みたび、ソウゾウノゾウ

なるか、三度目の正直。

豊富温泉 川島旅館

2020-10-25 | いい湯だな



豊富温泉開湯90周年を迎えた2016年に全面リニューアルした、豊富温泉で最も古い温泉施設。
コンパクトなおしゃれ宿で、玄関先には人懐っこい白猫のれんげ君がいたりいなかったり・・・(宿の方によると名前の由来は白いからで、とても"猫アピール"の強い猫さんだそう)。

お風呂もまた、温度の異なる3つの浴槽があるだけのシンプルなつくりだが、ここでかつてない衝撃を受けた。

まずは脱衣所で温泉分析書を見て愕然・・・ナトリウムイオン4,432mgと塩化物イオン5,952mgは強塩泉には及ばないものの、かなりの濃厚さ。
ナトリウムイオンに加え、炭酸水素イオンも2,136mg含まれているので重曹成分がたっぷりだ。
メタほう酸494.6mgという数値も初めて見た。
そして、溶存物質(ガス状のものを除く)は、これまで訪ねた温泉で一番濃かった川湯温泉の倍以上となる13,320mg!!

お湯は5井の混合泉で、宿の方に尋ねたところ、豊富温泉の宿はいずれも同じ貯湯タンクから配湯されているので基本的には同じ泉質なのだそう。
どの井戸を利用しているか、いくつ利用しているか(混合泉の数)によって異なるということだった。
泉温は34.2℃とやや低め。

期待に胸を膨らませ、浴室の扉をスーッと引いた途端、なんだか懐かしい匂いに包まれた。
これは・・・そう、幼少期に暮らした古い宿舎の地下にあった物置の匂い(×臭い)によく似ていた。
控えめの照明で薄暗い浴室なので余計にその記憶と重なったが、そうかそうか、これがうわさの豊富温泉の石油臭か。
もっと油っぽい匂いを想像していたので意外だった。

露天風呂よりはぬるめに設定しているというメインのお湯に浸かると、39~40℃くらいの長湯を誘う心地よさだった。
半身浴ができるよう広めの段差があるのがありがたい。
原油を含んだ温泉なので、もっとドロドロしているかと思ったが若干トロトロ程度で、時折湯面に油膜が浮かんでいるのが見えた。
しばらく温まった後、隣接する低め(加温していない源泉そのままの温度)の浴槽へ。
浴槽が狭いせいか、湯の花の沈殿が特に多く、他の2つよりも濃厚な感じがした。
この2つの浴槽で温冷交互浴ができるのが素晴らしいが、さらに外には豊富温泉で唯一の露天風呂があった。
ここは結構熱くて湯もみ板も備え付けられていた。

入浴後はうっすらオイルを塗ったような肌感と、肌に染み付いた石油の匂いがクセになる(注:個人の感想です)。
2万年以上もの間、大地に堆積した植物の遺骸が泥炭となり、そこから熟成された天然オイルの中にわが身をゆだねるだなんて・・・贅沢すぎる!
含よう素泉は皮膚や髪の更新を早めて美しくし、コレステロールを下げ、動脈硬化の予防にも効果があるそうだから、今の自分にはピッタリだ。

脱衣所を含む館内の水道水はすべて飲用できておいしい。
立地的にはサロベツ原野が近いのがよい。
温泉街にコンビニはなく、最寄りは車で15分ほどのセイコーマート。

宿のすぐ目と鼻の先には「ふれあいセンター」があり、ここでは原油を使った入浴もできるそうだが、残念ながらコロナのために営業時間短縮中であり、今回は予定が合わなかった。
その隣には豊富鉱山天然ガス採取プラントがあり、天然ガスと温泉水を分離している(ここの貯湯タンクから各宿に配湯)。

ー2020年10月25日ー

芽登温泉 芽登温泉ホテル

2020-10-10 | いい湯だな



pH9.5のアルカリ性で、炭酸イオンが30mg、成分総計は少なめだが硫化水素イオンが含まれていて・・・どことなくオソウシ温泉系の泉質にも思えたが、大きく違うのは泉温が58.3℃と高いことだ。

川側の内湯はヒノキ板を壁面に用い、明るくて窓から見えるヌカナン川が最高。
露天よりも内風呂派、とりわけこじんまりとした内風呂好きの自分にとってはたまらない雰囲気だった。

