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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

新防衛大綱とF-35B&EA-18G【11】EA-18Gグラウラー,最強F-22ラプターに初戦で勝利!

2018-03-26 20:05:25 | 先端軍事テクノロジー
■EA-18G,卓越した空戦能力
 防衛型空母や最新鋭戦闘機F35Bの導入を自民が提言へ。NHKにて気になる報道があり、F-35B&EA-18G、二つの新しい装備体系が具体的に動き出すもよう。

 EA-18G電子攻撃機、戦闘機としても強力な機種です。電子攻撃装備はAN/ALQ-99 TJS戦術妨害装置とAN/ALQ-218-V2無線周波受信システムにCCS対通信装置、全て主翼に電子戦装置として搭載されていますが、F/A-18E/Fと同じAPG-79AESAレーダーを搭載し、AIM-120D-AMRAAM空対空ミサイルにて180km先の戦闘機を攻撃する事も可能です。

 原型のF/A-18F戦闘機は航空自衛隊のF-4EJ戦闘機後継選定、F-X選定においてボーイング社が提示した二機種の一つでした。候補機はロッキードマーティン社製F-35A戦闘機、BAE社製の欧州国際共同開発EF-2000戦闘機など。実はF/A-18Fは財務省と防衛省の一部が有力視していた、とも伝わりまして、理由は高性能の第4.5世代機ながら安価、という。

 F-15E戦闘爆撃機、実はボーイング社がF-X選定に提示していた機種はF/A-18E/Fの他にF-15Eがありまして、ボーイング社は一本化しなければ支持が分散するとの懸念から、将来的にF-15SEとしてステルス化する事も可能で、航空自衛隊が運用しているF-15J戦闘機と比較し、他候補よりも運用面などで共通化する部分が多く、爆撃能力の高さで推した。

 F-35戦闘機がこの候補の中で唯一の第五世代戦闘機であることから、当時はF-35戦闘機の開発が相次ぐ開発期間遅延により、相当割高になっている最中ではありましたが最終的にF-35Aに決定したことはご存知の通り。しかし、F/A-18E/Fならば限られた防衛予算でも毎年多数を調達でき、短期間でF-4EJを置き換えられたのでは、という声もあるにはある。

 F-22戦闘機、アメリカ空軍が誇る世界最強の第五世代戦闘機で、F-15C戦闘機との模擬空中戦では220対1という驚異的な戦勝記録を持つステルス戦闘機ですが、実はEA-18Gは初の異機種間模擬空戦においてF-22を撃破判定に追い込んだ実例があります。海軍ではF/A-18Eが苦杯を並べていた中で、派生型EA-18Gは初登場で呆気なく勝利を勝ち取った。

 AN/ALQ-99 TJS戦術妨害装置とAN/ALQ-218-V2無線周波受信システムがF-22の勝利立役者で、この話は少し面白いのですがF-22のAPG-77レーダーを妨害しEA-18GがF-22から見えない状態とした為です。もっともAPG-77には対抗電子戦装置という、電子戦を挑まれた際には即座に解析し対抗手段を構築し逆に電子戦を仕掛ける能力があるのですが。

 APG-77の対抗電子戦能力よりもALQ-99 TJS戦術妨害装置の妨害能力が勝っていたようで、勿論この種の電子戦装置と対抗電子戦装置は数か月単位でアップデートを行い双方が日進月歩、改めてF-22とEA-18Gが空戦を行った場合にEA-18Gの勝利は確証されていないのですが、初戦ではEA-18Gの方がアップデートを先に行っていた功名があった、とも。

 EA-18GはF-22のAPG-77電波を辿り、ステルス機はレーダーに映らない設計であるもののレーダー波を感知したわけですね。一説にはF-22が編隊間で行うデータリンクをEA-18GがALQ-218-V2無線周波受信システムにて辿った、とも言われています。目に見えないだけに難しい視点ですが、兎も角、EA-18GがF-22へ金的のように打ち勝った、と。

 日本へアメリカがEA-18Gを販売する可能性が生じたからこその、今回報道と考えられるのですが、実はもう一つ、ボーイング社とアメリカ政府の事情があります。ボーイング社は戦闘機を製造するセントルイス工場を維持するにはF/A-18E/FやF-15Eを生産し続ける必要がある一方で既に必要数製造完了、この為に輸出先を開拓する意図もあるのでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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コメント (2)
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