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北朝鮮核実験,六度目地下核実験M6.1北朝鮮北東部咸鏡北道吉州郡豊渓里付近で突如実施

2017-09-03 19:00:34 | 防衛・安全保障
■北朝鮮水爆開発懸念の現実化
 北朝鮮が六度目の核実験を実施しました、自衛隊はT-4による空中放射線測定を開始しました。マグニチュード6.1の地震を引き起こし、爆発の規模が前回よりも遥かに大きく重大な懸念をせざるを得ません。

 本日1229時、気象庁は北朝鮮北東部にて通常の地震波形とは異なる地震波を1回観測しました。震源の深さは地表付近、この振動のエネルギーはマグニチュード換算6.1と計測しています。この振動特徴は過去の核実験波形と共通点が多く、これら情報を総合分析し、気象庁は北朝鮮で何らかの、しかし大規模な人工爆発があった可能性があると発表しました。

 火星12号型弾道ミサイルの太平洋への発射により、北朝鮮に対して現在国連の安全保障理事会が実施した拘束力ある安保理決議により大規模な経済制裁が加えられていますが、北海道上空を飛翔したミサイルにより石油禁輸を含めた更なる経済制裁の必要可否が討議されている中、これまで5回実施された核実験の6回目の強行が危惧されていた最中のこと。

 地下核実験ではないか、今回の地震が観測された北朝鮮北東部、正確な位置は北緯41.3度、東経129.1度付近には4年前に核実験を実施した核実験場があります。気象庁の報告を受け、安倍総理大臣は、北朝鮮情報収集分析の徹底、核実験に伴う放射性物質の影響のモニタリング態勢強化、不測事態に備え国民の安全安心確保に万全を期す事を指示しています。

 オーストリアウィーンの国際核実験監視網CTBTOは北朝鮮で異常な揺れを観測したと発表、アメリカUSGS地質調査所もM6.3の揺れ観測、ロシア科学アカデミーは揺れが大きくロシアハサン地区でM4.5を観測、極東支部韓国軍の合同参謀本部は北朝鮮北東部咸鏡北道吉州郡豊渓里付近で人工的な揺れが観測、6回目の核実験と推定されると発表しました。

 政府はNSC国家安全保障回帰を緊急招集し、河野外相が日本政府として北朝鮮が核実験と断定、と発表しています。北朝鮮が核実験を実施したとの断定に併せ原子力規制庁は全国各地での大気中における放射性物質量異常への監視を強化しました。また、航空自衛隊も大気中放射性物質量測定へ全国の基地より集塵器搭載T-4練習機を緊急発進させています。

 航空自衛隊の大気圏内放射性物質は集塵装置搭載のT-4練習機により実施され、北朝鮮から各物質漏洩の際には最初に到達する東北地方の三沢基地、日本海沿岸で対岸に北朝鮮を睨む北陸の小松基地、朝鮮半島に最も近い戦闘機部隊基地である九州の築城基地一定空域を旋回し、大気中に放射性物質が浮遊していないかを集塵装置の内容物から分析する訳です。

 放射線量に異常なし、環境省は核実験の振動検知から一時間後に放射性物質拡散情報を発表しました。地下核実験は大気中に放射性物質漏洩の危険は少ないのですが、漏洩すれば48時間で東北地方に届きます。原子力規制庁と併せ全国に配置される約300箇所の観測施設にて放射線量に関する監視を続けるとしています。現時点でも異常の発表はありません。

 水爆実験行い成功した、北朝鮮国営朝鮮中央テレビは日本時間1530時に特別重大報道として核実験の成功を誇示しました。気象庁は今回の地震規模について、過去の地震と比べても10倍は大きい、との分析結果を公表しました。前回の核実験はマグニチュード5.3であり、今回の核実験で観測されたマグニチュード6.1は前回の核実験を遥かに上回るものです。

 日本の安全保障面から最大の関心事は、今回実験の核爆発装置は前回の広島型原爆程度の核爆発よりも遥かに大きく、この核爆発装置が日本を射程に収め320発程度が実戦配備されているノドン弾道ミサイルへ搭載できる程度に小型化されるのはいつか、という事です。既に小型化が達成の可能性も否定できず、国民の存亡にかかわる事態といえるでしょう。

 中国の動向が注視されています。北朝鮮の隣国で陸上国境を接している中国は経済制裁実行の要諦に位置しますが、これまで中国政府は北朝鮮の核開発及びミサイル開発を批判しつつ、影響力の大きな経済制裁に対しては難色を示してきました。しかし、現在中国では世界人口半分を占めるBRICS新興五か国首脳会談が開催中であり、この最中に突如核実験を実施された事で、弾道ミサイル実験とは次元の異なる行動を行った事となります。

 水爆実験を行ったと発表した北朝鮮ですが、水爆の起爆には原爆を用いる為、不完全核融合という原爆の核分裂が水爆の三重水素を核融合へ到達する前に熱量を使い果たす事例があり、過去北朝鮮は水爆実験が核融合に至らなかったとされる失敗事例もありました、しかし今回の核実験は規模が大きく、威力については各国で分析中、結果を待ちましょう。

 北朝鮮はアメリカ本土を標的とする大陸間弾道弾の開発を継続的に進めており、加えて核開発を同時並行し実施している事から、最終的にアメリカ本土へ水爆を到達させる能力を獲得するまで、核開発とミサイル開発は継続される可能性が高いのです。今回の実験を受け更なる経済制裁の強化模索は必至で、加えて先週、北朝鮮政府が経済制裁に賛同する欧州諸国をミサイルで恫喝する声明を発表、朝鮮半島情勢の緊迫度は高まり続けています。

北大路機関:はるな くらま
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4 コメント

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Unknown (市民の目)
2017-09-03 22:34:43
北朝鮮の核保有を容認するべきです。
北の核保有が良いか悪いかの議論は終わりました。現実に核ミサイルを持っている以上、核保有を認め国際的管理を図るべきです。
戦争になれば日韓に甚大な被害をもたらします。中国やロシアにとっても地政学的に北の軍事占領は認められない。
北の核保有を認め国交回復を図り、核の管理体制に移行するのが現実的です。
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Unknown (世界人民の民意)
2017-09-04 01:27:21
北朝鮮の核を国際社会が管理するということは国連軍派遣という理解でよろしいか?

朝鮮国連軍派遣の国連安保理決議はまだ生きている、アメリカ主体の国連軍派遣を中国は派遣に賛成し、ソ連は黙示合意した

世界人民の民意を反映するとして安保理の場で全会一致、世界は北朝鮮制裁に国連軍を派遣したのだ
返信する
Unknown (Discotheque)
2017-09-04 04:58:48
やっぱり市民の目は中国人ではなく腐れチョンですね。中国人は北朝鮮の核保有に反対ですからね。ならば日本も核保有しても文句はあるまいな。
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繰り返しですが (はるな)
2017-09-13 23:46:59
市民の目 様

中国人民の立場から中国の利益を主張するという貴殿の過去の書き込み、これでは故意に対立を煽り、周辺国への感情を悪化させる一種のヘイト行為にもみえるのですが
毎回繰り返しですが、こう指摘させていただきます
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