■くらま母港の居酒屋探訪紀行
くらま除籍から明日で一年です。そこで今夜は春分の日祭日という事で護衛艦くらま生涯36年の母港、佐世保の夜を紹介しましょう。居酒屋探訪紀行です。
護衛艦くらま、ヘリコプター搭載護衛艦第一陣の四隻として建造された一群の護衛艦群、はるな、ひえい、しらね、くらま、第一世代型DDHとしてヘリコプター巡洋艦型の優美な設計は、第二世代の全通飛行甲板型護衛艦とは一風違ったハンサムな艦容に心惹かれる。
ヘリコプター搭載護衛艦くらま除籍から一年が経ちました。そこで護衛艦くらま除籍にあわせ、佐世保の夜の愉しみを特集しましょう。どうせならいい旅にはいい酒いい肴、佐世保は帝国海軍以来連綿と続き横須賀佐世保は東西の軍港都市として名を轟かせています。
佐世保、夜の街並みを散策しますと居酒屋の仄かな灯火が風に揺れて軍港情緒を誘うと共に同盟国米海軍の水兵士官が醸す異国情緒が混ざり合い一種独特の気風を織り上げています。名物は多い。レモンステーキに佐世保バーガー、あごだしラーメンに海軍カレーなど。
鳥きん、佐世保を訪れたならばここは外せない。横須賀と舞鶴で聞きましたお話です。丁度ドナルドキーン博士の話題がNHKで特集されていたお店のカウンターでのお話、よく似た響きの“鳥きん”は妙に記憶に残りまして、佐世保にて当然の様に迷い、難渋したすえ。
水兵さんに聞こうにも周りは米海軍ばかり、仕方なく博多水炊きのお店の向かいにある交番で聞いてみますと、驚き、お巡りさんも御存じのお店、詳しい道を教えていただきました。佐世保市本島町四丁目というところにあるという。着いてみれば、さっき通った所だ。
鳥刺盛をひとつ。鳥刺盛ですよ鳥刺盛、とは横須賀の酒場で聞きました、おおなみ乗員さんの笑顔、この横須賀にも無い美味珍味という。その名の通り、鶏肉の御刺身です。生食はいろいろと注意が、の鶏肉ですが、これを鳥刺で出せるだけに余程の自信でしょう。
はつ・ねっく・すなずり・レバー・とりむね・ささみ、成程鮪や鰹に鯛と魬は平らげてきましたが、この薄桜色と桜色に牡丹色の鳥刺四品盛、いいのかい、とにやけ顔になっている自覚も少々に、生姜を溶かし込んだ醤油にさっと潜らせ、胡麻焼酎片手に早速と頂く。
初音ミクではなく、はつ・ねっく・すなずり・レバー・とりむね・ささみ、四点盛り、六点盛り、八点盛りとありまして、単品注文も出来るのですが、希少部位は単品注文が出来ず、しかし希少部位は四点盛りからしっかいりと更に並ぶという事で、こちらがお勧めだ。
鳥きん、その名の通り焼き鳥を中心とした鳥料理のお店なのですが、はつ・ねっく・すなずり・レバー・とりむね・ささみといえば串に刺して塩味か甘辛いタレを炭火で焼きあげる、そんな常識をぽん、と吹き飛ばす、54口径5インチ単装砲の射撃のような衝撃である。
くらま、こんごう、あしがら、ちょうかい、の佐世保基地、対して、いずも、きりしま、の横須賀基地や、ひゅうが、みょうこう、あたご、の舞鶴基地がありますが、佐世保の鳥刺は、他の基地の街では中々、というもの。よく合うのは胡麻焼酎紅乙女、独特風味だ。
はつ・ねっく・すなずり・レバー・とりむね・ささみ、驚くのは部位によって歯ごたえと風味が目に見えて個性があるのですね。しかし、九州でいちばんうれしいのは酒飲みに大らか、ということ。ぱこぱこ頂いても周りの視線も気になりませんし、楽しく過ごせます。
九州は鳥刺の食文化があると共に、度数の高い焼酎文化が盛んです。一説には久留米の幹部候補生学校から陸自幹部が北海道へ焼酎文化を四個師団規模で広めたというほど。何杯飲んでも手頃で、しかも一杯の喉越しが焼け付くような快感、居酒屋を愉しめる秘訣です。
焼酎は同じでも、九州で頂くと何か違うような、周りも何杯も重ねていますし、そして杯を重ねても気分よく過ごせるのは、焼酎の風土が九州の風土に溶け込んでいるからでしょうか、翌日に響く事は、九州の方々で頂きましたが、快活の翌朝を迎える事が出来ます。
