平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

平塚らいてう(1)

2005年03月13日 | 最近読んだ本や雑誌から
知人の尾形ゆき江さんから、立命館文藝会の同人誌「衣笠」11号をいただきました。この雑誌に掲載された尾形さんの論文「平塚らいてう――その崇高なる内面――」を読んで、これまで知らなかった平塚らいてうの姿を知ることができました。

平塚らいてう(1886~1971)といいますと、

「元始、女性は実に太陽であった。真正の人であった。
今、女性は月である。他に依って生き、他の光によって輝く、病人のような青い月である。」

という雑誌「青鞜」の冒頭の宣言によって、女権論者、日本のフェミニストの元祖として有名です。

しかし、尾形さんによると、こうしたらいてう像は、誤りとは言えなくとも、一面的であるとのことです。らいてうの行動と言葉の根本にあるのは深い宗教性であるというのが、尾形論文の主張です。

らいてうは日本女子大学に在学中から宗教に深く関心を寄せ、参禅し、見性体験をしています。この体験がどの程度のものであったのかはよくわかりませんが、ともかく彼女は自分を、女としてではなく、一個の人間として意識するようになったようです。

明治、大正、戦前の昭和期に生きた女性は、家制度の桎梏の中で、夫に従属することを強いられていました。女性にとっては、現在の私たちからは想像もできない不自由な世の中であったわけです。そういう中にあって、らいてうは世間の古いしきたりと制度に反逆し、自由人として生きようとしました。その根本にあったのが、霊なる自己の自覚であったのです。