ハッピー&ラッキー

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BUCK-TICK 十三階は月光

2005-04-13 | 音楽
ちょっと前にも書きましたが、私はバクチクのかなり長いファンです。今はそこそこ落ち着いていますが、ピークにはそれはもうはまったものです。ライブも行きまくってました。あまりに私がこのバンドに金をかけるので、父に「お前は悪代官に貢ぐ農民みたいだな」と言われたことすらあります。それに対し「でも私はその悪代官にメロメロなの!」と返した当時の私はかなり頭悪い感じで恥ずかしいですね。でも今もそれほど成長してないか。

それはともかく、バクチクは長い間聴いているのですが、今回のアルバムはもしかしたら初めて、好きじゃないと言えるかもしれない。ダメ出ししていくのもあまり楽しい文章にならなさそうなので簡潔にしようと思いますが(出来るかな)まず好きな曲がない。

私は今井寿の書く曲がものすごく好きで、それでこのバンドが大好きなのですが、今回はその今井の曲に好きなのがないんですよ。もちろんヒデのにも。もちろんって失礼か。好きという言葉でなるべく主観的に言ってますが、新規リスナーが聴いて、いいと思える曲ってあるんだろうか。どうしちゃったんだ今井とほんとに心配になってしまいました。大きなお世話だ。

かろうじてシングルの「ROMANCE」の、ギターのリフがいいとは思うのですが、こんな程度でしか好きな部分を語れないバンドじゃないと思うのでかえって悲しい。今までは、新譜聴くたびに、さすが今井、さすがバクチク、と感心し、あらためてこのバンドが好きだと思える気持ちにさせてくれていたのに、今回それはありませんでした。

私がものすごく盛り上がっていた、大ファンだったのは、「セブンスヘヴン」から「69」「コスモス」あたりまでなのですが、それ以降もアルバム聴けばいい曲、好きな曲たくさんあったんですよ。「疾風のブレードランナー」とか「リザードスキンの少女」とか「Baby,I want you.」とかこの辺は、好きだった時代のアルバムにも負けない、クオリティの高い曲だと思うし。

もちろん一番に、私自身の曲の好みなどが変わったというのもあるとは思います。けれどそれを抜きにしても、多感な時期から十年以上大好きで、色んなものの価値観に影響すら受けた今井寿が、自分の好みからここまでずれてしまったのかと思うと、さすがに衝撃も大きかったです。

これは誰でもそうだと思うし、そもそも昔からのファンが「今回好きじゃない」と言うだけでころころ音楽性を変えるようなミュージシャンなんて嫌にも程があるので、変わって欲しい元に戻って欲しいなんて今井にかけらも望みませんが(死んでもそんなことをする人間じゃない)私の長い、バクチクファンとしての人生に、一つ何かの区切りが付いたのかもしれません。アルバムを聴いて、CDデッキの前で息も出来ないほど圧倒され、何度繰り返し聴いても飽きない珠玉のメロディラインに喜び、今井らしい珍妙な言葉から、イメージとかけ離れた思いもかけない単語まで駆使する不思議な世界の歌詞に惹かれ、毎日がバクチクを中心に回っていたかつての自分からは想像もできませんが、ついにその日が来たのかな、と不思議な気持ちで今回のアルバムを聴いています。

それでも「ALIVE」の曲は好きだな。あっちゃんの歌詞はどうにもこうにも馴染めないものが多いので(これは昔から)、この曲も歌詞でちょっと主観で減点になってしまいますが、今井節は利いてますね。あ、あっちゃんの声はかなり好きです。好きじゃなきゃ、あんなにヘタクソだったデビュー当時からライブなんて行けませんよ。うまくなったもんだ。

と、ここまで書いて、このアルバムにいまいち好きな感情が生まれないのは、全体のゴスゴスした雰囲気というのも大きいのだろうなと思いました。ゴシック自体が悪いとは言いませんがどうしても原宿駅のそばで座り込んでる集団みたいなのの印象が強いので。大体ジャケットに写ってる火持ってるおっさんはなんだよー。昔「俺たちひょうきん族」で、西川のりおがやっていた、オバQのメイクにしか見えないよ。最初から狙ってるのか!? そういうギャグなのか!? だったらジャケットに関しては素晴らしいと思います。今井ならやりかねない。

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