前略、ハイドン先生

没後200年を迎えたハイドン先生にお便りしています。
皆様からのお便り、コメントもお待ちしています。
(一服ざる)

坂本龍一 WAR HEAD(ウォー・ヘッド)

2011-10-14 23:17:48 | クラシック以外の音楽
ここらで一つ、サカモト君の曲も紹介しておかないと・・・。


坂本龍一氏といえば、すでにYMO以降の活躍・実績の方が一般的かもしれません。

代表曲もソロ・ワークスの中では
「戦場のメリークリスマス」のテーマ曲(Merry Christmas Mr Lawrence)や
CMに使われて大ヒットした「エナジー・フロー(Energy flow)」
などを挙げる人が多いでしょう。

でも、少年時代にYMOブームにぶち当たった自分にとって
ソロ・ワークスのベストといえば1980年に発売された「WAR HEAD」になります。
まあ、ソロ・ワークスといっても参加ミュージシャンを見ればYMOとほとんど変わらないんですけど。

ネットで調べると坂本氏の曲で一番好き、という方が結構多いですね。
曰く、最もアグレッシブ、最もロック等々・・・
(ちなみに「WARHEAD」はミサイルなどの弾頭という意味だそうです)


この曲のカッコよさは、なんといっても曲前半で、
意味深?な単語や短いセンテンスを"ラップ調"というかシャウト気味に歌う
クリス・モズデル氏(Chris Mosdell)に負うところが大きいでしょう。

  Sure cuts you down to size
  The Angry-Young-Man BLAM-BLAM!
  Blue-gun-eyes
  A nice knife smile
  Man, it's Ghingus Khan

ちなみにクリス・モズデル氏はYMOの英詞を担当していますが(「WAR HEAD」の歌詞も)、
それ以外にも幅広く活躍している凄いお方なんですね。

曲後半は、歌詞が聴き取れないほどボコーダーで歪められた坂本氏の歌。


当時買ったシングル盤(EP)は紫色のカラーレコードでした。
そういうことも含めて全てがカッコよかった!


(私の文章力ではどういう曲か表現できないので、興味のある方は「ゆうつうべ」をご覧下さい)

schola スコラ ~坂本龍一 音楽の学校~ 「古典派編」第2回目

2011-10-09 07:51:58 | テレビ番組
坂本龍一『スコラ~音楽の学校~』第2シーズン、「古典派編」の第2回目です。

今回はハイドン先生が(一応主役で)取り上げられました。
題して「ハイドン(先生)の功績」。


ただ番組冒頭、「ハイドン(先生)とはどんな作曲家だったか」という解説が
某出演者からありましたが、その"前半部分"の「紋切型」の説明は如何なものでしょう。

 永い間貴族のお抱え音楽家だったので(作品で)自己主張することは許されず、
 晩年になって(ザロモンセットの頃)ようやく自由に曲を作ることができた云々・・・
 百曲以上の交響曲のうち大半は食事時のムード音楽のようなもの・・・

確かに事実かもしれませんが、
こういう、あまりにも"単純な"解説が、ベートーヴェン以降の作曲家に比べて「お抱え作曲家」は・・・
というイメージを植えつけてしまうのではないでしょうか。

解説の後半部分

 チケットを販売するコンサートのために曲を書く、というのは音楽史上初めてのこと
 (ロンドンで行われたザロモン主催のコンサートのこと)

というのは素晴らしいのですけど。
(こんなところにツッコミを入れるのは私ぐらいか)


バロック時代の作品との違いについては、弦楽四重奏曲第39番『鳥』が
ソナタ形式の第1主題、第2主題の対比としては、交響曲第101番『時計』が
例として使われていました。

解説しやすい曲を選んだのでしょうが、弦楽四重奏曲第39番『鳥』とは結構渋い選曲です。
(曲は明るいですけど)


まあ、なにはともあれ、ハイドン先生が取り上げられるのはうれしいことです。

フランク 『大オルガンのための6つの小品』より「終曲」

2011-10-08 21:19:08 | セザール君の作品
教会のオルガニストも務め、
即興演奏の腕前も「バッハの再来」と賞されたセザール・フランクは
オルガン作品をいくつも残しています。