お茶漬けの味、やはり占めというところはお茶漬けでしょうか。いやあご出汁ラーメンでトビウオの透き通ったラーメンを、という選択肢が一瞬頭をよぎりますし、カレーを食べてない、とも思ったりするのですが、自己完結、お茶漬けとしましょう、なにを頂くかな。
鯵茶漬けを〆に、出汁を海苔のさざ盛りの真上から注いで、浸したが早いか、箸で一気に掻き込む。だくだくと胃の腑に注ぎ、胡麻焼酎で酔いが廻る五臓六腑を、銀シャリが茶漬けで満たしてゆくところで、店主さんに、やり遂げた顔やねえ、と笑われてしまった。
鳥きん、佐世保市内はホテルが佐世保駅周辺の多く集まっています。この繁華街にもホテルはあるにはあるのですが、佐世保駅前のホテルは佐世保基地の立神桟橋や倉島桟橋も望見できまして、その夜景も素晴らしい。鳥きん、を出て夜風に浸りながら駅へと戻ります。
くらま、除籍まで佐世保には、通ったものですが、鳥きん、やはり人気店のようです。満員で一寸待ってネ、という事もありました。吾妻寿司という、軍艦お名前なので寄せられたお店を開拓したり、まあ、予約を入れて来店をお勧めなのかもしれませんが、好い店だ。
佐世保、好い街です。大村、長崎、佐世保、海沿いの情景と潮風が京都とは全く気風も風情も個性ある、散策して楽しい街です。そして、佐世保は京都から青春18きっぷのんびり旅でなんとか行く事が出来る街なのですね。もちろん遠く、寄り道すると到着は深夜だ。
京都から舞鶴はちょっと綾部で乗り換えて直ぐの同じ府内の基地、特急で行くのと一時間ほどしか違いません。呉基地は日帰り可能で三時間ほど散策できます、新幹線ですと広島まで一時間半、広島から呉線で五十分、というところ。横須賀ですともう日帰りは難しい。
ほたる茶屋、佐世保市上京町7-18にありまして、まあ、佐世保駅から繁華街へ10分ほど歩いた場所にあります。実は、ほたる茶屋、京都からの遠さとお店訪問の関係が無関係でありません、上記書きました通り、佐世保に到着した時点で既に深夜も深夜だったのです。
佐世保駅へ東海道本線山陽本線鹿児島本線長崎本線大村線を、姫路、岡山、糸崎岩国、新山口、下関、小倉、博多、鳥栖、早岐乗換800km、BS-211では深夜アニメが放映開始される頃合いに佐世保駅へ辿り着きまして、一杯やりたいが空いてる店はあるのか、という。
ほたる茶屋は市内を深夜散策している最中に煌々と赤提灯が灯っていまして、しかし大丈夫かなと恐るおそる暖簾を潜ってみました次第、旅客機や特急みどり号で行く佐世保とはまた違った感慨、やり遂げた普通列車の旅の末でせめて一杯やりたいすがる気分といえる。
海軍カレーでしたら24時間営業のお店もありますぜ、とは佐世保の常連護衛艦すずなみ、佐世保に何度も寄港するほどに南西諸島警備が大変なのか、という感慨と共に、楽しい情報をお教えいただいたのですが、なにしろビールを頂かなければまあ収まりが尽きません。
くらま艦影を夜景に望見した直後に、さあビール、と思いつつ、しかし零時近くで営業しているものなのか、佐世保市は25万都市、ちょっと心配ではありました後の散策で出会いました、ほたる茶屋、さあ、どうぞ、との店員さん大将殿女将様のお招きで早速一歩を。
レモンステーキ、佐世保名物なのですがもう一方の名物佐世保バーガーが全国の縁日や航空祭の出店に常連となっている一方、レモンステーキはとんと佐世保以外では見かけない、そして何よりお値段も安く、此処が大事ですが、そこで深夜ステーキという強行軍敢行だ。
レモンステーキって、これは前々からの関心事なのですが、レモンステーキはステーキを食べなれない時代の日本で、すき焼き肉をもう少し厚めに、つまりステーキ肉としては薄めに切って、レモンと共に焼き上げたものだとのこと。これなら食べやすい、おいしい。
