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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

新防衛大綱とF-35B&EA-18G【08】非現実!国産新戦闘機F-3のF-15戦闘機後継へ前倒し

2018-03-07 20:06:51 | 国際・政治
■次期戦闘機は本来F-2後継機
 次期戦闘機について、単独開発を断念し国際共同開発を行う検討が報じられました。

 F-2戦闘機後継機は国産開発ではなく国際共同開発へ、朝日新聞3月5日付報道によれば2030年代に除籍が開始されるF-2戦闘機について、国際共同開発の方針が示され今週中にも戦闘機メーカーへ情報要求書RFIを提出するとのこと。F-35A戦闘機追加購入という選択肢も示唆されているとのこと。F-2後継機は第六世代機となり、開発難航が予想されます。

 三菱重工小牧FACO閉鎖検討、先日検証した記事ですが、このロイター通信東京発2月21日付記事について、この報道の信憑性を大きく考えさせられる内容が含まれています、“F-35A戦闘機を25機程度増強”という部分が大きく注目されるのですが、“F-15J戦闘機近代化改修非対応の100機中残る70機程度を開発を検討している国産戦闘機により置き換える”との部分は信憑性を考える。

 検討中の将来戦闘機で代替するのか検討、という部分には正気を疑う、というのが率直な所感です。こういいますのも、将来戦闘機はもともとF-2後継機を目指していた航空機ですので、F-15後継に充てるという事は前倒しする事に他なりません。技術は嘘をつきません、予算的な問題は勿論、技術的な問題でも前倒しして間に合うのか、F-2生産終了から十年を経ても見通しはあるのか。

 間に合わせるにはF/A-18Fに所定の改造を施しF-3としてライセンス生産するという選択肢ならば有り得ますし、第六世代機が欲しいのであれば実は秘密裏に試作機が完成している、というのでなければ、開発には如何に順調に行こうとも七年を要する、現時点ではエンジンが出来ておらず、何よりも次期戦闘機の概念そのものへ要求仕様を防衛省自身が明確にできず、開発を棚上げしている現状を忘れてはならない。

 防衛省は第六世代戦闘機を云い方が厳しいが”最強の戦闘機”という以上の、最強とは何を以て成り立たせるのか、の定義を構築できていない状況にあります。防衛装備庁シンポジウムでは航続距離が大きく空中での運動性も高くステルス性を持つ航空機、という研究発表があったのですが、それでは第五世代戦闘機との違いが不明確と云わざるを得ません。

 運動性と航続距離を両立する等は、申し訳ないが第4.5世代戦闘機でさえ、この設計思想で開発されている。もとより、大戦中の局地戦闘機のような航続距離を短く設計する戦闘機は無いし、ステルス性を無視した設計を敢えて開発する方が不自然だというものでして、技術的になってしまった点は別で運動性の低い鈍重な戦闘機を敢えて開発した事例も無い訳でして、曖昧模糊とした学生の研究計画と似ている。

 第六世代戦闘機の新しい指針に一つ特筆できる部分があるとすれば、瞬間撃破能力を提示している点でしょう。その上で瞬間撃破能力として具体的にレーザー砲の搭載を示唆しているのですが、ここで大きな問題は、防衛省はレーザー兵器を短距離レーザー機体自衛装置を開発しているのみで空対空戦闘に使用可能となる高出力レーザー砲は開発していない。

 新戦闘機を開発する際に、もちろん予定通りに高性能エンジンが開発でき、オペレーションリサーチを充分行う事で第六世代戦闘機を開発する上での要求仕様が完成し、五年で試作機をロールアウトしその二年後に初飛行と評価試験を実現し、更に三年後に量産開始を行う頃には、F-15J戦闘機は運用開始半世紀が見えてくることとなる。実際の猶予は数年だ。

 国産戦闘機について、F-4後継機の話しを強調すると、恰もF-15戦闘機がピカピカの新品に思えてくるのだけれども、1981年から運用開始された航空機という事を忘れてはならない。しかし、一旦F-35に決定した新戦闘機選定、右往左往すると、正直F-15老朽化の先にF-2戦闘機の老朽化も初飛行から既に20年以上経った点を忘れるべきではないと思う。

 国産戦闘機開発は予算と余裕が潤沢にある時期に行わなければならず、今は繋ぎとなる戦闘機を含め皆無の状態、ここに新事業展開、その余裕があるのかは疑わしい。繋ぎにF-2と原型機が共通であるF-16Vや政府部内の検討としまして導入を希望するEA-18G電子攻撃機の原型機であるF/A-18Fを繋ぎとして100機ほど調達するならば別ですが、それ程に時間がないのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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