湯口からは透きとおるように美しいお湯が注がれ、それが贅沢にもざぶざぶかけ流されていた。
宿のホームページには、ヌカナン川の川辺に毎分120ℓ湧き出る、とある。
ぬる湯と熱めの湯があり、ぬる湯には寝湯ではないが頭を置けるスペースがあり、これがまたリラックスするにちょうどいい。
やわらかなやさしいお湯だった。

内湯から繋がる「巨石の湯」は、男性専用時間が正午までで残念ながら15分間に合わず。
これは次回の楽しみに取っておこう。

ー2020年10月10日ー

丸美ヶ丘温泉 丸美ヶ丘温泉ホテル

2020-10-09 | いい湯だな



お得な「おとふけ割」を利用して素泊まりしたかったのだが、限定3室の争奪戦はかなり白熱しているようで断念した。

お風呂はシンプルに、適温の大浴槽とぬるめの小浴槽のみで、いずれも源泉の異なるモール泉。
石鹸・シャンプー、ティッシュはなくドライヤー有料の銭湯形式だ。
浴場内の掲示からはやわらかい文章で、限りある資源を大切に、というメッセージが伝わってくる。

温泉の出るカランで身体を洗い、大浴槽に浸かりながら、ひたすら人気の小浴槽の空きを待った。

小浴槽は泉温38度の源泉をかけ流している。
この奇跡的な温度とモール泉特有のとろとろに包まれ、いつしか全身気泡まみれになりながら、とことん癒しに癒された。
大浴槽には戻らず、小浴槽から脱衣所に直行するとさすがにヒヤッとしたが、不思議なことに服を着ると内からポカポカしてきた。
これこそがぬる湯の真骨頂、血管拡張からの血流改善か・・・風呂上り、思わず、ハーフかき氷を食べてしまった。

浴槽は消毒されているそうだが、まったく気にならず、大小とも気持ちのいいお湯だった。
そして、こちらの奥様のお客さん対応は神レベルである。
また来たい、という気持ちにさせてくれる。

ー2020年10月9日ー

濁川温泉 元湯神泉館 にこりの湯

2020-09-22 | いい湯だな





自分好みのとっておきのお湯をブログに記録しようと決めたのは、昨年、にこりの湯に出会ったことがきっかけだった。
最初に受けた感動が大きいほど二度目はそうでもなかった・・・なんてことはよくある話だが、にこりの湯はやっぱり相性がよい感じがした。

一年前にはなかった習慣として、入浴前に温泉分析書を眺めるようになった。
確かに「ナトリウム・マグネシウム-」という泉質はあまり見たことがなくて、正苦味泉(湧駒荘など)くらいかも。

炭酸水素イオン1,274mg、メタけい酸201.8mg、メタほう酸30.5mgと、美肌要素も申し分なし。
待合所の「にこり豆知識」の泉質紹介もとても読みやすい。

入浴後は、おなじみの温泉熱育ちのトマトジュース「なんでこったらにうまいんだべぇ~」をいただく。
当温泉から元気をもらいました!

※ ①加水、②加温、③循環(ろ過含む)及び④消毒処理(又は入浴剤使用)の4項目の表示について該当しない。

ー2020年9月22日ー



とにかくご主人の熱い温泉愛を感じた。

マグネシウムを含むめずらしい食塩泉。
内湯には低温から高温まであるが、加水はせず源泉からの距離で温度を下げているので、高温は45℃と超熱く、低温でも40℃とぬるくはない。
浴室内には入浴マナーから泉質・効能に至るまでこと細かな掲示がなされているが、これが不思議と嫌味にならない。
「キズがあっても心配せずお入りを」なんて、頼もしいことこの上ない。

こうした掲示が耐水ボードにマジックで書かれていたり、扇風機やドライヤーは置いてあるが節電を徹底したりするなど、無駄なコストは徹底して抑えようという姿勢がうかがえる。
一方、浴槽はしっかり磨かれて指でこするとキュッキュし、雨の日も屋根があって安心の露天風呂は蚊帳で囲われていて虫の心配もなし。

