北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

江田島第62期一般幹部候補生・第64期飛行幹部候補生課程修了式詳報⑤ 総員乗込み

2013-10-30 23:06:56 | 海上自衛隊 催事

◆候補課程修了者、修了証書と共に艦隊へ

 練習艦隊及び練習航海参加護衛艦の機関が始動し始め、いよいよ出港は間近となりました。

Img_0309 江田島第62期一般幹部候補生・第64期飛行幹部候補生課程修了式が完了し、いよいよ候補生たちが新任幹部として第一歩を、その大海原に向け歩み始めるべく交通船に乗船を開始しました。江田島基地の桟橋は呉基地のように大型の護衛艦が多数停泊することはできません、したがって交通船にて乗込むことに。

Eimg_0294 ヘリコプター搭載護衛艦くらま、外洋練習航海部隊として参加です。近海練習航海部隊へ練習艦及び護衛艦が併せて3隻、外洋練習航海へ護衛艦2隻、江田島の湾内に停泊する五隻の自衛艦へ、これからの乗り組みが開始されるため、上甲板は俄にあわただしくなってきました。

Eimg_0310 乗込みには交通船から機動船、曳船まで多種多様な支援船が支援に当たります。この中で珍しいのは機動船4017号型、中央に写っている船体が大きく曲がりこんでいる一隻が機動船4017号で、速力10ノット、基準排水量16t、第三種支援船の一隻として1985年に建造、江田島基地に配備され、同型船は無し。

Eimg_0311 右側を行くのは交通船1029号型で、5隻が建造、基準排水量11tで速力18ノットを発揮、よく似た交通船2123型とは窓の数が異なる。左側を高速で進む一隻は機動船4025号型、速力30ノットを発揮し日産自動車により1996年より3隻が建造されています。

Eimg_0315 交通船は沖留の艦艇や基地内での人員移動、もしくは物資移動に際し、支援船として用いるもので写真の1029号型は前部と後部にキャビンを有し、中央部に操舵室を配置しています。艦艇一般公開とは対照的に中々一般公開されないのが、この種の支援船ですが、基地開放では稀に見る事も出来るようです。

Img_03160 このほか、交通船には揚陸艇型のものもあり、基地での小型車両の輸送や車載のままでの物資輸送にも活躍します。海軍を扱った戦争映画などでは旧海軍の内火艇役でそのまま海上自衛隊の交通船が出ていることもあります、長魚雷を搭載していた護衛艦が現役の頃は護衛艦が旧海軍の駆逐艦役で出ていることもありました。

Eimg_0313 湾内で一斉に各種支援船が動き始めました。そして出港見送りに各種航空機が接近しつつあるようで、多くのエンジン音が撮影している此処まで響いてきます。各種支援船は練習艦や護衛艦まで距離がありますが、行事は分刻みで予定されているため、時刻通りに輸送を行わなければなりません。

Eimg_0326 練習艦かしま、にもタラップが降ろされ、候補生課程修了者乗込み準備が進んでいます。横付けしているのは曳船60号型、海上自衛隊最小のタグボートに当たり、基準排水量35tです。さすがに沖留の、かしま出港支援とは考えられませんので、こちらも候補生の輸送支援に展開しているのでしょうか。

Eimg_0327 輸送を終えた交通船、機動船、清掃船などが練習艦から離れてゆきます。今回の終了式のために近傍の呉基地や岩国航空基地などから展開した支援船も相当数あるのでしょう、そして背景の山の稜線付近には先ほどからのエンジン音の重なりの正体、見送りのために展開する航空部隊の編隊が見え始めてきたところ。

Eimg_0329 清掃船1号、かしまタラップに近づく一隻はYS-1というものです。珍しい、岩国航空基地に配備され飛行艇の支援などを行うもので、基準排水量80t、速力9ノットで同型船は無くこの一隻のみ。右端もう一隻は曳船75号型、所謂タグボートですが基準排水量は50t、海上自衛隊の曳船では比較的小型のものです。

Img_0338 良く見ますと、曳船にも候補生課程修了者がしっかりと整列して乗艦を待っています。江田島湾は大きな波浪が起こりにくい地形であるため、船伝いに練習艦へと乗艦するのですが、交通船ではなく、曳船で江田島基地を出て清掃船経由で練習艦へ、なにやら文字にしてみますと不思議な印象ですね。

Eimg_0336 ちなみに当方は、輸送人員が百名単位ですので交通船2121型のような揚陸艇型の交通船で一斉に運ぶ、という印象を持っていたのですが、違ったようでした。他方、中々他では見られないような機動船に清掃船を観ることが出来た、というのは少々嬉しい誤算かもしれません。

Eimg_0339 ヘリコプターの編隊はSH-60J哨戒ヘリコプターでした。練習艦隊の近海練習航海部隊と外洋練習航海部隊の出航ということで何の予備知識もなく、時間表のみを頼りに地図から撮影位置を推測して展開したのですが、航空部隊の見送りがる、というのは恥ずかしながらこの時初めて知りました。

Eimg_0342 そして航空部隊は意外と多くの航空機が見送りに参加します。全国の既往先で近海練習航海部隊の入港を撮影しましたが、それとは異なる出港、候補生課程修了者の門出を空から祝うのですから、そういうものなのかもしれませんが、その様子、海上自衛隊航空部隊の精鋭などの雄姿は次回お伝えすることとしましょう。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする