朝日新聞への投稿短歌・俳句で「原発」に関連して詠まれたものを抜き書きした.
(宮城版「みちのく歌壇、俳壇」を含む)
前向きに生きると人に言いつつも前がわからぬと避難者の言う
(東京都)半杭螢子 (11/5 馬場あき子、高野公彦選)
みごとなる海夕焼なり福島の預かり犬と並んで眺める
(東京都)大村森美 (11/5 高野公彦選)
水音がスキデスココガイイノデスちいさき声で溝蕎麦の花
(福島市)美原凍子 (11/5 高野公彦選)
汚染などひととき忘れ爽やかな風に身をおく菊咲く庭で
(福島・本宮市)広川秋男 (11/7 桜井千恵子選)
わが町のウラン工場再稼働 孫の学び舎汚染土埋めしまま
(横須賀市)梅田悦子 (11/11 馬場あき子選)
信じてた「線路は続くよどこまでも」線路は流れ放射能降る
(宮城・岩沼市)長内理子 (11/14 桜井千恵子選)
山野草好みし父の三回忌原発事故を父は知らない
(福島・会津若松市)安江令子 (11/14 桜井千恵子選)
新聞の拡散予測地図の上音なく注ぐものを見ており
(橿原市)福田示知恵 (11/19 佐佐木幸綱選)
猪の肉がセシウム基準越え雑食のわが身にも及ばむ
(宇都宮市)渡辺玲子 (11/26 高野公彦選)
除染の「除」、減染の「減」、しかれども消染の「消」あらずして冬
(福島市)美原凍子 (12/3 高野公彦選)
対岸の白き原発十三夜 (札幌市)仁和亮 (11/5 金子兜太選)
友嘆く核より逃げて又の冬 (横浜市)下島章寿 (11/11 金子兜太選)
桔梗咲く汚れちまつたこの地球 (甲府市)中村彰 (11/19 金子兜太選)
フクシマの骨突き刺る海鼠かな (鴻巣市)佐久間正城 (11/19 金子兜太選)
放射能汚染の山河穴惑 (養父市)足立威宏 (11/26 金子兜太選)
原発の見学順路冷(すさ)まじき (塩尻市)古厩林生 (11/26 金子兜太選)
水鳥を見ぬ寂しさも被爆川 (鹿児島市)青野迦葉 (11/26 金子兜太選)
原発や住み人なしに秋の暮 (東京都)青柳森 (12/9 長谷川櫂選)
蛇穴に活断層は亀裂増す (奈良市)大年厨 (12/9 金子兜太選)