レモンステーキは草創期の日本ステーキ、戦後零年世代のステーキなのですね。一方、やけに有名となった佐世保バーガーですが、佐世保が日本ハンバーガー発祥の地という事で名物化したのですが、佐世保バーガーと同時期に横須賀ネイビーバーガーも始まっている。
佐世保バーガーが全国に轟いたのは定義が曖昧だからで、塑像乱造でも、酷いのはハーフサイズ佐世保バーガーを岐阜航空祭で注文したら真っ二つに両断した酷いのが出てきて、これ佐世保で出したら憲兵隊がハンヴィー五台で検挙されるぞ、と憤慨したものでした。
横須賀ネイビーバーガーはこのあたりしっかりしていて、ミートパティ250g未満のものは横須賀ネイビーバーガーとは認めない旨、しっかりと定義づけられていまして、基本これまで、美味しい横須賀ネイビーバーガー以外知りません。佐世保はまあ、本場がいちばん。
ゆずぽん、とはスジ肉をしっかりと煮込んで、しかし煮込みのようにならず湯通しのようにスジ肉のしゃっきりを残したそのまま、キャベツの千切りとポンズとともに敢えて頂くもの。すっきりぽん、とはこの事なのでしょうか。直ぐに出てきますので、嬉しい逸品だ。
珈琲割り、どうですか。おや、と思いましたお勧めです。ほたる茶屋でお勧めしていただいたもの、いつも通うお店ではない珈琲割り、全国的にはどうなのでしょうか、こういいますのも、珈琲割りを初めて頂いたのは横須賀なのですよね、佐世保にも店にあったとは。
佐世保でも横須賀で馴染んだ馥郁とした香が仄かに残り、その奥行に慇懃と、しかし真面目に個性を主張する焼酎の香りを托し込んだ珈琲割りを頂き、初来店の際の夜は更けてゆきました。こうして、佐世保に進出した際には、ほたる茶屋、一つの行きつけとなります。
ほたる茶屋、茶屋という名前とは別に串焼きもレモンステーキも美味しいものが並びまして、店内は奥行きが深く、遅くまで営業しているのは嬉しいのですが、夕方からも営業しています。護衛艦くらま除籍の夜にも、ほたる茶屋、ふと、一杯やったところでした。
佐世保は海軍の街、護衛艦の数でも横須賀よりも実は佐世保の方が多かったりします。もっとも、横須賀は護衛艦と潜水艦の街、自衛艦隊司令部が置かれ拠点としては横須賀の方が重要ですが、海軍気質というのでしょうか、この気質が醸し出す夜の雰囲気はなかなか。
ほたる茶屋、鳥きん。横須賀でお勧めしていただいた鳥きん、深夜に到着した佐世保の街中で出会ったほたる茶屋、もちろん、佐世保の夜の奥深さはほんの二店を紹介しただけでは語りつくせませんが、美味も銘酒も雰囲気全て、誰にでもお勧めできる楽しいお店です。
海軍の街佐世保。ほたる茶屋、一杯やった所でNHKでは護衛艦くらま除籍の報道が。店内がちょっとざわつきまして、くらまが、ねえ。遂に除籍かあ。かが、来るのかねえ。前に乗ったよ。そんな会話が店内で聞こえる、それが佐世保です。なにか、おもしろいですね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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佐世保、夜の街並みを散策しますと居酒屋の仄かな灯火が風に揺れて軍港情緒を誘うと共に同盟国米海軍の水兵士官が醸す異国情緒が混ざり合い一種独特の気風を織り上げています。名物は多い。レモンステーキに佐世保バーガー、あごだしラーメンに海軍カレーなど。
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鳥きん、佐世保市内はホテルが佐世保駅周辺の多く集まっています。この繁華街にもホテルはあるにはあるのですが、佐世保駅前のホテルは佐世保基地の立神桟橋や倉島桟橋も望見できまして、その夜景も素晴らしい。鳥きん、を出て夜風に浸りながら駅へと戻ります。
