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【くらま】日本DDH物語 《第二二回》三次防目指す護衛艦隊&航空集団一九七〇の陣容

2017-09-02 20:08:38 | 先端軍事テクノロジー
■第三次防衛力整備計画前夜
 日本DDH物語、第二二回は航空母艦計画を構想する一方で着実な防衛力整備が行われていた第三次防衛力整備計画策定中のの編成を見てみましょう。

 海上自衛隊の陣容は1970年にはアメリカとの同盟体制を維持しつつ専守防衛への必要な防衛力整備を進展させていました。航空母艦導入への幾つもの研究と並行して着実な防衛力整備を煤得ていた訳です。ヘリコプター搭載護衛艦は一隻もありませんし、ミサイル運用能力は特殊な護衛艦にのみ整備されていたものですが、以下に概要を見てみましょう。

 護衛艦隊は横須賀基地に旗艦あきづき、てるづき、を配置していました。護衛艦隊司令部は同じく横須賀基地に司令部を置く自衛艦隊隷下にあり、護衛艦隊隷下の護衛艦には全て戦後の国産護衛艦が揃い、アメリカ海軍供与の第二次大戦型駆逐艦はありません。しかし、当時横須賀の練習艦隊には新鋭かとり、とともに、大戦艦あさひ、はつひ、が居ました。

 第1護衛隊群は横須賀を拠点とし、旗艦あまつかぜ、以下3個護衛隊を有しています。呉基地第1護衛隊に護衛艦たかつき、きくづき、横須賀基地第8護衛隊に護衛艦いそなみ、しきなみ、呉基地第22護衛隊に護衛艦みねぐも、なつぐも、むらくも、以上8隻を基幹としていました。護衛艦あまつかぜ、はターターシステム搭載の唯一のミサイル護衛艦です。

 第2護衛隊群は佐世保基地に拠点を置き、旗艦もちづき、以下2個護衛隊より編成されていました。第11護衛隊は呉基地に配置され護衛艦たかなみ、おおなみ、まきなみ、の3隻を基幹、第21護衛隊は佐世保を母港としまして護衛艦やまぐも、まきぐも、あさぐも、の3隻を基幹としており、7隻の護衛隊群です。現在の護衛艦の先代の艦名が並んでいますね。

 第3護衛隊群は、舞鶴基地に司令部を置き旗艦に護衛艦ながつき、護衛艦ゆきかぜ、以下2個護衛隊を有していました。横須賀基地の第9護衛隊に護衛艦あやなみ、うらなみ、舞鶴基地の第10護衛隊に護衛艦むらさめ、ゆうだち、はるさめ、以上7隻の陣容です。1970年当時の護衛艦隊には現在呉基地に置かれる第4護衛隊群はまだ、編成されていません。

 航空集団は司令部を下総航空基地に置き、5個航空群と1個航空隊を隷下においています。下総航空基地は現在航空教育集団司令部が置かれている基地ですが、当時はまだ神奈川県の厚木基地が米軍より返還されておらず、現在の日米共同基地となっていないばかりか、米軍専用で1970年当時にも厚木基地には海上自衛隊の部隊は配置されていませんでした。

 第1航空群は鹿屋航空基地に置かれ第1航空隊にP-2V7対潜哨戒機10機と鹿屋航空基地隊へS-62救難機2機が配置されていました。第2航空群は八戸航空基地に置かれ、第2航空隊にP-2V7対潜哨戒機10機、第2航空隊にP-2V7対潜哨戒機10機、第13航空隊にS-2F1対潜哨戒機10機、八戸航空基地隊へS-62救難機2機が配置、ソ連を警戒し最大の編成だ。

 第3航空群は徳島航空基地、第11航空隊にS-2F1対潜哨戒機10機、第12航空隊にS-2F1対潜哨戒機10機、徳島航空基地隊へS-62救難機2機、現在の徳島よりも大規模でした。第4航空群は下総航空基地で、第3航空隊P-2V7対潜哨戒機10機、第14航空隊S-2F1対潜哨戒機10機、下総航空基地隊S-62救難機2機、硫黄島分遣隊と南鳥島派遣隊など。

 第21航空群は館山航空基地に置かれ航空集団唯一の対潜ヘリコプター部隊、ヘリコプターは地方隊の管区である沿岸用という発想であった時代です。第101航空隊にHSS-2対潜ヘリコプター9機と小松島航空隊にHSS-1N対潜ヘリコプター8機が配備されていました。実験航空部隊である第51航空隊は下総航空基地配置で対潜飛行艇PS-1や新型のP-2J対潜哨戒機が試験中で、更に潜水艦隊や地方隊等、防衛力整備をすすめました。

北大路機関:はるな くらま
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