ひのっき

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湊かなえ「望郷」はミステリの醍醐味を存分に味わえる傑作

2017年06月06日 | 絵日記
望郷 (文春文庫)
湊かなえ
文藝春秋

湊かなえ先生の「望郷」を読みました。

面白かったです。見事な力技に感嘆しました。

本作品は瀬戸内海の島に関わる人々が起こした事件を描く6編の短編ミステリです。

失踪した父親を待ちながら暮らす母親と少年。そこへある日親切な漁師が現れ、新鮮な魚をくれるなど色々と気にかけてくれます。 美人な母親の歓心を買う行為に反抗する少年ですが・・・というのが日本推理作家協会賞を受賞した「海の星」。

どの作品も猜疑に満ち閉塞していた世界が、最後に全く違った世界にひっくり返ります。

 最後の最後にああこれミステリだったんだと気づかせる絶妙な構成に、いやもうこりゃ上手いと膝を打ちます。

 視点が一つ加わるだけで見える世界がガラリと変わる、ミステリの醍醐味を存分に味わえる傑作です。