北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

平成25年度協同転地演習(連隊等転地),北部方面隊第11旅団が北富士地区へ展開

2013-10-07 16:55:28 | 防衛・安全保障

◆90式戦車など180両が本州展開

 防衛省によれば、明後日10月9日より、北部方面隊による平成25年度協同転地演習(連隊等転地)が開始される、とのことです。

Mimg_2041 協同転地演習とは、有事の際に方面隊を越えた部隊の増援要請に迅速に対応するべく、長距離戦略機動と戦域策源地構築、戦闘序列の構成と戦闘加入までを迅速に行う目的のもと実施されている演習で、冷戦時代はオーロラ演習、北方機動演習として本土の師団を北海道へ緊急展開する目的で行われていました。

Mimg_1600 北方機動演習として実施されていた北海道への増援ですが、冷戦構造の終結と共に、西方地域への軍事的圧力が高まるようになり、北方脅威への対処と演習場環境の良さにより重装備を充実させている北部方面隊の部隊を、併せて本土へ展開させる能力を付与する必要性が生じてきました。

Mimg_1505 こうして、北部方面隊からの本土への展開訓練と共に、加えて本土の師団及び旅団を北海道へ展開させる訓練を並行することで、陸上自衛隊の戦略機動能力強化を図る目的から、方面隊が相互に協同するという意味で協同転地演習と名称を改め、今に至ります。

Mimg_1462 今回の協同転地演習は、北部方面総監田邉揮司陸将が統裁官を務め、北部方面隊管区から連隊規模の部隊を東部方面隊管区の北富士地区へ展開させる目的で行われ、演習には札幌市の真駒内駐屯地に司令部を置く第11旅団より一個普通科連隊を中心とした部隊が参加します。訓練期間は10月9日から10月21日までの間とのこと。

Mimg_2014 参加部隊の規模は、人員530名、車両180両、航空機2機が参加し、車両には90式戦車4両が含まれます。部隊は9日に駐屯地を出発し、海路及び陸路、もしくは空路を利用し14日までに北富士演習場へ展開、18日までの期間に攻撃訓練などを行い、18日から21日までの期間を以て復路を達成するもよう。

Mimg_1680 西方脅威と共に、迅速な展開能力を整備することは、有事への切迫性が高まる際に、着上陸侵攻を受ける蓋然性の高い地域への予防展開が、その発生を抑止することが可能です。この論理は、安易に陸上国境の地域で急に行う場合緊張を増す可能性がありますが、専守防衛を国是とし、実績として先の大戦後に軍事侵攻を行っていない我が国では、非常に有用な抑止力となるでしょう。

北大路機関:はるな

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コメント (4)
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