから気合いを入れ直したのと、Twitter効果もあってか1番つらくなると予想していたセクションをなんとか乗り切ることができた。トリエント着が20時。ここからレースは2晩目に突入。持っていたWi-Fiの電池がここで切れてしまい相方に状況を報告出来なくなってしまった。連絡手段が途絶えたけど、おそらく察してくれて速報見てゴールで待ってくれているだろうとは思ってはいたが、なんとなく心細くなって精神的に一気につらくなった。もちろんTwitter効果ももう使えない。本当の勝負所はトリエントからだった。トリエントのエイドで思い出したように持ってきたレッドブルを注入した。
あと2山越えたらゴールだけど、2山なのに30kmも残ってるのかよというのが正直な感想だった。

次の山を越えるとスイスからフランスになる。登りはまだ元気が残っていて順位をあげることができるが、下りは腹筋痛くて歩きに近いペースしか出せなくなっていてその分順位を落とした。この山の下りくらいから、誰もいないのに後ろに気配を感じたり、一瞬木が人に見えたり、少し感覚がおかしくなってきた自覚があった。早くゴールしたくてしょうがなくなった。ヴァロシンのエイドではとにかくカフェインとって目を覚まさなきゃということしか考えてなかったが、今思えばガス欠に近い症状だった気がする。食事をしっかりとるべきだった。



《~Chamonix シャモニー 171.6km 10061m+》


ヴァロシンまでくると、大きな山は残すところあと1つ。La Tete Aux Vents.この山はひたすらつづら折りのごつごつした岩山で、ラスボスに相応しい。
似せピークがいくつもあって山頂かと思ったらまだ着かない。
永遠に終わらないんじゃないかと思うほど長かった。。
やっとのおもいで山頂に着くとLa Tete Aux Ventsの表示。これであとはゴールまで11km下るだけだ!
やっと登りが終わってもエイドまで3km下りが残っていてこの下りがまた長かった。早く終わって楽になりたい、そんな思いが頭を支配していた。
なんとか最終エイドのフレジェールに到着。エイドからシャモニーの街の明かりが見えていて綺麗だった気がする。あまり覚えてないけどコーラをがぶ飲みしてさっさと出たと思う。ここから先はシャモニーまで8km下りっぱなし。ポールをしまって予備のヘッドライトを手に持ち、スピードをあげる準備をした。もう腹筋も脚も残っていないけど、早く楽になりたい思いが勝ってスピードは上がった。
全身痛くてしょうがなかった。いいいいいいいって言いながら下った。
ラストは1km弱。トレイルが終わって街に出たところで相方が待ってくれていた。ほっとした。やっとゴールできる安堵。UTMBが終わってしまう実感がわいてきた。
ラストはゴールゲートのある教会前広場を目指して街中を走る。
街は昼間ほどの賑わいはないが、午前3時だというのにランナーを出迎えてくれるひとたちが結構いた。きっと自分の前後のランナーの帰りを待っている人たちなのだろう。みんな拍手や掛け声で讃えてくれていた。

ゴール目前にして、ほんとにここまでよくやったな、という思いが込み上げてきた。
4年間目標にしてきた夢の舞台。
走る前、この100マイルで起こったことを全て心に留めておきたい、記憶しておきたい、そう思っていた。
実際に走ってみると、興奮と感動と疲労の中をふわふわと漂うような気分というか、しっかり地に足ついていない感覚というか、そんな感覚の中を進んできたような気もする。
確かに言えることは、僕の初めての100マイルの旅は最高に過酷で楽しかったということだ。

Next Finisher is Naoya Shinohara!!! From Japan!!!

フランス語だったかもしれないが、そうアナウンスしていた気がする。
涙は出なかった。

ゴール!

33時間と27分44秒かけてモンブランの周りを一周してシャモニーに戻ってきた。
ゴール後は写真を撮ってもらった。
もう少し余韻に浸っていたかったが、早く休みたかった。

フィニッシャーベストを受け取って、ゴール会場の食事スペース(エイドのようなところ)でビールを受け取った。
その場で乾杯した。夜中の3時に、100マイル走ったあとに、久しぶりに飲むビールは神の味がした。(書きたいだけ笑)

汗も冷えて寒くなってきたところで重い足を引きずりながら宿に向かった。


〈レース翌日〉
仮眠をとって目覚めた翌日というか当日。まだ午前中だったので街に出て食事をすることに。
ゴール手前、コースのそばのレストランに入って応援しながら食事。ピザとハンバーガーを食べた。あとビールも。ここにきて初めてフランスっぽい食事をした。街にはまた賑わいが出てきて、ランナーが帰ってくるたびに街中の人々が歓声で出迎える。
今日はジュネーブの空港の近くまで戻って宿泊するので、荷物を取りに帰り、もう一度街中へ。

このお祭りも今日で終わりだ。UTMBの制限時間は46時間30分。午後4時30分に全日程が終了する。UTMBは最終ランナーまで大歓声で迎えられ惜しみない拍手が送られる。
午後4時頃、会場に向かうと、大会のクロージングセレモニーとUTMBの表彰式が行われていた。男子8位に入賞した小原さんが表彰台で笑顔だったのを見届けてシャモニーを後にした。

〈その翌日〉
行きと同じくジュネーブからアブダビ経由で成田へ。
UTMBを走った日本人や中国人がたくさん乗っていた。
機内でこの文章を書いています。
疲れているし駄文かもしれません、すみません。。



〈後語り〉

初100マイルはUTMBがいいと決めてから100マイラーになるのに4年かかってしまいました。国内の100マイルに出ていればもっと早くなれたと思います。けど僕は100マイラーになりたかったのではなく、UTMBのフィニッシャーになりたかった。それだけUTMBは大きい存在であり、憧れでした。
運営、大会の規模、応援、どれもが想像以上でした。世界最大のトレイルランの祭典。その花形であるメインレースのUTMBは誰もが主役になれる舞台だと思います。簡単にお勧めできるものではありませんが、トレイルランナーなら誰もが憧れるにふさわしいレースだと思います。


今年は天気に恵まれ、比較的暖かい気候の中での開催でした。例年の完走率が50〜60%とも言われていますが、今年は62%ありました。昼間は暑く熱中症でのリタイアが多く出たと聞いていますが、寒い方が苦手な自分にとっては追い風だったと言えます。


あとがきで書くのもアレですが、今回の目標設定としては、
A目標:作成したタイムチャート通りの完走=32時間以内の完走
B目標:出走者中上位10%以内でのゴール≒34時間前後での完走
C目標:35時間以内での完走
最低目標:制限時間内での完走=46時間30分以内での完走
という設定でした。結果的にB目標達成ということになりましたが、3ヶ月の突貫工事の結果としては満足していてうまく走れたと思っています。
初めての100マイルで再現性の高い走りができたのは、自分の力を適切に把握して段階目標を設定できたこと、タイムチャートと照らし合わせてレース中の自分の調子を客観的に(統計的に)把握できたことにあると思っています。

走る前はしばらくランはひと段落することになるかなと考えていたのですが、走り終わってみると、もっとうまく走れたなとか、今度はUTMBを30時間以内で走ってみたいとか色々と考えが巡るようになりました。
次の目標は、フルマラソンでもう一回記録出したいとか、トルデジアンかTJARかなとか色々考えていますが、またいつかシャモニーに戻ってきてこのレースを走りたい。
今回のUTMBの旅はゴールではなく、スタートになりそうです。



UTMB2019 完走記 前編(しの)

2019-08-26 16:19:05 | UTMB
ホノマラ7年の篠原です。

4年間目標にしてきたUTMBという大会に出場してきたので大会録に残そうと思います。
大会録を書くのは初フル以来ですね。当時の記録はこちら
基本的にフルマラソンを走ったりしている方向けに(ウルトラ)トレイルとはどんなものか覗くことができるように書いていますが、将来的に100マイルレースに挑戦する人が現れるかもしれないので、所々詳しく書いたりしています。その辺はサラッと読んでいただければと思います。


0. UTMBとは

UTMBはウルトラトレイルの大会です。ウルトラトレイルとはトレイルランニングのウルトラマラソンということです。トレイルランニングとは普通のマラソンと違って山道などの非舗装路を走ること。ウルトラマラソンというのは基本的にフルマラソンより長い距離を走るレースのことを指します。ロードのウルトラマラソンの多くは100kmが主流かなと思います。トレイル(特に海外)ではウルトラというと100マイル(約170km)が主流かなと思います。つまりウルトラトレイルは山ん中をアホみたいに長いこと走っている競技なんだなと思ってもらえると大体正しいです。


UTMB(Ultra Trail du Mont Blanc)はヨーロッパアルプスの最高峰「モンブラン」の周りの山塊を一周する、世界中に数あるウルトラトレイルのレースの中でも最高峰のレースです。フランス、イタリア、スイスと三ヶ国の国境を跨いでトレイルを駆け巡ります。距離は100マイル、制限時間は46時間30分。三日間続く長い旅。世界中の国々からおよそ10000人ものランナーが集います(グループレース含む)。


そんなの想像もつかんという方はYouTubeに大会の様子をまとめたもの(こちら)があるのでこれを見ると少しはどんな大会かイメージできると思います。


ホノマラーがよく出る大会とUTMBの高低差比較

これを見るとなんかヤバそうなレースであることは分かると思います。笑




1. UTMBを目指したきっかけ


今になって振り返ると、なぜこんなにも取り憑かれたようにこのレースを目標にしてきたのか、当時のことは正直あまり覚えていません。時系列的には、大学に入学し1年目で初フルサブ3を達成し、3年の時には初100kmサブ9を達成し、次なる目標としてUTMB完走があったのは事実です。しかし、100kmを経験した段階で、次のレベルのチャレンジを探す自分がいる一方で、自分の中にある種の「諦觀」のようなものが芽生えた気もします。


村上春樹の「走ることについて語るときに僕の語ること」の中にこんな一節があります。


100kmレースを完走することによって、大げさに言えば僕は「ちょっと違う場所」に足を踏み入れてしまったようだ。(中略)そのせいで僕は、走るという行為に対して、以前のような「何が何でも」という、単純に前向きな気持ちを持てなくなってしまったのかもしれない。(中略)大事なのは時間と競争することではない。どのくらいの充足感を持って走り終えられるか、どのくらい自分自身を楽しむことができるか、おそらくこれが、これから先より大きな意味を持ってくるだろう。


この一節に出会ったとき、自分の感覚と近いものを感じて嬉しくなった覚えがあります。タイムや勝ち負けよりもレース中の体験や自分自身の変化に対する満足を求めるようになったということなのかもしれません。UTMBという壮大なレースに出ればきっと何か大きなことが経験できる、自分がどう変化するのか楽しみだ、といった期待が当時の私にはあったと思います。



2. エントリーまでの道のり


UTMBには参加資格があり、誰もが簡単にエントリーできるわけではありません。この大会を目指すランナーの増加に伴って参加資格も年々厳しいラインに設定されるように変化しているのでここではその詳細については触れないでおこうと思います。ざっくりいうと2年間で100kmクラスのレースを3本完走しているという経験値が要求されています。
その参加資格を満たした人の中からさらに抽選で当選した人だけが出場することができます。倍率は3〜4倍とも言われていますが、その抽選システムは独特で、1年目に外れると2年目は抽選券が2倍になり、2年目も外れると3年目は必ず当選するといった仕組みになっています。



ここから私が今までUTMBのエントリー資格を得るために走ってきた100kmレースについて一つずつ簡単にまとめていきます。


⑴ Dalian 100 Ultra Endurance Race 2016/4/23

当時、トレイルランの経験がほとんどなかった私は、まず100kmクラスのレースの完走経験を積むことが目標になります。しかし、100kmのレースにもそれなりのレース経験が求められているので、経験値ほぼ0の私にエントリーできる100kmレースは国内にはほぼありませんでした。なので経験値の要らない中国の大会にいきなりエントリーを試みました。笑 この大会含め多くの中国の大会は中国内に銀行口座を持っていないとエントリーできないのですが、現地在住の日本の方とSNSで連絡を取って強引にエントリーしていただきました。その方とはその後の中国の大会でもお世話になったり、日本でもたまにあったりしています。
といった経緯で初のウルトラトレイルが中国の大連でした。そもそも海外レースはホノルルしか走ったことがなかったので、何もかもが不安でしたが、日本からの出場者も自分以外に何人かいたり、現地在住の日本人の方に優しくしていただいたので無事完走することができました。この大会のコースは、大連の都市部と隣接するタウントレイルとを巡り、大連の街もレース中に観光できてしまうようなコースレイアウトになっていて楽しいコースでした。海外のトレラン初挑戦にはいい大会だと思います。


⑵ FunTrails 2016/11/19

2本目のレースは埼玉県の秩父から飯能にかけての山域を走るレース。11月の秩父は本当に寒くて低体温症になったりと苦しみながらなんとか完走しました。本番のUTMBは8月なのに雪が降る年もあるみたいなので、寒さへの対策や経験を積むという意味でこの大会は貴重かなと思っています。


⑶ ONTAKE100 2017/7/16

3本目は長野県王滝村でのレース。この大会はコースもそんなにきつくないなので比較的余裕を持って走れました。
このレースまでの3レースでエントリーに必要な経験値をためたつもりでしたが、このレースが経験値として不十分(キツくないから)だということがわかり年内にもう1本レースを走る必要が出てきたのでした。


⑷ UTSZ Trail Race 2017/12/23

というわけでエントリーが間に合ったのはまた中国のレースでした。今度は深圳。深圳の人は日本人にとにかく優しかったです。エイドに入ってきたランナーが日本人だと分かると何も言ってないにご飯やスープを持ってきてくれたり何か欲しいものあるかと尋ねてくれたり、コーラが欲しいというと買ってきてくれたり笑 結果はスウェーデン人に負けて準優勝でした。中国まできてスウェーデン人と争うとは思ってなかったです。笑

この大会に完走し、無事UTMBのエントリー資格が得られ、年末のエントリーに間に合わせることができました。
しかし抽選では落選。2年目の抽選のためにUTMBは1年持ち越しです。


⑸ 信越五岳トレイルランニングレース 2018/9/16

2年目の抽選に進むためにも参加資格を継続して獲得しなければならないので2018年は2レース走る必要がありました。一つ目が長野の信越五岳。110kmのレースです。この大会は人気の大会でエントリーは数分で締め切られるほど。過去2年はエントリーに失敗していて3年目にしてやっとエントリーすることができました。大会運営が洗練されていてホスピタリティーが高く、コースも走れるトレイルで楽しいコースでした。国内でリピーターが多いのも納得。


⑹ FunTrails 2018/11/17

2回目のファントレイル。1回目よりはうまく走れたけど、結局寒さには弱いことが分かりました。
この大会を完走したことで、UTMBへのエントリー権を獲得。年末にエントリーして年始に結果が出ます。結果は見事当選!晴れて2019年のUTMBに出場することができます。

UTMBに出たいと思ってから実際に出るまでに4年、その間に国内外の100km級のウルトラトレイルを6本走りました。一つ一つのレースに出るにもエントリー費が2万前後、遠征費なども考えると1レースあたり5万といったところでしょか。UTMBに出るためには時間もお金も労力も半端なくかかりました。


これまでのレースとUTMBの高低差比較

UTMBのラスボス感やばい。。。



3. 準備


《目標設定》
もちろん、大目標はUTMB完走ですが出るからにはなるべく良いパフォーマンスで楽しく走りたい。
ただ、初めて走るトレイルのコースをどれくらいの時間で走ることを目標にして良いのか、フルマラソンよりは試算しにくいです。
そこで参考にしたのがITRA(International Trail running Association)のperformance indexです。
簡単に説明すると、世界中のトレランの大会はITRAによって統一された基準によってそのコース難易度が評価され、レースの結果(タイムや順位)からそのひとのパフォーマンス値が算出されます。



これは私のレース結果の一部ですが、一番右のScoreという値がパフォーマンス値です。
良い時でだいたい590程度のパフォーマンス値であることがわかります。
これはロードのレースの実力からするとだいぶ低い値かなと思います。
参考までにロードのベストは以下の通り。

フル:2:41:18 (2015別大)
ハーフ:1:15:41 (2014上尾)
100km:8:52:18 (2015サロマ)
10km:34:29 (2013京都丹波)

これは冒頭にも書きましたが、ロードの記録を狙って頑張っていた時期ほど練習を真面目にやってないからだと思います。笑

次にパフォーマンス値が590前後のランナーがUTMBをどのくらいのタイムで走っているのか、調べてみます。
だいたい33時間〜36時間くらいに多くのランナーが確認できました。
よって私の今の力でうまく走ると33時間くらいだろうと予測できます。本番まで今まで以上に練習を積むことを考慮して目標タイムはこれより1時間早い32時間に設定しました。


《トレーニング》
100マイルをはじめとするウルトラトレイルに向けたトレーニングの方法論やマニュアルについて詳しい書籍や情報は探したけどあまりない印象です。(ウルトラトレイル界の著名なランナーが書いた本は自叙伝やレース中の気持ちの変化などを振り返っているものが多くそれはそれで面白いのですが)ロードのウルトラマラソンやフルマラソン用のトレーニング本やトレランの入門書的な本はたくさん出ているので、それらに書かれていることを組みあわせて参考にするのが良いと思います。

UTMBに出ることが決まる前から本番に向けたトレーニング計画を立てて遊んでいたのですが、実際に練習したり大会に向けて準備したりする気になってきたのは6月に入ってからでした。笑
本来はUTMBに向けて半年以上前から練習を積んで、5月6月7月とそれぞれマイルストーン的にレースに出て実戦経験を積みながら練習の効果を確認する予定でした。が、それほど練習を積めていない状態で走ったのでレースがいい練習になるといういつもの展開に。走ったレースはそれぞれ阿蘇ラウンドトレイル(5月、120km)、飛騨高山ウルトラ(6月、100km)、北丹トレイル(7月、40km)。6月の飛騨高山は気持ちが続かなくて60kmでリタイアしました。このあたりから少しずつ本番完走できるのか不安になってちゃんと練習するようになりました。
全体的な練習計画としては、7月の中旬までは鍛練期で長時間・長距離を走るようにすること、8月中旬までは山に行く頻度を増やしより実戦的な環境で走ることを意識しました。量と質については、レース6週間前では増加傾向でそこからレースまでは強度を維持しながら頻度と時間を減らしていくテーパリングを心がけました。詳しくは僕のジョグノートを見ていただけたらと思います。



ポイント練は大きく分類するとスピード練と距離練の二つ。
スピード練は水曜日の通常練でのペース走やレペ、インターバル。と峠走(ヤビツ峠)。
ウルトラにスピード練は必要ないという話も聞きますが、完走するのに十分なスピードで走れる走力を備えた人が完走目標で走るなら要らないというだけでウルトラでも記録を意識するなら必要だと個人的には思います。レースペースで余裕を持って走るためにLT値を引き上げたり、速いペースで効率よく走るためのランニングフォームを獲得したりするためには閾値走やレペが効果的だと巷の本には書かれています。
距離練は秩父練(71km)と夏合宿(45km)。

山練は文字通り山に行ってトレランする練習です。
練習フィールドは主に都内で高尾山域、ハセツネコース、奥多摩などが多かったです。他には富士山に二回、秩父の武甲山に一回行きました。本当は北アルプスとかに行って練習したかったのですが時間とお金がないので近場しか行きませんでした。
山練のメリットとしては、上り下りでの普段ロードでは使わない筋力の強化や、足さばき、コース取り、身のこなしと行った部分で慣れておくこと(本番で余計に集中力を浪費しないために)の他に、長時間山に入ることで身体的精神的疲労の溜まり方や消化器系の反応等を見ることができ、戦略や補給計画を立てるのに役立ちます。あと山の方が平地より涼しい環境で練習できます。笑

UTMBの特徴としては
・170km +10,000m
・制限時間46時間30分(優勝タイム20時間台)
・標高は1,000m~2,500m
・山のひとつひとつが大きく、急登
・登り始めたら登りっぱなし、下り始めたら下りっぱなし
・一部を除き、よく踏まれた路面は固め
・ポールの使用OK
といった感じで、日本のトレランとは少し違った対策が必要になってきます。
UTMBのための練習をしようとすると、同じ日に「登りと下り」を両方やる必要があります。
・UTMBは平均標高が2,000m級なので、なるべく高い標高のエリア
・ほぼ「登りっぱなし」「下りっぱなし」で標高差がとれるところ
・斜度は20%前後のところ
・「下りやすい、ある程度走れる」ところ
…と色々な条件を考えることになります。
これらの条件を満たしており、都内から行きやすかったのが富士山であり、武甲山でした(富士山もうち一回は夏合宿のついで、武甲山は秩父練のついででしたが)。

直前期のレースは
6/9 飛騨高山ウルトラ(60kmでリタイア)
7/7 北丹沢12時間耐久レース(悪天候で40→30kmに短縮)
7/14 The4100Dマウンテントレイルin野沢温泉(23km)
飛騨高山は長時間・長距離動く練習として、北丹と野沢温泉は急登・登りに強くなることを目的に出場しました。




《タイムチャート》



本番に向けて、各チェックポイント、エイドの通過想定時刻と区間タイムの目安を把握するため、タイムチャートを作成しました。
ターゲットタイムは32時間に設定したので、タイムチャートは去年のリザルトのうち、31:30~32:30でゴールした39才以下の選手の各チェックポイント通過時刻の平均をとることで算出。
青がフランス、緑がイタリア、赤がスイスのチェックポイントで黒は国境。
自分で作ると少しイメージが膨らみました。
エイド間隔の開きが1番大きいのが、後半のシャンペからトリエンまでの区間で3時間半ほど要する計算になります。やばすぎる。。。



