■ひゅうが型護衛艦で対抗可能
舞鶴基地へ護衛艦ひゅうが配備以降、全通飛行甲板型護衛艦の威容に舞鶴の情景も移ろい、時代の流れを感じます。
現在の日本海上防衛において航空母艦は不要である、前々回示しましたこの視点についてもう少し掘り下げてゆく事とします。中国海軍は現在、001A型航空母艦の建造を進め間もなく公試が開始される構えではあります。より大型化させた002A型航空母艦の建造に併せて、将来的には004A型原子力空母として更に大型化する方針が示されており、確かに関心事ではあります。
004A型原子力空母は量産される可能性があり、将来的に六隻程度の航空母艦が艦隊を構成すると発表されていますので、遠くない将来において日本のシーレーン上と並行して南西諸島近海か本州太平洋岸沖を中国海軍空母が常時遊弋し、更に短期的に日本海へ中国海軍空母が四隻から五隻程度展開する事も考えられるでしょう。海上防衛を考える場合どうか。
クイーンエリザベス級空母と同程度の大型空母を海上自衛隊も保有すべきではないか、という視点を含めてやはり、上記状況に陥った場合でも海上自衛隊は航空母艦を建造する必要は無く、その余裕があるならば一隻でもヘリコプター搭載護衛艦を量産する方が優先度で高いと考えます。何故ならば、ひゅうが型でもF-35Bの搭載能力を有するだけで、004A型空母へ対抗し得ると考えるため。
シャルルドゴール級原子力空母やクイーンエリザベス級空母、満載排水量42000tや65000tの航空母艦があれば、004A型原子力空母に対しても対抗し得ると考えるのですが、海上自衛隊が中国海軍の航空母艦へ対抗するには相手が6隻を量産するのであれば、海上自衛隊も少なくとも護衛艦隊を構成する四個護衛隊群全てに配備せねば運用面で対抗し得ません、しかし、これら航空母艦は一隻当たりヘリコプター搭載護衛艦三隻分の人員と予算を要する。
ひゅうが型護衛艦をそれならば量産し増強した方が良い、ひゅうが型が複数配備されている状況であれば、日本のシーレーン上において中国海軍航空母艦が臨検等示威的な行動を執りつつ同時に南西諸島近海において通常の演習と称する異常行動を執った場合、二隻の行動に対し二隻の護衛艦ひゅうが型を展開させればよい一方、大型航空母艦一隻では前後に分割し二方面で航行する事等当然できないのです。
いずも型護衛艦にF-35Bを搭載したとして、仮に18機搭載した場合でも対応能力には限度がある、一部識者からはヘリコプター搭載護衛艦へ固定翼艦載機を搭載した場合でもそれほど大きな能力は有り得ない、と否定的な意見を示していますが、実のところ賛同できません。何故ならばヘリコプター搭載護衛艦は複数方面に展開できる利点を強調しましたが、この分散できる運用の利点は必要に応じて隻数を集約できる事に他ならない。
ニミッツ級原子力空母はF/A-18E戦闘攻撃機やF-35C戦闘機を四個飛行隊常時運用可能です、ヘリコプター搭載護衛艦には当然、満載排水量は107000tと27000tもの差があるのですから対抗できません、当たり前です。しかし、一個飛行隊のF-35Bを搭載し四隻のヘリコプター搭載護衛艦を一カ所の海域に集約する事は可能で、同規模のポテンシャルとなる。実際に常時甲板と格納庫一杯にF-35Bを並べずとも運用能力さえあれば、航空機は必要に応じ迅速に展開すれば事足りる。
F-35Bのポテンシャルの大きさは、ひゅうが型護衛艦の艦上でも運用可能な柔軟性です。離着陸のみならば、おおすみ型輸送艦でも可能で、緊急着艦のみならば、むらさめ型護衛艦や、あたご型護衛艦でも不可能ではありません。その柔軟性を持つ一方で、第4.5世代機のJ-15戦闘機やSu-27戦闘機に対して第五世代機は非常に優位な防空戦闘を展開可能です。一方でF-35Bに相当する垂直離着陸可能な第五世代戦闘機の開発能力は当面中国には無いのです。
ヘリコプター搭載護衛艦はF-35Bを搭載可能ですが、基本はSH-60K哨戒ヘリコプターを運用する対潜中枢艦です。同時にMCH-101掃海輸送ヘリコプターを搭載し掃海母艦に、邦人救出や島嶼部防衛へはAH-64D戦闘ヘリコプターとCH-47J輸送ヘリコプター、と汎用性も高い。一隻の航空母艦よりもヘリコプター搭載護衛艦複数の方が必要だといえます。こうした観点から、航空母艦は当面海上自衛隊には不要で、それよりもヘリコプター搭載護衛艦という海上自衛隊が長年構築した装備体系を重視するべきだと、考えます。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
