北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

ブルートレイン“なは”“あかつき”“銀河”“富士”“はやぶさ”廃止へ

2007-12-06 15:06:11 | コラム

■ブルートレイン一斉廃止

 鉄道ファンが特集すると半年以内に消滅するというウワサがある、ということを無知な私はひうち氏の掲示板で学んだのですが、どうも本当らしい旨、C.ジョニー氏のブログで知った(情報遅くて申し訳ない)。

Img_9682  寝台特急、寝台料が6000円ほど掛かるとあって、新幹線以上に使用に敷居の高い、文字通り夢の超特急であるが、新幹線の登場以降、徐々に長距離旅行の花形から新幹線終電後の救済という位置づけが定着し、その後安価な高速バスに押される形で、“なは”“あかつき”“銀河”“富士”“はやぶさ”が2008年3月中旬と2009年のダイヤ改正において廃止となる模様だ。

Img_2934  特に、東京、若しくは大阪と九州を結ぶ寝台特急が全て運行を終了することとなる。こうして、九州島からはブルートレインが無くなることとなる。京都と九州を結ぶ“なは”“あかつき”、そして東京と九州を結ぶ“富士”“はやぶさ”の併結運行という手段も、採算性の面ではブルートレイン運行の延命手段とはなりえなかったようである。

Img_4615  加えて、大阪と東京を結ぶ寝台急行“銀河”も廃止され、廃止には至らなかったものの大阪と青森を結ぶ寝台特急“日本海”、東京と北海道を結ぶ“北斗星”も運行本数を減らしての新ダイヤが構想されており、北陸新幹線計画や新幹線函館延伸とともにこの二つも廃止となる可能性が高い。

Img_3117  冒頭にも記載したように、第一に首都圏のビジネスホテルが5000円前後で宿泊できるものが多くある中で、高価な寝台料金と運賃、更に特急料金が必要な料金体系により利用者が伸び悩み、結果旧式化する客車や機関車の更新費用を捻出できないことが背景にあるといわれる。

Img_9679  また、欧州の1435㍉標準軌と比べ在来線の1067㍉狭軌では、例えば列車旅行が有する高級志向に対応するには空間的限界があることも否めない。写真は新幹線車輌との対比であるが、車体の大きさの相違がなによりも照明している。寝台も車体として多用される14系客車は1972年に鉄道友の会よりブルーリボン賞を受賞、24系客車も1975年にローレル賞を受賞しているが、例えばかつての名鉄6000形小型セミクロスシート車のように、日本人の体格向上を考慮すると、旧式化は否めない。

Img_9665  更に、寝台特急の延命手段となるはずの併結運転を導入することで、結果的に始発駅からの本数を減らすことになったことから乗車時間に関する選択肢が狭まり、結果的に本数の少ない寝台特急よりも時間を繰り上げて新幹線を、若しくは安価に高速バスと在来線併用という選択に移行していったという背景もある。

Img_4063  1998年より、寝台特急“瀬戸”を新造の285系寝台電車に置き換えての“サンライズ瀬戸”(こんな写真しかなくて申し訳ない)が運行開始されたが、やはり乗車率確保や夜間の運行人員確保の難しさなどから、寝台列車の寝台電車への置き換えは行われず、普及には至らなかった。

Img_0609  他方で、夜間旅客輸送の需要自体はということを考えれば、大垣と東京を結ぶ夜間快速“ムーンライトながら”などは比較的高い乗車率を確保しており、普通運賃と指定席料金だけで利用できるという安価な点も背景にあるのだろうが、加えて、寝台特急を圧迫しているのが、夜行バスであるので、少なくとも夜間の旅客需要はあるということが出来るようだ。

Img_3888_1  夜間快速は臨時列車扱いで“ムーンライト九州”や“ムーンライト山陽”なども運行されているが、これを常設化するという方法などで、夜間旅客輸送の列車が確保されれば、とも思う。また、既存の寝台特急に関しては、例えば“なは”に連結され、指定席特急料金で利用できる三列大型リクライニングシートである、“レガートシート”の割合を増やすことで、乗車率を伸ばすこともできるのではないか。

Img_0186_1  写真は近鉄特急ビスタカー。寝台車ではないのだが、一つ思うのは、このようなかたちで、“ムーンライトながら”に使用されている373系電車に、二階席のある寝台中間車を連結し、簡易型寝台編成とすることは選択肢に含まれないだろうか(近鉄本線などは標準軌だが、トンネルなどは狭軌規格であるし、JRには狭軌路線でも二階車輌はある)。

Img_0168_1  写真は、“ひだ”“南紀”などに使われるキハ85系であるが、このようなかたちで、寝台車輌と既存特急車輌を組み合わせることで、寝台列車運行以外にも特急電車部分を特急として運行でき、寝台専用編成として列車稼働率を低くしなくとも運行が出来る点で、利点がある。また、夜行特急という利便性を旅客者に提供することも出来よう。

Img_3848 寝台特急“日本海”は、大阪と青森を結ぶ路線ということで、高速バスが京阪神から仙台以北に運行されていないため、運行は継続される模様である。しかし、阪急阪神並走線以外のJR西日本アーバンネットワークや、東海道本線の名鉄本線並走区間以外の区間で、新快速が急速に停車駅を増やし利便性が失われるように、一種の殿様商売のかたちでは、受け入れられないのではないかと思う。

Img_2927  通勤電車、特急電車、新幹線など、国鉄民営化後に世代交代を重ねる中で、あえて世代交代を行わず、更に寝台料金などの見直しを行わなかったことは、利用者の減少に反映したものだろう。例えば、B寝台だけでも指定席料金の二倍程度で利用できるとか、前述のようにレガートシート率を高めるなどの改革を行わなかったことが背景にあるともいえる。ただ、幾つもの旅客会社に跨る寝台特急、例えば同じようなダイヤと区間を走り、電気機関車に余裕のあるJR貨物が一括して運行するようにしておけば、良かったのかな、とも。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする