無事に法事も終わり、母方の祖父母の墓参りに東大谷墓地を訪れ、線香を上げる。これで公式行事を終了して坂を降り、八坂神社に向かう。
大きな鳥居を抜けてまず現れるのが舞殿(ぶでん)、祇園などの芸妓の名前が入る提灯がぶら下げられ、夜になるとこれに火が入り素晴らしい。今は結婚式などにも使われている。
向かい側が本殿、2年前に国宝に指定された。1654年に徳川4代将軍家綱により再建されたもので祇園造と言われる独特な建築様式の社殿。龍穴という池の上に建てられていると伝えられているが、漆喰で固められていて分からない。
お参りを済ませる頃には再び雨が降り始め、今後の天候が危ぶまれるため、どうしてもお参りしたい東寺にタクシーで向かう。
東寺には2時少し前に到着。何度となくお参りしているが、歩いてくるのは久しぶり。まずは入口にある『慶賀門』(重文、鎌倉時代)からじっくり眺める。
広い駐車場の横には蓮池が広がり、バスの花が見頃である。まだ蕾のもの、花が満開に咲いているもの、花は終わり実をつけているもの、と色々な花が同居している。何とも気品のある桃色の花を見ていると確かに極楽はこういうところかなと古の人が考えたことも頷ける。
拝観料500円を支払い境内に。まずは手前の講堂からお邪魔する。建物は東寺が空海に下賜された後、839年にはあったと思われる。現在のものは1491年に再建された。この中には立体曼荼羅が形成されており、中央の須弥壇には大日如来を中心とする5つの如来像、手前(東側)は金剛波羅蜜多菩薩を中心とする5つの菩薩像、向こう側は不動明王を中心とする5体の明王像が配置されている。
さらに梵天・帝釈天像、四天王像が四隅に配されていて計21体(うち16体が国宝、5体が重文)が整然と並べられている。
隣は金堂でこちらも建物自体が国宝。空海が下賜された823年にはあったと伝えられている。その後室町時代の土一揆で焼失、今の建物は1603年に豊臣秀吉が寄進したものである。本尊は薬師如来坐像(重文)、脇侍は日光・月光菩薩。本尊の台座の下には十二神将が立つ。
観覧者もそれほど多くなく、仏像を一体ずつ丁寧に見ていく。前回までは明王像や四天王像ばかり見ていたが、今回は大日如来像・薬師如来坐像をじっくり時間をかけてみる。長い間、拝観する者が手を合わせ、救いを求めてきた仏像の迫力に感銘を受けた。
金堂を出て奥に行くと五重塔。行く時の運転手さんに教えてもらったのだが、高さは55.5mあり、日本で最も高い五重塔とのこと。子供の頃、この塔をみると京都駅に近づいたことを実感した。しかし、空全体が雨雲に包まれ、今にも夕立が降りそうになったため、入口に急ぐ。
建物に入ると共に雨が急に強くなった。すぐに屋根に繋がった樋から滝のように雨水が落ち、これを外国人の女の子が喜んで触れようとしていた。
それから20分ほど雨宿りをしてようやく小降りになったところでタクシーを拾い、帰途についた。