山の頂から

やさしい風

器用な女

2007-12-19 14:09:18 | Weblog
 和子は内心心配したが余裕がなかった。
3つの仕事をかけ持ちした。
女の細腕で子供一人を養わねばならない。
兎に角、頑張って徹を見返してやりたかった。
我武者羅に働いた。
千秋も心配させまいと健気な態度を見せる。
それが又、和子には不憫だった。

 そうして2年が過ぎた。
千秋は中学校の3年生になろうとしていた。
私学に行きたいと希望する彼女の願いを聞いてやりたいと
和子はもう一つの仕事を増やした。
週に2回出る仕事だったから、どうにかこなすことは出来た。

 そんな中、和子の前に一人の男が現われた。
彼は父親とビル清掃の会社を経営していた。
和子が週2回出る会社のオーナーだった。
彼もまた、バツ1であった。
子どもは二人いたが女の子は妻が連れて出て行った。