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京都から舞鶴はちょっと綾部で乗り換えて直ぐの同じ府内の基地、特急で行くのと一時間ほどしか違いません。呉基地は日帰り可能で三時間ほど散策できます、新幹線ですと広島まで一時間半、広島から呉線で五十分、というところ。横須賀ですともう日帰りは難しい。
ほたる茶屋、佐世保市上京町7-18にありまして、まあ、佐世保駅から繁華街へ10分ほど歩いた場所にあります。実は、ほたる茶屋、京都からの遠さとお店訪問の関係が無関係でありません、上記書きました通り、佐世保に到着した時点で既に深夜も深夜だったのです。
佐世保駅へ東海道本線山陽本線鹿児島本線長崎本線大村線を、姫路、岡山、糸崎岩国、新山口、下関、小倉、博多、鳥栖、早岐乗換800km、BS-211では深夜アニメが放映開始される頃合いに佐世保駅へ辿り着きまして、一杯やりたいが空いてる店はあるのか、という。
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レモンステーキって、これは前々からの関心事なのですが、レモンステーキはステーキを食べなれない時代の日本で、すき焼き肉をもう少し厚めに、つまりステーキ肉としては薄めに切って、レモンと共に焼き上げたものだとのこと。これなら食べやすい、おいしい。
レモンステーキは草創期の日本ステーキ、戦後零年世代のステーキなのですね。一方、やけに有名となった佐世保バーガーですが、佐世保が日本ハンバーガー発祥の地という事で名物化したのですが、佐世保バーガーと同時期に横須賀ネイビーバーガーも始まっている。
佐世保バーガーが全国に轟いたのは定義が曖昧だからで、塑像乱造でも、酷いのはハーフサイズ佐世保バーガーを岐阜航空祭で注文したら真っ二つに両断した酷いのが出てきて、これ佐世保で出したら憲兵隊がハンヴィー五台で検挙されるぞ、と憤慨したものでした。
横須賀ネイビーバーガーはこのあたりしっかりしていて、ミートパティ250g未満のものは横須賀ネイビーバーガーとは認めない旨、しっかりと定義づけられていまして、基本これまで、美味しい横須賀ネイビーバーガー以外知りません。佐世保はまあ、本場がいちばん。
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佐世保でも横須賀で馴染んだ馥郁とした香が仄かに残り、その奥行に慇懃と、しかし真面目に個性を主張する焼酎の香りを托し込んだ珈琲割りを頂き、初来店の際の夜は更けてゆきました。こうして、佐世保に進出した際には、ほたる茶屋、一つの行きつけとなります。
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佐世保は海軍の街、護衛艦の数でも横須賀よりも実は佐世保の方が多かったりします。もっとも、横須賀は護衛艦と潜水艦の街、自衛艦隊司令部が置かれ拠点としては横須賀の方が重要ですが、海軍気質というのでしょうか、この気質が醸し出す夜の雰囲気はなかなか。
ほたる茶屋、鳥きん。横須賀でお勧めしていただいた鳥きん、深夜に到着した佐世保の街中で出会ったほたる茶屋、もちろん、佐世保の夜の奥深さはほんの二店を紹介しただけでは語りつくせませんが、美味も銘酒も雰囲気全て、誰にでもお勧めできる楽しいお店です。
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北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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