《装備とギア選び》

トレランではレースによって食料やレインウェア、救急セットなどが必携になっていることが多いです。ロードのマラソンよりエイドの設置箇所も限られてくるので、水分も携帯する必要があります。基本的にはこれらを詰め込めるザックを背負ってはしることになります。
ここでは実際に走った時の装備と、ザック・トレランシューズについてUTMB向けに選んだものとその他に候補になったものを紹介しておきます。


【装備】


緑の丸は必携装備

① ザック
SALOMON/ADV SKIN 12 SET
② ウォーターリザーバー 
水を最低1リットル
③ 150cc以上の携帯コップ
④ ライトと電池を2組
Black Diamond SPOT325 / GENTOS
⑤ エマージェンシー・ブランケット / ホイッスル / 伸縮性テーピング
⑥ ゴアテックス相当のレインウェア
mont-bell ストームクルーザー
⑦ 完全に足を覆える装備 (長ズボン、レギンス、ハーフタイツ+ロングソックス)
⑧ 追加のミッドレイヤー
patagonia キャプリーン・ミッドウェイト・ジップネック
⑨ 帽子・バンダナ・バフ
⑩ 保温用の帽子
⑪ 保温用の手袋
⑫ 防水オーバーパンツ
THE NORTH FACE ストライクトレイルパンツ
⑬ 携帯食料
アスリチューンを中心にマグオンやミネラルタブレットを携帯。
補給計画については後述するかも。
⑭ ポール
Black Diamond

画像にはないですが、この他に携帯電話とパスポートが必携となっています。


【ザック】
SALOMON/ADV SKIN 12 SET
トレイルランニング界にベスト型バックパックを浸透させたSALOMONの代表モデル「ADV SKIN」シリーズ。
数あるトレランザックの中でも軽さとフィット感が1番良かったのでこちらにしました。容量は10L(Sサイズ)。100マイルで使うなら10L前後の容量のものを選ぶといいと思います。色は黒が良かったけど、在庫がなかったので赤にしました。

これと同じくベスト型のバックパックで人気なのが、THE NORTH FACE/TR10だと思います。容量は8L(Sサイズ)。
こちらは背負ったときに身体が包み込まれるような感覚で、安定感や安心感があります。



【シューズ】
シューズを選ぶ際に重視したポイントは、長時間走行していてもストレスが少ないこと、です。特にアッパー部分のフィット感と硬い岩場などの路面を走るときの突き上げをある程度緩和するソールの安定感。また、長距離のレースでは後半脚が浮腫んでおおきくなるので、前足部にある程度のゆとりがあるもの。
トレランシューズはその性能によって登山靴寄りの比較的頑丈なものとランシュー寄りのフィット感やクッショニングを重視したものとがありますが、ランナー上がりの自分は後者に近いものを選びました。それが
SALOMON S/LAB ULTRA
です。
サロモンのS/LABシリーズはアスリートのレーシングシューズに特化したシリーズで、特にこのモデルは100マイル用に作られています。
UTMBを2度優勝したフランソワ・デンヌと共同開発したモデルで、快適性、安定性、路面適応性と抜群だと思います。ネックなのは価格と耐久性。新しいモデルだと一足22000円(+税)。流石に購入を躊躇するレベルで高い。。人生に何度も走れるレースじゃないんだからこれくらいのシューズもありですよってオススメされ、何度もサロモンの直営店に足を運んで迷っていたところ、運良く旧型のモデルが入荷したとのことで30%offで売ってくれました。サロモンのお兄さんありがとう。

これと迷っていたシューズが
inov8/Trailtalon 290
です。
ランシューに近いフィット感とクッショニング、イノヴェイトのウルトラ用モデルで、前足部は比較的ゆったり目につくられています。



《その他》
服用していた抗うつ剤の薬の数を減らしました。副作用に発汗量の増加と血圧の増加があり、長い距離走る上では身体に余計に負荷がかかると判断したからです。この判断が正しいかは病院の先生も分からないそうです。笑まあ状況が特殊過ぎるので仕方ないですが。。詳しい方居たら教えてください。

直前1ヶ月はアルコールも控えめ(0とは言ってない)にし、カフェインもほとんど摂らないようにしました。本番で眠気に襲われた時にカフェインの利きをよくするためです。
食事もできるだけ高タンパクなものにするようにしました。直前3ヶ月はトレーニング量も一気に増やしたので、少しでも疲労回復を図るためです。





いつになったらUTMB始まるんだ!と思ってる人も多いかもしれませんが、ここまでの記事は出発前に書いたものです。レースの様子や感想については編を改めてまた書かせていただきます。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございます!
それでは行ってきます!