ハッピー&ラッキー

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スペース パイロット

2007-12-19 | コレクターズ
コレクターズの新譜「東京虫BUGS」の発売日ですがもう聴かれましたか! 昨日からずっとヘビロテして、「スペースパイロット」で何度も泣くので軽く脱水状態のわたくしです。昨日の記事にも書きましたがこの曲ほんとに好きだ。曲を聴いて泣きそうになる、とか、涙が出そうになる、とか、慣用句として使うことはありますが本当に泣いたのは初めてだ。あ、ゴメンもしかしたらあったかも。とにかく自分にはすごく珍しいことです。それくらい悲しくて優しいこの歌にやられた。と言うかこのアルバム全体が優しくて降参だ。いいアルバムだなあ。

さーここから暑苦しい感想始まりますよー。

スペースパイロット、これはおそらく「2万光年の旅路から」という歌詞にもあるように、主人公は長距離を旅する宇宙船に乗っているわけですよね。相対性理論では光速に近付くほどその物質に流れる時間は遅くなるという特性(いわゆるウラシマ理論)があり、超光速で宇宙を旅するパイロットが地上に戻ってきたときには親しい人々が皆歳を取っていたというSFが多くあることを思い出します。歳を取っていただけならまだしも、この歌の主人公は、妻が生きているうちに地球上へは帰られないんじゃないだろうか(25世紀 30世紀 そのずっと先 キミはいない)。それを思うとほんとに悲しくて泣く。でももっと泣けるのが、そのパイロットがそれでも「子供たちに教えて ひどい雨降らす厚い雲の上でも 赤い太陽はひかり 永遠を照らし ボクらの上 輝いてる いつまでも」と、歌っていること。この「宇宙船にただ一人」というモチーフは、あまりにも名曲「ロケットマン」を思い出させますが(そもそも対応するように作ったんだろうけど)、「言葉は枯れて 想いは錆びついて 気持ちも通じない 君とボク」と歌われたあの曲を思うと、宇宙船に一人、でも子供達に教えて、と、希望を歌うこの曲で泣かずにいられますか!(何故キレ気味)ロケットマンを書いていたときのリーダーの胸中などはさっぱり分かりませんが、「スペースパイロット」を、こんなにも優しく正しい世界観で歌い上げた加藤さんの現在は、すごくいい状況なんだろうなあと勝手に想像してしまいます。

歌詞もすごくいいんだけど曲自体も素晴らしい。サビの「妻に伝えておくれ」の部分のリーダの声の美しいこと山のごとし。歌うまいし低い音も高い音も自在に出せるリーダーですが、このサビの部分の音域ってリーダーの声が最も美しく響くレンジじゃないでしょうか。Aメロの声も柔らかくてうっとりする。間奏のギターとキーボードもきれいだなあ。ドラマチックでこの曲にぴったりです。

また歌詞の話に戻りますが(好きすぎる)、最後の「天国は見当たらない 今銀河を越え 僕はたぶん戻れない」が気になる。順調に旅をするだけでももう妻に会うことは出来ないスペースパイロットは、何か不測の事態が起きて、地球上に戻ることすら出来なくなってしまったんだろうか。それでもやっぱり「赤い太陽が光り 割れた雲間から 行くべき道を照らしてる どこまでも」ってどれだけ前向きなんだ。どんな苦難が起きてもこの頑固なまでの真っ当な感覚が、リーダーとかぶってまた泣けてしまう。今回は全曲解説とかないのかなあ。この曲の詳しい解説が読みたいですよ。そうでないと勝手に妄想して暴走してしまう(もうしている)。