ハッピー&ラッキー

コレクターズとピロウズとANATAKIKOU、その他音楽やいろいろ。

2/10 BLUE SONGS WITH BLUE POPPIS at千種文化小劇場

2009-02-12 | ピロウズ
ピロウズのアコライブ名古屋、例によって改行+文字反転でお送ります。携帯のかたは意味ないですが。








初めて行ったちくさ小劇場ですが、ものすごい行きやすくて助かりました。地下鉄出口を出たそのままの方向にまっすぐ進むとその先にあるという親切設計。どこもこれくらいわかりやすい立地にしてくれると主に私が嬉しいです。

そして座席指定ライブというのもありがたい。開場時間前にいなくても問題ないよ荷物をロッカーに入れなきゃとか気にしなくていいよ開演までヒマなら寝ていられるよ最高だ。チケット代が高いのも、この便利さで全然気になりませんでした。まあ後述しますがチケット代高いのは他にも理由があったようですが。

会場はステージの周囲にすりばち状の座席251席が取り囲むかたちで(ちっちゃい武道館のよう)、さらに椅子がステージの前に追加で並べられていて全部で300席くらいでした。舞台の上にはメンバーが座るであろう椅子と、プランターに入った数本ずつの青い芥子の花があります。そのプランターがステージの上に適当に並べられていてお花畑のような状態に。

開演時間を数分過ぎたところで客電が落ちると、青い芥子の間に隠れていたろうそくの形をしたライトが発電。きれいな演出にちょっと感激します。ピロウズのライブじゃないみたい。しかしメンバーはあっさりふつうに登場、それぞれのポジションに。先日も書きましたがさわおの髪が落ち着いています。グリーンのカーディガン着ていました。真鍋さんはブラウンとモカかな? ボーダーTシャツ、リズム隊はおそろいでもないのですがチェックの上着でした。

「見てるほうも慣れないと思うけど、こっちも慣れないんだ」とちょっと困った顔のさわおですが「いい夜にしたい、ヨロシク!」と決め台詞でライブ開始です。一曲目は「subhuman」。peeちゃんのギターはあれはセミアコなのかな。ボディにポーラベアのプリントがなされた(フライヤーと同じあれです)でっかいギターだったのですがもうものすごく音がよかった。弦をはじく生っぽい音とかがクリアに聴こえて、なんというか乾いたぱりっとした、私の大好きな音でした。でももしかしたらこれ狭い会場で近かったから聴こえただけで、DVDになったらアンプを通したふつうのエレキギターの音になってしまうのかもしれない。あの会場で聴いた音を再現してくれることを祈ります。

そして淳がウッドベースを弾いていることにもびっくり。さらに二曲目が「She is perfect」だったのですが、弓で弾き始めたことにもびっくり。すごいかっこよかった! いやもしかしたらかっこいいのはウッドベースだったのかもしれませんが、アコースティックな雰囲気にすごく合っていて良かったです。

さわおは何度も「慣れないなー」「客席電気付いたら、すっごい見られてる(笑)」と、ふだんのライブと違う様子に戸惑っていたようでしたが、それでも楽しそうな表情でした。「いつものライブでやらない曲が多いから、曲名言うとおおー、って歓声が上がってすごく気持ちいい」との発言もあって嬉しそうです。そんなさなか「次は一回もライブでやったことない曲をやります。こう言うとマニアは2、3曲浮かぶんだろうけど(笑)」と言いつつ、「プラスチックフラワー」を! 以前のロストマンツアーのときもすごかったけど、今回もかなりレア曲まんさいライブです。

曲と曲の最中にも、静かな客席に「いつもと違うな。緊張してる? ステージの上も緊張してます」とつぶやくさわお。「聞いたところによると物販も静かだったらしいじゃないか」と言っていましたがどんな状態だ。最前列のファンがタオルを持っていたのを見て、「タオル使わないだろ? 俺も使わないもん。peeちゃんは使った?」と聞いていました。「(ペットボトルの結露で濡れた)指拭くのに使った」と返す真鍋さん。「さすがに今日は物販でタオルは売ってないんだろ?」と客席に聞くと、「売ってるー」との返事にびっくり。「売ってるのか! 必死だな! 赤字なんで必死です(笑)」と発言に受ける客席でした。