これだけの愛情が詰まって、料金はワンコイン500円!!
にこりの湯、とても素敵な温泉です。

ー2019年7月13日ー

黄金温泉

2020-09-08 | いい湯だな





炭酸ガスを豊富に含むことで知られ、毎年5月から10月までの間だけ利用することができる。

内湯の湯口から注がれるお湯はシューシューシュワシュワシュワと音を立て、中に入るとあっという間に泡の人となった。

外に出ると寝湯が1つと五右衛門風呂が2つあり、どちらも絶えずフレッシュなお湯が加わっているので無色透明、湯底からは気泡が絶えずポコポコ上がっていた。
一方、露天風呂は黄金色にお湯が酸化し、遠くニセコアンヌプリとセットで絵になる光景だった。

内湯に戻るとき、「★ 星を見えるときスイッチOFF」(原文ママ)という素敵な掲示を目にした。

溶存物質(ガス状のものを除く)は3,000mgを超え、炭酸水素イオン810.3mgのほか、メタけい酸175.6mg、メタほう酸66.8mgなど、たくさんの成分が含まれている。
炭酸ガスは皮膚からの浸透が早く、身体を内側から温めてくれるというが、今日のニセコは気温が30℃近くあったので暑すぎた。

ここは、入浴前に申し込んでおくとその場で手打ちし、湯上りに茹でたてを食べさせてもらえるという十割蕎麦も有名だったが、残念ながらこのコロナ禍を契機にやめてしまったそうだ。

ー2020年9月8日ー

川湯温泉 欣喜湯

2020-08-19 | いい湯だな
泣く子も黙るpH1.9の強酸性のお湯に浸かれば、信頼の殺菌作用と保湿効果で何もかもめざめてく新しい私・・・自分が生まれ変わったような気にさえなる。

温泉に含まれる成分は極めて濃厚で、溶存物質(ガス状のものを除く)はなんと6,637mg!
メタけい酸305.2mg、メタほう酸61.1mg、鉄(Ⅱ)イオン53.8mgなど、いずれも数値がとても高い。

そんなお湯なので、目に入ると悶絶するし、勇気を出して鼻から吸い込んだら、激辛ワサビを食べたときのように脳髄に電気が走り、それから激しくむせて翌日までヒリヒリただれた(鼻に流して蓄膿症が治った人がいるという話を聞いて、通年鼻不調の身としてはぜひ試してみたかったが・・・無念)。
また、口に含んでぐちゅぐちゅした人がお歯黒になったという話もあり、さすがにそれはしなかった。

2019年4月に大浴場1階を半露天風呂にリニューアルした。
外から入ってくる風が心地よかったが、窓を閉められるような造りではなく、宿の人によれば冬は大変だとか。
夜はかなり明かりを抑えているように感じたが、それでも虫は大丈夫なのだろうか。

川湯温泉ファンとしては、硫黄山に真っ白なイソツツジが咲き誇る6月にぜひ一度訪ねてみたい。

ー2020年8月19日ー

大雪高原温泉 大雪高原山荘

2020-08-09 | いい湯だな



秘湯感満載のこのロケーションでpH2.9の酸性泉とくれば、ついつい濃いめのお湯を想像してしまうが、驚くことに溶存物質(ガス状のものを除く)はわずか175mg!!
そもそも特殊成分である水素イオンが1.3mg含まれている時点で刺激の強い温泉ということになるが、それでもあとちょっと少なければ酸性泉ではなく単純温泉だ。

ただ、このライトな酸性泉が下山後の疲れた身体にえらく心地よい。
爽快感とともに、温まり効果と殺菌効果も期待できる。

湯を注ぐクマーライオン(ではなく、ただのクマ)のいるシンプルな内湯はカランを含め明るくきれいで、外に出ると乳白色に酸化したお湯をたたえた露天風呂が一つある。

※ ①加水、②加温、③循環(ろ過含む)及び④消毒処理(又は入浴剤使用)の4項目の表示について該当しない。

ー2020年8月9日ー

石狩金沢駅前温泉 開拓ふくろふ乃湯

2020-08-08 | いい湯だな
昨年、ふくろふ乃湯のご主人に勧めていただいたことがきっかけとなって温泉ソムリエになった。
お礼がてら、久しぶりにあのお湯に入りたいと思って営業情報を調べてみたところ、6月20日から無期限休業、7月14日で閉館されたことを知った。

日帰り温浴施設を経営していくことの難しさ、コロナ禍の影響、それでもかけ流しのお湯にこだわる姿勢・・・お客さんを第一に思うご主人の人柄がにじみ出たフェイスブックの記事を拝読した。

