■護衛艦の艦砲と航空機
はるな型護衛艦、しらね型護衛艦、ともに外見は一見して判別できるのが艦砲と飛行甲板から成るハンサムな艦容です。
はるな型、しらね型ともに背艦砲は73式5インチ単装砲二門を搭載しています。負い式の51番砲と52番砲が優美な艦容へ寄与していますが、原型はMk42-5インチ砲です。第二次大戦型艦砲を置き換える目的で開発された野心的な両用砲で、単装砲に大戦型Mk12-5インチ連装砲の自動装填機構を盛り込んだ設計、極めて速い連続発射能力を有しています。
はるな型護衛艦設計当時にターターシステムを搭載し、広域防空能力を付与する検討が為され、実現しなかった点は記載しました。ターターシステムは初のミサイル護衛艦あまつかぜ搭載の実績がありましたが、非常に高価であり、更に基準排水量5000tを構想したヘリコプター搭載護衛艦へ対潜ヘリコプターと並列搭載は困難であるとして断念されました。
73式5インチ単装砲二門は、この代替案として搭載されたものです。Mk13発射装置から発射されるターターミサイルはRIM-24ターターミサイルの射程が18km、改良型RIM-24Bが射程30km、マッハ2の高速で目標へ正確に命中します。Mk42-5インチ砲は射程23km、射程ではRIM-23Bに及びませんが毎分45発の射撃が可能、2門で毎分90発を射撃できる。
大戦艦は、Mk12-5インチ連装砲かMk.22-3インチ単装砲を対空戦闘の遠距離用に、ボフォース40mm機関砲を近距離用に、エリコン20mm機関砲を近接防空用に搭載していましたが、第二次大戦中にはわが海軍の彗星艦上爆撃機等の空対空戦闘可能な艦上爆撃機の突入により水上戦闘艦防空装備そのものが攻撃目標となり、少なくない被害を出しています。
対艦攻撃機は第二次世界大戦後、急速にジェット化が進み高速化しました。この脅威の高速化は高射機関砲の位置づけを大きく変容させる事となります。具体的にはミサイルへの転換と艦艇機動能力の強化です。実は高射機関砲の優位性は低いように見えて、皆無であれば接近機に全く打つ手なしとなる事が1982年のフォークランド紛争で露呈するのですが。
ジェット機による対艦攻撃において当面問題視されたのは、艦砲と高射機関砲の射程の欠缺空域における目標情報の方位盤間における連接で、艦砲が撃ち漏らした接近航空機を確実に高射機関砲が内側の防空を担えず、各個別目標を照準する、もしくは外側が無力化した目標を内側の高射機関砲が撃墜未確認のまま無力化目標を追尾し続ける過剰照準でした。
Mk42-5インチ砲は高い連続発射能力を備えた単装砲に防空を一本化する事で方位盤の射撃管制能力の負担を軽減し、併せて多種多様な防空下記による百花繚乱状態を一本化する指針にて開発されています。有人砲塔であり、基本的には方位盤による射撃管制を基本としますが、砲塔要員に対空砲座及び対水上対地砲座を並列させ、確実な作動を期している。
マウント重量は58tとこの種の艦砲としては破格に重く、また毎分45発の射撃速度を実現するべく砲塔内にはドラム式給弾装置2基が左右並列に配置されています。この為に構造が複雑であり整備性に難点があり、緊急時を除き給弾装置を片方のみ運用し射撃速度を落とし常用としていました。また、方位盤信頼性向上と共に砲座の一部が廃止されています。
フォレスタル級航空母艦、アメリカ海軍がミッドウェー級に続き戦後初めて開発した航空母艦、現在のニミッツ級に繋がるアメリカ海軍航空母艦の基本形が確立した航空母艦ですが、この新鋭空母も完成当時はMk42-5インチ砲を舷側に複数搭載していました。はるな型の艦砲はこのように開発国アメリカにおいて高い信頼を集めた型式を搭載したのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