ピロウズのライブには珍しく、ゲストが登場しました。テルミン奏者のRom Chiakiさん。「みんなテルミンって楽器知ってる?」とさわお。blacksheepで使われていたので、ピロウズファンは知ってる確率高いと思われます。「楽器に触れずに音を出す、マジシャンのようなミュージシャン」との紹介で登場されたChiakiさんは若くてきれいな女性でした。数曲テルミンが参加して演奏されましたがどれもよかった。中でも「さよならユニバース」が素晴らしかったなあ。テルミンの浮遊感が曲にすごく合っていて、いいアレンジでした。ゲストミュージシャンがテルミンというところがまたちょっと変わっていてピロウズらしい。

「今回はみんな高いチケット代払って来てくれてるけど、この青い芥子の花に100万くらいかかってるから実は大赤字ツアーなんだ」とふところ事情を暴露する山中さわおさん(デリシャス社長)。「青い芥子の花ってものが存在しないから、一から作ることになってすごく高くついちゃった。俺の自己満足のために(笑)」。でっかいバスター君バルーンといい、ほんとうにピロウズマニアの夢のようなセットには糸目をつけませんね。でもこの花はお金かけただけあって、きれいで不思議な雰囲気にあふれたセットでした。ONE LIFEのPV思い出しますね。

「このツアー何が大変かって、いきなりウッドベースの練習させられた淳」とさわお。苦笑いしつつ「しかも当日に弓で弾けって」と答える淳ですがそれすごいな。「お前個人練習スッゴイしてたよな」とさわおに言われると、「そういうこと言わなくていいよ」と照れてます。「何で? 好感度上げるところじゃん!」と、俗な発想のさわお発言に爆笑でした。

「3、4年前に作った曲なんだが、君たち的には新曲をやります」と始まったのが新曲「チェルシーホテル」。今回のライブで聴いたアレンジがそのままなのか、アコースティックライブ用に変えてあるのかはわかりませんが、ミディアムテンポのかっこいい曲調でした。ちょっと大人っぽい印象。ただ新曲というとラストの曲がインパクト強すぎてあんまり覚えていないのが正直なところです。

そのチェルシーホテルを歌い終わったあと、「新曲だからばれないけど、歌詞すごい間違えた」と正直に言ってしまうさわお。真鍋さんのほうを向いて「気がついた?」と聞くと「はい」とあっさり肯定されてしまいました。「そうだよなー」とちょっと楽しそうです。

真鍋さんといえば「レッサーハムスターの憂鬱」のときに、足でリズム取っていたのがよく見えてすてきでした。私の好みベストの髪型だった上に、客席の位置が高いせいで、そでのスタッフに音量の微調整を指示するpeeさんのエロい手の動きとかも堪能出来てものすごい満足ライブです(変態か)。

「今回はこういう、いつもと違ったライブなので、カバーをやりたいと思います」とさわお。「今日は僕が歌詞を書く上で影響を受けた二つのミュージシャンの曲をやります。まずひとつはピーズ。しんちゃんがいるから変な感じなんだけど(笑)。ピーズは上京してから出会ったバンドなんだけど、ハルくんの書く詞はストレートで、下品なところもあって、ピロウズの歌詞とはまったく違うんだよね。でもその歌詞の組み立て方がすごく好きで。もう一人は、僕が中学生の頃からのずっとロックアイドルである、佐野元春さん。佐野さんの歌詞は都会的で、その都会的な部分にすごく憧れがあって。今日やるカバーは両方とも新しい曲なんだけど、ピーズも佐野元春さんも、ピロウズよりも長く活動してるんだけど、ピロウズもそうだけど、長く活動してる人の新曲がいいって、すごく良くないか!?」と客席に問いかけると拍手が起きました。あたりまえだけどしんちゃんのドラムがかっこよかった(笑)。ピーズは「犬ぞり」佐野元春は「コヨーテ海へ」というイヌ科つながりの二曲が演奏されました。二曲ともいい曲でした。さわおも「かっこよかっただろ?」と自慢げ。可愛いやつめ。しかし「カバーっていいな! 考えなくても演奏できていいな!」と、感想が正直すぎでした。

