平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

狂牛病(BSE)と狂鹿病(CWD) (5)

2006年01月18日 | 食の安全
(5)ニワトリのエサと糖蜜飼育

肉骨粉を豚や鶏のエサに使用するかぎり、飼料の製造・流通過程で肉骨粉の混入が避けられないことは明らかですが(代用乳の問題はあとで触れます)、とくに問題なのはニワトリのエサの場合です。というのは、製造ラインだけではなく、エサの使用場面でも汚染が生じる可能性があるからです。

肉骨粉を含んだエサをニワトリに与えても、牛のタンパク質自体は、雑食動物であるニワトリの体内で、ニワトリのタンパク質に変換されるはずですから問題はないでしょう(プリオンはどうなるのでしょう?)。しかし、アメリカでは、「容器からこぼれた鶏の飼料は、鶏の廃物と一緒にかき集められ、牛の飼料として転用されている」(暗いニュースリンク)ので、結局のところ、牛の肉骨粉がニワトリの飼料を経由して、ふたたび牛に投与されることになります。牛が牛の肉骨粉を食べさせられるわけですから、牛がBSEを発症する可能性があります。

ニワトリのエサの中の肉骨粉にプリオンが含まれていた場合、それは(a)ニワトリの体内で安全なタンパク質に変化するのでしょうか? それとも(b)プリオンのままにとどまり、体内に蓄積されるのでしょうか? (c)卵として排泄されるのでしょうか? (d)フンとして排泄されるのでしょうか?

(b)や(c)の場合、プリオンが鶏肉や卵として、人間の口に入る可能性があります。(ただし、プリオンは脳などの特定部位に蓄積されるので、その可能性はきわめて小さいと思われます)

しかし、なぜ、「容器からこぼれた鶏の飼料は、鶏の廃物と一緒にかき集められ、牛の飼料として転用されている」のでしょうか?

「アメリカの蓄牛は鶏の廃物、牛の血液、外食産業の残飯を摂取」させられている、と「暗いニュースリンク」は書いていますが、これについてもっと詳しく説明します。

「鶏の廃物」というのは、具体的にはニワトリのフンです。(3)のコメント欄で「杉」さんも書いていますが、ニワトリのフンに糖蜜をかけて、これを牛に食べさせるのです。その際、肉骨粉を含んだニワトリのエサがこぼれてフンに混入します。アメリカでは、それを全部集めて牛の飼料として利用しているのです。なんでこんな変なものを牛に食べさせるかというと、すべて経済効率の考え方からです。

牛は草ばかり食べていれば肥育が遅くなります。そこで肥育を早めるために牛に動物タンパク質を食べさせます。牛の・解体で、食用にならずに余った部分を肉骨粉として利用すれば、処理費用もはぶけて一石二鳥というわけで、肉骨粉の使用が始まったのです。(肉骨粉を最初に利用したのはイギリスです)

ニワトリのフンもきっと、牛の成長を早めるために投与されているのでしょう。それに安価ですし、フンの処理費用もはぶけます。すべて経済効率の考え方です。

しかし、(d)の場合、プリオンを含んだ鶏糞が牛のエサとなります。鶏糞からBSEが広まる危険性はないのでしょうか?

「牛の血液」についてはあとで述べますが、「外食産業の残飯」には当然、肉が含まれますから、そういうものをエサとして食べた牛はBSEを発症する可能性があります。