放菴日記抄(ブログ)

これまでの放菴特集・日記抄から「日記」を独立。
流動的な日常のあれこれを書き綴ります。

東日本大震災~The Life Eater18~

2011年05月06日 00時51分15秒 | 東日本大震災
 月があらたまって4月7日(木曜日)、ものすごい余震がきた。

 はっきり言って油断していた。
 まもなく震災から一ヶ月だっつーのに、こんなエゲツナイほど揺らすなっ、と言いたくなる。

 このころ、まだまだ余震の回数は多くて、震度3~4ぐらいの地震が日に数回は起きていた。
 いずれも震源は宮城県沖とか南三陸沖とか言っている。
 もうしょっちゅう地震が起きるもんだから、いつも揺れている気がしてならない。

 よく頬づえをついてぼうっとしているときに、ひじを伝わって揺れが来る。
 あ、揺れているな、と思う。ところがこの揺れは大きくも小さくもならず、比較的正確なリズムで揺れている。
 なあんだ、自分の脈動かと気がつく。 コンナノばっかし。

 かと思えば、寝ていて揺れに襲われると、びっくりして動悸が激しくなる。
 これがまた三半規管を揺らし続けるもんだから、いつまでも揺れている気がしてならない。
 要するに「地震酔い」の状態なのだ。
 このような症状の方、けっこう全国的にいらっしゃるのではないか。

 4月7日(木曜日)。
 そのとき、僕らはその日の家事をひととおり終えて寝ようと思っていたところだった。
 
 突然グラグラっと震れだした。地鳴りもP波もなし。
 震れはそのまま一気に加速し、家の中のものが一斉に騒ぎだした。
 
 グワラグワラ!カチャガチャ!ガシャンガシャン!

 グラスのぶつかる音が恐ろしい。
 電子レンジやお盆までもが棚の上で踊りだした。
 あわてて僕は食器棚と棚をそれぞれ両手で押さえる。すると今度は背後でゴンゴンと冷蔵庫が壁にぶつかっている。
 両手がふさがっているので、後ろ向きのまま片足を冷蔵庫にペタっとくっつけた。何かへんてこな姿勢。
 要するに「一粒で300m」の某老舗菓子メーカー「ビ○コ」に描かれている人のような格好で家具にへばりついていた。
 何かが倒れる音がした。BELAちゃんは這うようにして子供部屋へと駆けつける。

 長いなー。久々に長くない?
 このまま震災のときと同じくらいまで震れるのはヤだな。   
 
 食器棚の中でワイングラスが一個ひっくりかえった。
 ―わ、割れるなよっ。ペアグラスなんだから!―

 あたりはガチャガチャと騒音の大洪水。そのまま数分続いただろうか。
 やがて真夜中の地震は、ゼンマイの切れたチョロQのように力をなくしていった。
 
 「ガチャガチャ」は「カチャカチャ」程度になり、さらに「カチカチ」になってゆく。
 
 最後に、夜の静けさが戻ってきた。 
 ふうう。
 静寂とともに、自分の動悸がめちゃくちゃ早いことに気がつく。
 まるで耳元で鳴っているみたいにバクバクいっている。

 やっとの思いでBELAちゃんのところへ行き「ひ、久々に来たねぇー!」と笑ってみせたが、多分、自分が思っているように笑えてはいなかっただろう。
 

 あくる日、出勤の途中、あちこちで信号が止まっているのには驚いた。
 えー、また停電しちゃったの? 昨日の地震で?

 またまた悪夢の再来か。
 ガソリンスタンド、コンビニなど、みんな行列を作っている。
 
 幸い、停電はその日のお昼ころまでにはあらかた復旧した。
 ところが、である。

 ガス管に若干の被害があったようで、それまで復旧の進んでいたガス開栓作業がすっかり停止してしまった。
 ガスの復旧作業には、全国のガス会社から多くの技師さんたちが応援に駆けつけていた。
 街を行けば、大阪ガス、東邦ガスなどの車両をよく見かける。
 助けてもらって、せっかくここまで開栓作業が進んでいたのに・・・。

 さらにさらに、県南部ではまたもや断水となった。
 お馴染みの柴田町、大河原町、角田市などが軒並み水が出なくなった。

 このことを聞いたBELAちゃんはせっせと水をタンクに詰め始めた。
 このタンクをクルマに積んで僕は夕方、角田へ向かった。
 (角田のお義父お義母さんは土曜日に東京まで葬式に行かなければならなかったのです。この話はまた今度・・・。)

 
 余震がまだまだ続く。なんとなく空気が張り詰めていて、そのことでますます気持ちが疲れてゆくのがわかる。

 震災から一ヶ月という4月11日にも、突然だれかのケータイから警告音が鳴った。地震速報だ。
 「な、なになに、またかよ。」
 僕らはそのとき、家族全員でクルマに乗っていた。
 場所は仙台一高前から荒町方面へ向かうところ。ちょうどJRの高架橋の下だった。しかも前方は赤信号渋滞。
 ― よりによってここですかっっ ―

 JRは仙台駅の損壊のため運行を取りやめているので、さいわい列車が頭の上を通過する状況ではない。
 けれど震動のせいでレンガの一つでも落ちてくるんじゃないかと気が気でない。どこの構築物も連日の余震つづきで痛めつけられている。建物が従来の強度を保てている保障はどこにもないのだ。

 しばらくして揺れがきた。
 
 少しでも高架橋の下から出ようとクルマを前へ詰める。すると状況を察したのか、前のクルマも前へ詰めてくれた。
 ありがとー。みんなこのごろヤサシイな。

 たわんだ電線がユッサユッサと揺れている。あれが切れたら地獄だな。

 ラジオを点ける。
 しばらくして震源地が福島県と茨城県の境であることを告げていた。震度も5強。宮城県沖だけでなく常磐エリアでも活発になったようだ。原発事故が悪化しなければいいんだけど・・・。


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