「ピロウズは今年で20周年を迎えるんだが」のMCに大きな拍手。「これは結成20周年ってことで、あんまり考えてないんだけどデビューはそのあとで、1991年5月21日にポニーキャニオンから『雨にうたえば』って曲でデビューしました。次にやる曲はそのカップリングの、『キミと僕とお月様』という曲です」と、これも初めてライブで聴く曲へ。この日はとにかく古い曲がたくさん聴けて嬉しかったです。

そして次の曲へ。これがもうなんというか、イントロからしていつもとは雰囲気の違う、ものすごく美しく荘厳な「ONE LIFE」でした。アコースティックの音と青い芥子の舞台が余計に空気を変えていた気がする。終わったあと、メンバーが楽器を外しだしたので本編最後と分かりましたが、そうする以前からこの日一番のものすごく大きな拍手が鳴り止みませんでした。ほんとに素晴らしかった。

そしてアンコールでメンバー登場。ギターをかかえたさわおは「Wake upツアーのときに、事務所に36万のアコギ買ってもらったんだけど、今日は見た目重視で5万のこのギター(笑)」とボディを見せます。「ほら、俺最近白黒じゃない」とごきげんそう。「いいよね?」と真鍋さんに声をかけるのですが、「うん」と生返事。その直後正直に「ごめん、話聞いてなかった」と言ってしまうpeeちゃんです。「なんだよー」と不満そうにしますがすぐ、「そのギター可愛いね」と、peeちゃんのナインマイルス仕様のギターを指差すさわお。ちょっといい感じのフレーズを少し弾いて「ありがとう」と可愛く返す真鍋さんでした。客席からは歓声と大拍手。それを見て「ああいうのありなんだ」と、淳とひそひそ話すさわおが面白かったです。「まあ、安いギターでいいよね! 大赤字ツアーだし。今日の俺のこのカーディガンなんて1980円! こんなすごい緑色、誰が着るんだってあっ俺か。これとセットで買ったもう一枚なんてショッキングピンクだぜ?」と話していました。ほんと楽しそう。

「次もまた、ファーストアルバムから」と始まった曲は「want to sleep for」。ここでふたたびメンバーがステージから去って無人となります。さすがにダブルアンコールは無いかと思っていたのですが、さわお一人で登場。「もうレパートリーがないんだけど(笑)」と言いつつ、「なので弾き語りをやります」とギターをかかえました。「新曲を」との言葉に大きな拍手が起こります。

「ピロウズは今年20周年を迎えて…。これ何回も言ってるな。それで、20周年を意識した曲を作ってみようと思って、パイドパイパーツアーを回っているときに作った曲です。20年、シンイチロウ君と真鍋くんと一緒にやってきたことを考えて、出来た曲です。雨上がりに見た幻…」と曲名を言ったのですが、ちょうどファンの拍手とタイトルがかぶってしまったことに苦笑い。「いま拍手にかぶっちゃったな(笑)。『あめあがりにみたまぼろし』」と、もう一度はっきり区切りながら口に出していました。

そして始まった新曲は、もう素晴らしいの一言でした。これはもうピロウズというバンドを愛している人間にはたまらない一曲になる。周りの女性ファンの何人かは目をぬぐっていたし、私もちょっと泣きそうだった。バンドに対するすごく思いのこもった歌詞と、さらに未来を見据える切ない希望のようなほんとにいい曲でした。あの小さな、でも音響の素晴らしい箱で最初に聴けたことを幸運に思います。ふだんのライブだったら最後の曲のさわおの声なんて何言ってるか聴き取れたもんじゃない状態になっちゃってることも多いのに、一言一言はっきり聴こえてすごく響いたのが嬉しい。崖から落ちそうになったとき、手を伸ばして助けてくれた、といった歌詞でほんとに泣きそうでした。

曲が終わって立ち上がったさわおに、客席から起こった大きな拍手でまた泣きそうに。そして会場を出たところでアンケートを回収していたので、この感動をとりあえず感謝しておこうと久しぶりにアンケ書いてきましたよ。筆記具と用紙と机が準備されていたせいもあってか、アンケート書いてる人すごく多かった。みんなもきっとあの感動を書き記していたことと思われます。

チケット代は高かったけど、補って余りある素晴らしいライブでした。私のピロウズベストライブの上位に食い込んできた。正直一位かもしれない。DVD化が事前に分かっているのが安心です。