平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

小泉氏の皇室「改革」

2006年01月28日 | Weblog
いま発売中の『週刊文春』2006年2月2日号は読みごたえがあります。ライブドア事件の背後には巨大な闇が広がっていることが予感されます。この事件がきっかけになって、この闇が表に引き出され、消えてゆくことを期待しています。また、アメリカ食肉業界の驚倒する実態が報告されています。これを読めば、米国産牛肉の輸入など、危険きわまりないことがよくわかります(来週紹介します)。

日本人は性根をすえて現実を直視し、勇気をもって正しい選択をしなければならない時期にさしかかっています。

閑話休題。産経新聞2006年1月27日の記事より――

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 政府が今国会への提出を目指す女性・女系天皇を認める皇室典範改正案に、「女系天皇は皇統の断絶だ」と危機感を募らせた男系継承尊重派の包囲網が強まっている。政府・自民党内に提出見送り論が高まる中、小泉純一郎首相は「今国会で成立させた方がいい」と強気の姿勢を崩さない。このため、党内からは「首相は郵政民営化の時と同様、反小泉勢力による政局ととらえている」などの憶測が出ている。

≪提出見送り論≫
 今週に入って、与野党第一党の国対委員長が相次いで「非常に反対論が大きくなっている」(自民党の細田博之氏)「拙速に決める話ではない」(民主党の野田佳彦氏)と、改正案の提出・審議に慎重な姿勢を表明した。特に細田発言は「やめた方がいいという官邸へのメッセージ」(国対関係者)とされる。
 二十六日、自民党の伊吹文明元労相は派閥総会で「皇室典範は憲法と対比されるべき基本法だから、その改正は野党ともかなり話さないといけない。皇室と政府に心の通い合う対話の関係も築かれないといけない」と述べた。久間章生総務会長も典範改正に慎重な考えを改めて示した。
 超党派の保守系議員でつくる日本会議国会議員懇談会(平沼赳夫会長、二百四十二人)も総会で「法案を強引に上程すれば、国論は分裂し、天皇のご存在の意義を損なう」として拙速な改正案提出に反対する決議を採択した。
 また、学者ら有志でつくる皇室典範問題研究会(代表・小堀桂一郎東大名誉教授)は同日、緊急記者会見を行い、問題解決の方策を提言した。
 提言は、(1)特別法を立案し、元皇族とその男子子孫に皇籍に復帰してもらう(2)皇室会議が対象者の中から年齢、経歴、適切な人数などを考慮して復帰をお願いする(3)復帰した者の皇位継承順位は、原則として現行の皇室典範の規定を適用する-など具体的な内容だ。

≪切り崩し図る≫
 首相は二十六日夜、「皇室典範に関する有識者会議」の吉川弘之座長(元東大学長)ら同会議メンバーと首相公邸で会食し、皇室典範改正案について「今国会で成立させる。安心してください」と明言した。首相に近い自民党幹部も各派の中堅議員に典範改正に反対する会合に出席しないよう呼びかけるなど、男系尊重派の切り崩しを図っているようだ。
 改正案提出見送りを進言した自民党議員は「首相は非常に硬く、私の意見は退けられた。改正案反対の動きはこれ以上広がらないとみている」と話す。
 首相が強硬姿勢を崩さない背景に、郵政民営化関連法をめぐって対立した平沼元経産相が改正案反対議員のリーダー格に納まっていることへの、首相サイドの警戒心を指摘する声もある。
 実際には、拙速な女系天皇容認に反対する議員と郵政民営化に反対した議員はあまり重なっていないが、一部では「皇室典範問題で小泉さんを攻撃しようとしているのは、郵政民営化に反対した人たちでしょう」(公明党幹部)といったうがちすぎた見方もある。