もっと足繁く通えばよかったという後悔は尽きないが、一回でもこのふくろふ乃湯に入れたことは幸運だったと考えよう。
ご主人の温泉愛にあふれた素晴らしい温泉だった。

ー2020年8月8日ー



施設はこじんまりとしているが、ご主人の行き届いた心遣いと清潔さへのこだわりを強く感じた。

浴室の粗めのシャワーヘッドは一般的な日帰り入浴施設では味わえない快適さ、排水にも工夫を凝らしているように思えた。
お湯は肌を包み込むような濃いめのモール泉で、長湯を誘うぬるめの露天風呂では、蚊取り線香のかおりがまたなんとも言えず落ち着いた。

風呂上がりの冷蔵庫の麦茶は自由だし、冷凍庫のアイス(有料)のラインナップも悪くない。
ドライヤーもティッシュも置いてあって親切だった。

ー2019年7月26日ー

旭岳温泉 湯元湧駒荘

2020-07-11 | いい湯だな
湧駒荘には全部で5つの源泉があり、日帰り入浴できる「神々の湯」にはそのうちの2種類、「芒硝泉」(源泉名:1号孔)と「正苦味泉」(源泉名:22号孔 目薬の湯)がある。
それぞれメタけい酸が多く、1号孔に216.1mg、22号孔に193.3mg含まれる。
吹き抜け天井の広々とした木の空間に、ほのかな光が差し込む情景はなかなか幻想的だ(カランの木の桶がまたよい)。

芒硝泉でしっかり温まってから、少しぬるめの正苦味泉にじっくり浸かるのがいつものパターンだが、日帰りだとどうしても帰りの時間が気になってしまう。
せっかくならば夏、長い山旅を終えてこちらに泊まり、宿泊者専用の「ユコマンの湯」と「シコロの湯」を堪能できたら・・・(こちらはぬるめのお湯が多いようなので夏にピッタリ)。

余談ながら、湧駒荘の公式ホームページはすばらしい。
宿の魅力が分かりやすく紹介されているが、温泉については特に詳しく、自家源泉をできる限り新鮮な状態で提供できるよう、加水や消毒を避けることはもちろん、ありとあらゆる工夫をされていることが伝わってくる。

もう一つ余談ながら、湧駒荘といえば、ソチ五輪銀メダリスト(スノーボードアルペン)の竹内智香選手のご実家。
一度だけ旭岳とこちらのフロントでご本人にお会いしたが、非常に感じのよい爽やかな方だった。
湧駒荘とともに竹内さんも応援したい。

ー2020年7月11日ー

虎杖浜温泉 湯元ほくよう

2020-04-11 | いい湯だな



かなり年季の入った外観で、この手の温泉施設は中に入るとたいてい受付の人が一人いるかいないかの寂しげなイメージなのだが、ここはちょっと違った。
なんというのか、建物にも人にも老舗の風格のようなものがあって、とても温かくて頼もしい感じがしたのだ。

広い内湯にはシンプルに熱め43℃・普通42℃・温め41℃の3つの湯船があるのみだが、クセのないナトリウム-塩化物泉はただそれだけで素晴らしく、それ以上なにもいらないという気分になった。
普通42℃に浸かると、ジャージャー流れ出る湯の滝の中に白いコップを発見。
しょっぱさが全然なくて飲みやすいお湯だった。

とろみがあって、ポカポカと温まりも早い。
温め41℃の床はつるっつるでずっこけそうになった。
露天風呂は深めの下段が冷たくて入っていられず、上段は浅くて長湯にちょうどいい湯加減だった。

館内のポスターに、ここのお湯の魅力が余すところなく簡潔に書かれていて感服した。
「地下1,000メートルより湧き出る当ホテルの源泉は摂氏47~49度と四季を通じて常に安定し、入浴・飲用に適し、100%の純度で温泉の効果、効用を楽しめます」
「当ホテルの源泉より、何千年前の眠りからさめた、地球の恵み温泉。毎分1200リットルという最大級の湯量が毎日浴槽からあふれております」

利用時間はなんと早朝5時から夜遅く23時まで、日帰り入浴料金は550円と良心的。
しいて不満があるとすれば、貴重品ロッカーが「100円戻らない式」なことくらいだろう。

※ ①加水、②加温、③循環(ろ過含む)及び④消毒処理(又は入浴剤使用)の4項目の表示について該当しない。

ー2020年4月11日ー