舞鶴基地へ護衛艦ひゅうが配備以降、全通飛行甲板型護衛艦の威容に舞鶴の情景も移ろい、時代の流れを感じます。
現在の日本海上防衛において航空母艦は不要である、前々回示しましたこの視点についてもう少し掘り下げてゆく事とします。中国海軍は現在、001A型航空母艦の建造を進め間もなく公試が開始される構えではあります。より大型化させた002A型航空母艦の建造に併せて、将来的には004A型原子力空母として更に大型化する方針が示されており、確かに関心事ではあります。
004A型原子力空母は量産される可能性があり、将来的に六隻程度の航空母艦が艦隊を構成すると発表されていますので、遠くない将来において日本のシーレーン上と並行して南西諸島近海か本州太平洋岸沖を中国海軍空母が常時遊弋し、更に短期的に日本海へ中国海軍空母が四隻から五隻程度展開する事も考えられるでしょう。海上防衛を考える場合どうか。
クイーンエリザベス級空母と同程度の大型空母を海上自衛隊も保有すべきではないか、という視点を含めてやはり、上記状況に陥った場合でも海上自衛隊は航空母艦を建造する必要は無く、その余裕があるならば一隻でもヘリコプター搭載護衛艦を量産する方が優先度で高いと考えます。何故ならば、ひゅうが型でもF-35Bの搭載能力を有するだけで、004A型空母へ対抗し得ると考えるため。
シャルルドゴール級原子力空母やクイーンエリザベス級空母、満載排水量42000tや65000tの航空母艦があれば、004A型原子力空母に対しても対抗し得ると考えるのですが、海上自衛隊が中国海軍の航空母艦へ対抗するには相手が6隻を量産するのであれば、海上自衛隊も少なくとも護衛艦隊を構成する四個護衛隊群全てに配備せねば運用面で対抗し得ません、しかし、これら航空母艦は一隻当たりヘリコプター搭載護衛艦三隻分の人員と予算を要する。
ひゅうが型護衛艦をそれならば量産し増強した方が良い、ひゅうが型が複数配備されている状況であれば、日本のシーレーン上において中国海軍航空母艦が臨検等示威的な行動を執りつつ同時に南西諸島近海において通常の演習と称する異常行動を執った場合、二隻の行動に対し二隻の護衛艦ひゅうが型を展開させればよい一方、大型航空母艦一隻では前後に分割し二方面で航行する事等当然できないのです。
いずも型護衛艦にF-35Bを搭載したとして、仮に18機搭載した場合でも対応能力には限度がある、一部識者からはヘリコプター搭載護衛艦へ固定翼艦載機を搭載した場合でもそれほど大きな能力は有り得ない、と否定的な意見を示していますが、実のところ賛同できません。何故ならばヘリコプター搭載護衛艦は複数方面に展開できる利点を強調しましたが、この分散できる運用の利点は必要に応じて隻数を集約できる事に他ならない。
ニミッツ級原子力空母はF/A-18E戦闘攻撃機やF-35C戦闘機を四個飛行隊常時運用可能です、ヘリコプター搭載護衛艦には当然、満載排水量は107000tと27000tもの差があるのですから対抗できません、当たり前です。しかし、一個飛行隊のF-35Bを搭載し四隻のヘリコプター搭載護衛艦を一カ所の海域に集約する事は可能で、同規模のポテンシャルとなる。実際に常時甲板と格納庫一杯にF-35Bを並べずとも運用能力さえあれば、航空機は必要に応じ迅速に展開すれば事足りる。
F-35Bのポテンシャルの大きさは、ひゅうが型護衛艦の艦上でも運用可能な柔軟性です。離着陸のみならば、おおすみ型輸送艦でも可能で、緊急着艦のみならば、むらさめ型護衛艦や、あたご型護衛艦でも不可能ではありません。その柔軟性を持つ一方で、第4.5世代機のJ-15戦闘機やSu-27戦闘機に対して第五世代機は非常に優位な防空戦闘を展開可能です。一方でF-35Bに相当する垂直離着陸可能な第五世代戦闘機の開発能力は当面中国には無いのです。
ヘリコプター搭載護衛艦はF-35Bを搭載可能ですが、基本はSH-60K哨戒ヘリコプターを運用する対潜中枢艦です。同時にMCH-101掃海輸送ヘリコプターを搭載し掃海母艦に、邦人救出や島嶼部防衛へはAH-64D戦闘ヘリコプターとCH-47J輸送ヘリコプター、と汎用性も高い。一隻の航空母艦よりもヘリコプター搭載護衛艦複数の方が必要だといえます。こうした観点から、航空母艦は当面海上自衛隊には不要で、それよりもヘリコプター搭載護衛艦という海上自衛隊が長年構築した装備体系を重視するべきだと、考えます。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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