山の頂から

やさしい風

竹落ち葉

2008-06-11 06:04:02 | Weblog
会計をする青年の顔に見覚えがあった。
「あの・・・とり重がお好きな・・」思い切って聞いてみた。
果たしてそうであった。 「そうです。5月に親父は死にました」

 当店の【とり重】が大好きだと云って、十数年来みえる方がいた。
初めて来店された時は、小学校の低学年の少年を連れみえた。

 それから何年が経っただろうか、少年は滅多に姿を見せなかった。
成人となり東京でサラリーマンをしていると聞いた時、
よそ様のお子さんの成長の早さに、ただ々驚いた。

 3月頃に御夫婦で来店されたのは記憶していた。
そして今日、亡くなったと聞いて言葉が出なかった。
4月に退職をし、7月から年金を受給する矢先であったという。
61歳。クモ膜下出血。呆気なかったと青年は言った。

 とてもショックで残念と、お悔やみを述べる私に彼は、
傍らで、少しはにかむ新妻を見遣り「今度は僕が、妻と来ますよ」と微笑んだ。

 こんな小さなドラマを幾つ見てきたことだろう。
梅雨の晴れ間、紫陽花の蕾が未だ固い今日であった・・・

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