平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

バグダッドでの平和行事(4)

2005年03月24日 | Weblog
 最後のスピーカーであった私は、キッパとペヨットを着ていたので、開かれた宗教的ユダヤ人としてどう受け入れられるだろうか、確信が持てませんでした。私はイラク語ではなく、パレスチナ語の方言を少ししか話せないのを謝りながらアラビア語で話したとき、聴衆はうちとけました。私は次のように言いました。「私は、私たちすべての宗教にとって聖なる都市であるエルサレムから来ました。数千年間にわたって、ここイラクではユダヤ人はアラブ人と共存して生きてきたことを忘れないでください。私たちの伝統において第二の最も聖なる本がこの地で書かれました。それはバビロンにちなんで名づけられ、『バビロニア・タルムード』と呼ばれています」

 それから私は言いました。「私たちはアブラハムの生誕地ウルの近くにいます。私たちは父親が同じです。私たちユダヤ人はイサクの子供たちであり、あなたがたアラブ人はイスマエルの子供たちです。つまり兄弟なのです。また多くのユダヤ人がパレスチナの友人と平和と相互理解のために働いていることを知って下さい。聖地のすべての人は、それが神の土地であることに同意しています。究極的には、我々すべてはアダムとイブの子供であり、すべて一つの家族であり、人間家族なのです」。イラクの人々はみな同意して頷いているのが見えました。

 私たちはそれから、国立劇場の前にピースポールを建立するために外へ出ました。国立劇場はバグダッドで最も交通量の多い交通網の1つに接しています。私たちがピースポールに触れ、平和の祝福を捧げる時、みんなも一緒に声に出して唱えました。最初はアラビア語で「アッサラーム・リルアーラミ・アジュマ」、次は英語で「may peace prevail on earth」(世界人類が平和でありますように)と。バグダッドの中心部のこのような公共的な場所で、私たちみんながオープンに集まったのを目にするのは、全く魔法のような瞬間でした。

 それから私たちは「May Peace Prevail on Earth」と書かれた平和の横断幕を掲げ、集合写真に写りました。 それ以上長い間、集団で外でぐずぐずしていたら危険であると言われましたが、私たちは誰もそこを立ち去りたくなかったのです。多くの人がそれを歴史的な瞬間だと感じていました。ライードは信じられない思いで、頭を振って言いました。「奇跡だ。今日ここで何が起こったんだ」。そう、イラクにとっての奇跡。「人々はこのことを長い間話すでしょう」。

 ドナはあとで、「ユダヤ人をイラクへ連れてくるのは危険であると警告されていました」と書いてきました。当地の反ユダヤ的感情は強くて深いからです。「イスラム教徒がユダヤ人と一緒に座って平和を祈るなんて! そんなこと聞いたこともない」とライードは叫んだのでした。

 その夜、私たちはホテルで一堂に会して、ジェームズ・トワイマンの誕生日(トワイマンは3月20日生まれ)を祝う歌を歌い、彼とドナとほかの人たちが企画したこの驚くべき集まりを讃えました。ヤロヴィトはシャーマン的瞑想をリードしました。それから私は出席しているイラクの友人たちと一緒に、私たちのグループを、ユダヤ教のサバトの儀式の伝統的な最後の儀式であるハブダラの歌と踊りに導きました。

 バグダッドの最後の夜、スー族のチーフの娘グレースと私は、ニューバグダッドにある運転手サヘルの家に招待されました。そこで私たちは彼の家族、彼の両親、兄弟、その妻たちと会いました。私たちはその夜、ヘブライ語とアラビア語、アラム語、ラコタ語の単語を比較して過ごしました。

 日曜日の朝、達成感と安堵の気持ちを感じながら、私たちはアンマンへ車で戻りました。イラクとヨルダンの国境でミサイルのモニュメントが解体されているのに気づきました。そのことは1つの徴に思えました。

 アンマンのホテルのロビーで、私たちの数人はイラクの部族長たちのグループとたまたま出会いました。それぞれが中央イラクで最も大きな部族を代表していました。彼らは私たちがちょうど、バグダッドのダウンタウンからイラクの人々とともに平和を祈って帰ってきたと聞いて、喜んでいました。一人の長老は言いました。「私たちはアブラハムがイラク人であったことを誇りに思っている。あなたがイラクへ戻ってきたいと思うときはいつでも、あなたは私たちの客として大歓迎です」。

 聖地に戻ってきて私は、ハマスのヤシン師の暗殺後、イスラエルでは緊張が高まり、イラクでは危機がいっそう深まっているというニュースを聞きました。それにもかかわらず、その日バグダッドで種が撒かれたのだと強く感じたのです。私たちのイラクの友人ライードは私たちの集まりについて次のように言いました。「私たちはまだ長い道のりを歩かなければなりません。しかし、これはおそらく最初の一歩なのです」

 このレポートはドナ・マルハーンの助けで準備されました。

 以下でこの行事の写真を見ることができます。
http://www.emissaryoflight.com/_.aspx?content=iraq_pictures

シャローム サラーム
エリヤフ・マックリーン

※トワイマン自身によるバグダッドの行事のレポート(日本語)は、以下にあります。
http://emissary.jugem.cc/?eid=22#sequel