はるな型護衛艦、しらね型護衛艦、ともに外見は一見して判別できるのが艦砲と飛行甲板から成るハンサムな艦容です。
はるな型、しらね型ともに背艦砲は73式5インチ単装砲二門を搭載しています。負い式の51番砲と52番砲が優美な艦容へ寄与していますが、原型はMk42-5インチ砲です。第二次大戦型艦砲を置き換える目的で開発された野心的な両用砲で、単装砲に大戦型Mk12-5インチ連装砲の自動装填機構を盛り込んだ設計、極めて速い連続発射能力を有しています。
はるな型護衛艦設計当時にターターシステムを搭載し、広域防空能力を付与する検討が為され、実現しなかった点は記載しました。ターターシステムは初のミサイル護衛艦あまつかぜ搭載の実績がありましたが、非常に高価であり、更に基準排水量5000tを構想したヘリコプター搭載護衛艦へ対潜ヘリコプターと並列搭載は困難であるとして断念されました。
73式5インチ単装砲二門は、この代替案として搭載されたものです。Mk13発射装置から発射されるターターミサイルはRIM-24ターターミサイルの射程が18km、改良型RIM-24Bが射程30km、マッハ2の高速で目標へ正確に命中します。Mk42-5インチ砲は射程23km、射程ではRIM-23Bに及びませんが毎分45発の射撃が可能、2門で毎分90発を射撃できる。
大戦艦は、Mk12-5インチ連装砲かMk.22-3インチ単装砲を対空戦闘の遠距離用に、ボフォース40mm機関砲を近距離用に、エリコン20mm機関砲を近接防空用に搭載していましたが、第二次大戦中にはわが海軍の彗星艦上爆撃機等の空対空戦闘可能な艦上爆撃機の突入により水上戦闘艦防空装備そのものが攻撃目標となり、少なくない被害を出しています。
対艦攻撃機は第二次世界大戦後、急速にジェット化が進み高速化しました。この脅威の高速化は高射機関砲の位置づけを大きく変容させる事となります。具体的にはミサイルへの転換と艦艇機動能力の強化です。実は高射機関砲の優位性は低いように見えて、皆無であれば接近機に全く打つ手なしとなる事が1982年のフォークランド紛争で露呈するのですが。
ジェット機による対艦攻撃において当面問題視されたのは、艦砲と高射機関砲の射程の欠缺空域における目標情報の方位盤間における連接で、艦砲が撃ち漏らした接近航空機を確実に高射機関砲が内側の防空を担えず、各個別目標を照準する、もしくは外側が無力化した目標を内側の高射機関砲が撃墜未確認のまま無力化目標を追尾し続ける過剰照準でした。
Mk42-5インチ砲は高い連続発射能力を備えた単装砲に防空を一本化する事で方位盤の射撃管制能力の負担を軽減し、併せて多種多様な防空下記による百花繚乱状態を一本化する指針にて開発されています。有人砲塔であり、基本的には方位盤による射撃管制を基本としますが、砲塔要員に対空砲座及び対水上対地砲座を並列させ、確実な作動を期している。
マウント重量は58tとこの種の艦砲としては破格に重く、また毎分45発の射撃速度を実現するべく砲塔内にはドラム式給弾装置2基が左右並列に配置されています。この為に構造が複雑であり整備性に難点があり、緊急時を除き給弾装置を片方のみ運用し射撃速度を落とし常用としていました。また、方位盤信頼性向上と共に砲座の一部が廃止されています。
フォレスタル級航空母艦、アメリカ海軍がミッドウェー級に続き戦後初めて開発した航空母艦、現在のニミッツ級に繋がるアメリカ海軍航空母艦の基本形が確立した航空母艦ですが、この新鋭空母も完成当時はMk42-5インチ砲を舷側に複数搭載していました。はるな型の艦砲はこのように開発国アメリカにおいて高い信頼を集めた型式を搭載したのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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