山の頂から

やさしい風

ハグの樹

2007-12-29 10:56:31 | Weblog
 昔、大変美しい娘がいました。

貧しいが志の高い若者と愛し合っていました。

二人は見晴らしの良い高台に二本の木を植えました。

楓と紅葉を並べて植えながら約束をしました。

この木が大きく育つ頃に一緒になろう・・・

若者は必ず仕事に成功をすると決心をしました。

そうして彼は海を渡り貿易商人として努力をしました。

辛く悲しいことの連続でした。死んでしまいたいような時もありました。

しかし、歯をくいしばって彼女を想い頑張りました。

娘は沢山の縁談にも見向きもせず、ひたすら彼を待ちました。

しかし、彼が出かけて十年後に重い病で亡くなってしまいました。

彼は、仕事に大成功を収め日本の地を踏みました。

実に五十年の月日が立っていました。

何もかも失われてしまった時・時・時。

あの高台に見たものは・・・

絡み合った二本の楓と紅葉の樹でした。

秋の頃は他のどの樹よりも見事に染まって輝くのです。


しっかりと互いを抱き合うように遠く平野を見下してながら・・・