かわたれどきの頁繰り

読書の時間はたいてい明け方の3時から6時頃。読んだ本の印象メモ、展覧会の記憶、など。

原発を詠む(1)――朝日歌壇・俳壇から(7月16日~8月13日)

2012年08月13日 | 読書

 朝日新聞への投稿短歌・俳句で「原発」に関連して読まれたものを抜き書きした。「原爆」「原爆忌」の歌・句については、3・11原発事故と関連する場合のみピックアップした。

 

福島と福井に「福」の字がついて再稼働とう不幸始まる
        
         (福井県)下向良子 (7/16 高野公彦選)

 

若狭から原発の灯の消ゆる日のもしやと思ひもしやは消ゆる
               
(福井県)大谷静子 (7/16 永田和宏選)

 

現代の赤紙ならむ関電の計画停電予告のハガキ
               
(高槻市)有田里絵 (7/23 高野公彦選)

 

除染後の遊具の河馬のかなしさよ砂場にすなのひかりはあるも
               
(鹿児島市)篠原廣己 (7/23 永田和宏、馬場あき子選)

 

我が母は五キロ圏内原発の近くに住みて風車を仰ぐ
                
 (東京都)夏目たかし (7/23 馬場あき子選)

 

原発というおごそかな機器を抱き滅びへ向かう青き球体
               
(名古屋市)南真理子 (7/30 高野公彦選

 

あれしきの被曝で何を騒ぐかと言つてはならぬ我は被爆者
               
(アメリカ)大竹幾久子 (7/30 永田和宏選)

 

原発の温廃水に太りいし刈羽の海のメジナを思う
               
(中央市)前田良一 (7/30 馬場あき子選)

 

ふくしまはめげずに生きるフクシマに背を向けないで目を見開いて
               
(福島市)伊藤緑 (7/30 佐佐木幸綱選)

 

炎天に我もとぼとぼ蟻のごと脱原発を唱えて歩く
               
(三郷市)岡崎正宏 (8/6 永田和宏選)

 

たづきなき避難者われは流れきて山谷に暮らすほのかなたづき
               
(東京都)シンタロウ (8/6 馬場あき子選)

 

炎天の「さらば原発集会」に出たき八十路の思いよ届け
                
(東京都)峰岸愛子 (8/6 佐佐木幸綱選)

 

大江さん、寂聴さん、龍一さん十万超ゆるノーのどよめき
               
(名古屋市)誠訪兼位 (8/6 高野公彦選)

 

ベン・シャーンの視線を避けて原発は憑かれしごとく再稼働する
               
(春日井市)久瀬昭雄 (8/13 馬場あき子選)

 

汚染土を植木屋さんは持ち帰るこれも自分の仕事だからと
               
(福島巿)澤正宏 (8/13 佐佐木幸綱選)

 

気がつけば原発列島戦争もそうだったのだいつか来た道
               
(青梅市)津田洋行 (8/13 佐佐木幸綱選)

 

輸血するごとく原発稼働せり救はんとしてほふるや未来
               
(長野県)井上孝行 (8/13 高野公彦選)

 

 

脱原発の人犇(ひし)めきて蓮開く
               
(旭川市)河村勁 (7/23 金子兜太選)

 

梅雨寒やいつか来た道再稼働
               
(東京都)辻隆夫 (7/23 金子兜太選)

 

原発に反対水母押し寄せる
               
(札幌市)江田三峰 (8/6 金子兜太選)