goo blog サービス終了のお知らせ 

労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと~

労組の仕事している勤務社労士がもしや誰かの役に立ってるんかな~と思いつつ飲んだくれて書いてるっす~(* ̄∀ ̄)ノ■☆

自賠責保険料の値上げ

2013-01-30 | 書記長社労士 公共交通

 1月17日に金融庁の諮問機関・自賠責保険審議会で了承された「自賠責保険基準料率改定」。
上の表はその一部を抜粋したもので、上から「バス」、「タクシー・ハイヤー」、「自家用車」、「トラック」。
営業用乗用自動車(タクシー・ハイヤー)の区分は、Aが東京都の特別区・大阪市・名古屋市・京都市・横浜市・神戸市・川崎市・札幌市・北九州市・福岡市のタクシー、Bがその他の地区のタクシー、Cが東京都の特別区・大阪市・名古屋市・京都市・横浜市・神戸市・川崎市のハイヤー、Dが個人タクシー。
この表は12か月契約の場合基準料率で、自家用乗用車が車検時に24か月で契約する場合には、24,950円が27,840円となるので、改定率は11.8%となる。

 平成25年契約年度の車種別損害率を基に、改定後の予定損害率がすべての車種で同一(100.2%)となるように車種別純保険料率改定率を算出していて、平成25年度の純保険料率改定率全車種平均は13.5%。
事故による損害が多い車種については、改定される保険料率が高くなり保険料が値上がりし、逆に事故による損害が少ない車種については保険料率が低くなり値下がりするという仕組みになっている。
したがってバスとタクシーの改定率の高さは突出しており、特にタクシーが著しく高い(そもそもの保険料も高いに加えて)、ということは「どんだけ事故が多いんだ!」ってことになってしまう。
利用者の安全と安心を運ぶプロの乗務員の仕事の結果がこんなんなんだと言うことはほんとうに残念だ。

 タクシーの事故が多い原因は、乱暴な分析とはなるが、「売り上げを求めて必死に走っていて余裕がない」「企業がしっかりとした社員教育をしていない」「著しい乗務員の高齢化で運転能力が落ちている」の3点に起因していると思う。

 「必死に走っている」というのは、2002年の規制緩和で新規参入が相次ぎタクシー車両数が激増、これではだめだと新しい法律が出来て全国的にタクシー車両を減らしたけど、その効果が現れる頃にリーマンショックで一気に需要が落ち込み、過酷なお客さん争奪戦に終止符が打たれなかった。
タクシー乗務員の給料はほとんどが歩合給制なので、少ないお客さんを奪い合うために、走り方が荒くなったり、または長時間労働・過重労働となったりで、事故を惹起しているということ。

 「企業の社員教育が足りない」は、やはり規制緩和と景気の低迷で、企業として売上げが下がり利潤が乏しくなり、安全教育や安全対策費に費用や時間を割くことが出来ないということもあるし、もっと言えば、稼げない産業となっていることから慢性的な乗務員不足となっており、しっかりとした選別をせずに乗員を採用しているからということもある。

 「高齢化」については、やはり稼げない産業と言うことで若い人に見向きもされなくて高齢化が進んだこと、また稼げないけど老齢年金を貰いながら働きたいという人にとっては「少々賃金が安くてもいい」ということで企業としても年金併用の高齢者に労働力を頼らざるを得ない(賃金が安くてすむから積極的に頼っているという側面もあって)ということ。
全国的なタクシー労働者の平均年齢は、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」の平成23年分によると「57歳」、これには個人タクシーが含まれて居らず、個人タクシーの運転手を加えてその内訳で見ると60歳以上のタクシー運転手はおそらく過半数を超えているだろう。

 タクシー事業の経営は厳しい、だからこの自賠責保険料の大幅な値上げによる費用負担の増加はさらに経営を圧迫するだろう。
しかしこれは経営者の不作為や責任回避がそのまま跳ね返ってきているわけだから、猛省していただかないといけない。
とはいえ、業界関係者全体で、安心で安全なタクシーを取り戻すため、タクシー・ハイヤー産業の構造的な要因を取り除く施策を、大急ぎで講じていかなければならないことはもちろんのことだ。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 2013 Grammy Nominees 今年... | トップ | もうひとりのシェイクスピア... »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
原因は他にある (怒れる傷心者)
2013-01-30 12:02:38
1994年~5年にかけて、自賠責の積立金から
一般会計に1兆1,000億が貸し付けられ
そのうち6,000億が未返済なのです。
決してタクシー業界だけが問題ではないのです。
しかも、当時は自民党政権ですよね。
1月14日付 日経新聞の風速計より
返信する
  そうなのですか (  怒れる傷心者さんへ)
2013-02-04 10:30:27
  教えてくれてありがとうございます。

  タクシーの事故云々問題以前のお話ですね
返信する

コメントを投稿