「泣きながら生きて」を見て思ったこと。

2006年11月04日 | 世間いろいろ
文化大革命という混乱時代に行きぬいて家族愛をテーマにした「泣きながら生きて」は過去の「留学生シリーズ」の最終章にふさわしい番組だった。政治的背景はここでは省略するが1995年放映のNHKで「大地の子」は主役の孤児を演じた上川隆也、育ての親、朱旭の溺愛と生みの親、仲代達矢他の葛藤が見事に演じられ、最終話の長江で仲代と二人旅をし、日本に帰ろうと打診する父に対して「私は大地の子です」と中国に残り生きて行く様は感動した。今回の「泣きながら生きて」も文化大革命で苦難な暮しで教育すら受けられない(無論諸外国にもあるが)父親として母親として子供に夢を託す、そしてそれが親の責任であり一生懸命家族と離れ離れになり父は日本、母は上海、娘はニューヨークと。娘とは8年、妻と13年別れて暮らす。トランジットで父の住む東京にはきたがほんの一瞬のみ。言葉は少なく涙だけ。でも心で通じ合える家族の絆がうまく描かれていた。父は朝から晩まで働き娘はニューヨーク州立大学に見事合格し医者になれた。娘がここまで出来たのは父のお蔭であり、娘も親孝行をしてこれから生まれる子供達に夢と希望の応援をしていきたいと言う。「日本に夢と希望がある」と父は黙々と働き文化の違いを超越してひたすら家族の幸せだけに生きた日本での15年。そうした背景があるにせよ並大抵の決意が有り帰国を決めた機内では東京の空を涙で見ながら手を合わせてもひたすら涙が止まらなかった。「自分の国を発展しようとしている日本人に我々は学ばなければならない」と言っていた。でも俺は、そんな平和?な日本に居て異国の方にそんな言葉を言われて一人で見ていて恥ずかしくなってしまった。家族の絆、と周囲の応援やTVではない葛藤、苦難を乗り越えて飛行機は上海へと向った瞬間、今まで会えなかった時間を取り戻して末永く幸せになって欲しい、娘はきっと両親を更に尊敬し親孝行するに違いないと思った。その国の時代背景は違うけれど、とにかく感動とか以上に逆に今の日本の家族の「絆」にいろいろな意味で問題提起をした番組だった。