山の頂から

やさしい風

タツ子さん

2012-07-03 23:45:27 | Weblog
 小麦色のすらりとした肢体。
全体的に筋肉質で肩幅はガッチリとしている。
タンクトップに超ミニスカート、ミュールを履き、
うす色のサングラスをして、それが整った顔立ちに良く似合っている。
けれど目深にかぶった帽子の端にのぞく後れ毛が僅かに白い。
「おはようございま~す。タツ子と申します。よろしく!」
彼、いや彼女、いえいえやっぱり声からして男性のその人は、
青色の小型車から飛び出し私に向かって声をかけ、
やや斜めに曲げた膝に両手をあて丁寧なお辞儀をした。
そして遠目にも分かる胸のふくらみ・・・

 約一ヶ月半ほど前から大曲駐車場でカーラジオのボリュームを上げ、
ラジオ体操をする≪彼女≫を見かけるようになった。
軽く朝の挨拶を交わすようになった先日の朝、
何時もの時間より少し遅れて散歩に出た私はタツ子さんに呼び止められた。
「今朝は遅いですね」目に優しい光を湛えながら小首を傾げた。
「何か御商売でもしておられるの?」と尋ねると、
≪彼女≫は無職であることを打ち明けた。
「働きたいの・・・」と少し身体をクネクネしながら僅かに顔を曇らせた。
そして再び小首を傾げ胸周りの開いたTシャツを着ていた私に、
「素敵なバストね。うらやましいわ~」と言った。
「はぁ?はぁ⤵・・・・」返す言葉もなくて戸惑う私に、
≪彼女≫は微笑みつつ咥えた煙草の煙を燻らせた。
なんともなぁ~~奇妙な気分の朝だった。

 今や社会権を得た【オネエ系】の彼等、
いや≪彼女等≫をテレビで見かけぬ日はない。
女よりも女になろうと努力を重ねる姿勢は脱帽ものだ。
国際社会の一部では同姓婚まで認められるという世の中だから、
何がどうあれ驚くこともない。 しかし、しかし、しかし・・・・

 今朝もタツ子さんは私の姿を見かけると車から飛び出してきて、
「おはようございま~~す」と両の手を膝にあて丁寧に挨拶をした。
道路の真ん中を大股でガツガツと歩く私も、
手にしたステッキを大きく振り上げて負けじと大きな声で、
「おはようございま~~す」と返した。
【あじさい祭】もあと僅か。祭りが終われば梅雨明けも間近かだ。
今年の夏も酷暑だろうか? 巷では原発反対!と、
まるで意味のない姿恰好をした女性が気炎を上げデモっている。
ジャンヌダルクを気取っているのか否か、余りにしどけない姿ではある。
<反原発、増税反対!!>を唱え新党を立ち上げた【剛腕政治家】
≪国民の生活が第一≫と歯の浮く様な御託を並べ一本調子でメモを読む。
場化や吾方でも政治家に、男が女に、女が男になる世の中。
ああ、何が何だか分からなくなった~~  差し当たり私にとって、
タツ子さんのスカートがこれ以上短くならぬよう願うばかりだ。

  【夏朝やもの皆生気みなぎらせ】  初桜

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