前略、ハイドン先生

没後200年を迎えたハイドン先生にお便りしています。
皆様からのお便り、コメントもお待ちしています。
(一服ざる)

題名のない音楽会 『究極の人間賛歌!カルミナ・ブラーナ』

2011-12-11 19:28:51 | クラシック音楽
今日放送された、テレビ朝日『題名のない音楽会』で取り上げられたのは
「名曲百選14 生命(いのち)を謳え!究極の人間賛歌!」と題された
オルフのカルミナ・ブラーナでした。

バラエティ番組のBGM?などでもよく使われるので、
クラシック音楽を聴かない人でも第1曲「おお、運命の女神よ」の冒頭は
知っているかもしれません。

編成が大規模ですので、生で聴く機会はあまりありませんが、
演奏の出来・不出来にかかわらず「感動」が約束された曲でもあります。


「人間賛歌」といっても、ベートーヴェンの第九の「賛歌」とは異なります。
「世俗カンタータ」の名のとおり、人間の本性や欲、男女の愛などを謳った、
ちっぽけで普通な、でも、だからこそ愛すべき人間(人生)への賛歌です。
(歌詞はドイツ、ボイレン修道院に保管されていた古い民衆の歌が元です)

シンプルな和声と力強いリズムの繰り返し。それによってもたらされる圧倒的な迫力と感動。

それこそ音楽本来の姿なのかもしれません。


CDでは、ヨッフム盤が名盤として名高いですね。
確かに強烈にスタッカートをかけた合唱団の歌唱は、それだけで異様な雰囲気を醸し出してますし、
フィッシャー・ディスカウの歌声が聴けるのもポイントが高いのですが、
私が長年愛聴しているのは、レヴァイン・シカゴ響盤です。

シカゴ響の(相変わらずの)迫力もさることながら、なんといってもソリスト、
特にフィリップ・クリーチ(テノール)のソロ!

ソプラノ(ジューン・アンダーソン)の有名な第23曲の超高音も凄いのですが、
テノールソロ(これも超高音)が活躍する第12曲「かつて私は湖に住んでいた」を
ファルセットではなく実声?で歌いきるあの迫力。
丸焦げにされて皿の上にのせられた白鳥の、嘆きではなく恨みの絶叫のようです。

この1曲だけでも聴く価値があると思います。


番組では要所々々端折りながらの紹介でしたし、オリジナルにはないナレーションも加わってましたが、
最終曲(第1曲の繰り返し)を聴いていて涙がでてきたのは、単に迫力ある曲だからというだけではなく、
「人間賛歌」ということの意味が琴線に触れたからかもしれません。