≪皇室も改革?≫
 首相の独特な考え方が、今回の皇室典範改正へのこだわりにつながっているとの観測も自民党内で広まっている。
 「小泉さんには、伝統や文化より合理化だという頭があるんだろう」
 自民党長老の一人はこう分析する。また、首相の宮中行事に対する言動を目撃した複数の関係者は、次のようなエピソードを紹介する。首相は、天皇が神々に新米を供え自身でも召し上がる新嘗祭に参列した際、「暗いから見えない。電気をつければいいじゃないか」と主張。周囲に「だから皇室はもっと開かれなければならないんだ」と話したという。
 また、歴代天皇、皇后らの神霊を祭る皇霊祭に参列したときには、宮内庁長官に「中で何をやっているのか」と質問。天皇、皇后両陛下に三権の長らが祝賀を述べる国事行為である新年祝賀の儀では、燕尾服着用を求める宮内庁側の要請に応じず、儀礼上、ふさわしくない紋付きはかまで通し「皇室ももっと改革が必要だ」と主張したという。
 関係者の一人は「首相は皇室の神秘的な伝統などは、不合理だとしか感じないのではないか」と危惧(きぐ)を示している。
(産経新聞) - 1月27日2時45分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060127-00000004-san-pol

今さら言うまでもないと思いますが、「女性天皇」と「女系天皇」はまったく違います。これまで、天皇家は「男系」によって継承されてきました。日本の歴史の中で、女性天皇は何人かいますが、女系天皇は一人も存在しませんでした。それが日本の伝統、天皇家の伝統でした。ところが、小泉首相の私的諮問機関である「皇室典範に関する有識者会議」は、わずか1年弱の審議で、女系天皇を認める答申を出したのです。

「皇室典範に関する有識者会議」
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kousitu/

その結論の当否はさておき、長い歴史を根本的に変える(まさに革命です)にしては、いかにも拙速という感じが否めません。保守派のグループから、女系天皇に対する強い反対論が出てきたのも当然だと思います。

現在の皇族についに男子後継者が一人も生まれなくなったということには、何か深い意味がありますが、私はこの問題について、今のところ、何も言う気もありませんし、言うこともできません。天皇の問題は日本の本質にかかわる問題で、根本的には神知によってしか答えは出ないと思っているからです。

しかし、どのような答えになるにせよ、国民の大多数が納得する答えでなければならないし、国民の大多数の納得が得られるような努力が必要だと思います。それなしに一部の人が出した結論を強行すれば、国民世論が大きく分裂し、天皇という存在が、「日本国民統合の象徴」(日本国憲法第1条)ではなく、「国民分裂の争点」になってしまいます。

小泉氏が拙速なのは、日本や皇室の伝統に対する無知に起因しています。小泉氏は無知なだけではなく、傲慢、不遜でさえあります。

「暗いから見えない。電気をつければいいじゃないか」
「だから皇室はもっと開かれなければならないんだ」
「中で何をやっているのか」
儀礼上、ふさわしくない紋付きはかまで通し「皇室ももっと改革が必要だ」

皇室にも変えなければならない点は、たしかにあるのでしょう。しかし、天皇の儀式と皇室に対する小泉首相の言動は、なんとも心が寒くなります。皇室に対する敬意がどこにも感じられないからです。小泉氏の日本史知識というのは、せいぜい織田信長とその他の戦国武将の、敵をいかに騙し攻略するか、という情報だけなのでしょう。

2004年5月10日に皇太子殿下が、欧州歴訪前の記者会見で、「雅子のキャリアや人格を否定するような動きがあったことも事実です」という発言をなさいました。この発言が皇太子が口にしてよいものかどうかは別にして、皇太子からは明らかにSOSが発せられたのです。それに対して、皇室を援助するための反応を小泉氏は何らいたしませんでした。小泉氏には皇室に対する敬愛の念がまったく感じられません。

小泉氏の「改革」の本質は、その文字がホリエモンのTシャツに踊っていたことに象徴的に示されています。大いなるものへの畏敬の念を欠き、自分の力で何でもできるという思い上がりは、ホリエモンと共通しています。そんな「改革」で皇室問題に手を突っ込まれたら、たいへんです。

皇室に対する敬意を持たない首相を、日本の神々が許すはずがありません。自分が天皇になろうと思った信長は、天下取り間近で明智光秀に殺されました。日本史から学ぶのであれば、そういうことこそ学ばねばなりません。小泉氏の没落はもうじき始まるでしょう。というよりも、もう始まっています。小泉政権はとても9月まで持たないでしょう。首相を辞めたあとは、今のホリエモンと同じく、マスコミからさんざん叩かれることになるでしょう。

こういう人間を昨年の9・11選挙で大勝させた日本国民が不明だった、と言うほかはありません。それはホリエモンを英雄視したのと同じ愚かさであることを、日本国民は痛切に反省しなければなりません。