一般的に演奏機会が多いのは、最晩年の『3つのコラール』や
『大オルガンのための6つの小品』の中の数曲でしょうか。

『大オルガンのための6つの小品』は小品とは名ばかりで
第2曲「交響的大作品」は30分近くありますが・・・。

第3曲「前奏曲、フーガと変奏曲」は色々な方のピアノ編曲版もあり、
CDでも結構聴けます。


今回、ミヒャエル・フローンマイヤーというピアニストが演奏する
ピアノ編曲版オルガン曲集のCDを買いました。
珍しく『大オルガンのための6つの小品』の第6曲「終曲」のピアノ版が
含まれていましたので。

この「終曲(Final)」という曲、
時間も11~2分ですし、覚えやすい勇壮な旋律が全編に出てきますので、
比較的地味になりやすいオルガンコンサートでも映えると思うのですが
あまり演奏される機会はないみたいです。




中間部はこの主題の音型から派生した、ゆっくりとした旋律になります。
この辺のコントラストが実に「うまいなあ」と感じます。




一番の聴きどころは曲の最後。
様々な音色・和音が洪水のように溢れ出る中、その"背後"で冒頭旋律が微かに流れるところです。


我が家の小さなコンポでは、パイプオルガンの音は少々聴き取りづらいのですが、
今回のピアノ版だと旋律の動きがよくわかり、改めて「いい曲だなあ」と実感しました。

オリジナル(オルガン版)でもピアノ版でも、絶対"コンサート映え"しますね。

クリップス指揮 モーツァルト交響曲第40番・第41番(猫丸さんご推薦)

2011-10-06 20:17:51 | クラシック音楽
近頃は、クラシックのCDは大抵、中古ショップで購入しますが、
いつもお世話になっているのがディスクユニオンです。

先日立ち寄った際、『猫丸しりいず』という本が置いてありました。
ディスクユニオンのスタッフブログで連載されているコラムをまとめたもので、
著者は「猫丸」さんこと、中馬和博さんです。

さすがはクラシック専門館にお勤めだけあって、その知識量は膨大で
名曲・定盤から珍曲・迷盤まで幅広く紹介されています。
ためになる情報も大変多く、その上文章も面白いし表紙のイラストもカワイイ。
(でも840円はちと高いかな・・・)


その本の中で、
ヨゼフ・クリップス指揮/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の
モーツァルト交響曲第41番『ジュピター』が紹介されていました。

タイトルは『「普通」は非凡なり』です。

猫丸さんは、クリップスの演奏を聴いた後は、
「個性的で面白かった」ではなく「良い曲を聴いた」という感想が浮かんでくる
と書かれています。
そしてそれは、とても難しく一朝一夕にはできないことだ、と。


ドヴォルザークの『ドゥムキー』のところで書きましたが、
私もピアノ三重奏曲などは、有名なソリスト達が個性をぶつけ合う演奏よりも
生粋の?ピアノ・トリオのアンサンブルを重視した演奏の方が好きなのですが、
それと同じようなことかもしれません。

私はこの本を読むまで、恥ずかしながらクリップスという指揮者を知りませんでした。
モーツァルトの交響曲を買う時は、大抵古楽器や室内オケの演奏を選ぶのですが
大変感興をそそられたので、早速CDを入手しました。
(買ったCDでは「ヨーゼフ・クリップス/ロイヤル・コンセルトヘボウ」という表記でした)

モーツァルトの第40番と第41番が入っていますので、まず第40番ト短調から聴き始めました。
第41番『ジュピター』は大好きな曲ですが、第40番は有名な曲ですけれども
それほど好きではなく、実はほとんど聴きません。


ですが、今まで聴いた中で最高の演奏でした。
名曲中の名曲ですので今更こんなこと言うのもなんですが、この曲が好きになりました。
ゆっくりとしたテンポで始まり、丁寧にしっとりと美しい旋律を聴かせてくれます。
有名な旋律ですが、こんなにもたおやかで優しい曲だったとは・・・。
1曲聴いただけで言うのは性急ですが、これがクリップスの真骨頂なのでしょうか。

クリップスは根強い人気があるようですが、私も俄然、興味が湧いてきました。



追記
と・・・これを書いているうちに第41番『ジュピター』も聴き終わりました。
まさに「猫丸さん」の言葉通りでした。
涼しいを通り越して肌寒い秋の夜長。良い曲を聴きました。