ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『俺たちは天使だ!』#16

2018-11-03 12:00:28 | 探偵・青春・アクションドラマ









 
☆第16話『運が良ければキャンピング』

(1979.9.23.OA/脚本=石川孝人/監督=土屋統吾郎)

相変わらずジリ貧で事務所の家賃も払えず、日々「アジサンド」ばかり食べてる麻生探偵事務所の面々は、ある日「偽装蒸発作戦」というのを思いつきます。

つまり、メンバーの誰かが計画的に行方をくらまし、その身内から捜索手数料を頂くという実にセコい作戦w

で、自動車整備工場に勤めるナビ(渡辺篤史)が蒸発し、海辺でキャンプ生活を送るのですが、そこでアタッシュケースを持った謎の美女(加山麗子)と出逢うことになります。

ユリコと名乗るその女性は何だかワケありで、泊まるアテも無いと言うのでナビはテントを貸し、自分は車で寝るのでした。

夜、二人で焚き火に当たりながらモンテカルロ・ラリー出場への夢を語るナビに「羨ましい」と言うユリコ。「夢見ることなんて、とっくの昔に忘れちゃった」と寂しそうな彼女に、ナビは「忘れたんなら思い出せばいいんだよ」と、彼らしい単純な発想で励まします。

で、ナビに気を許したユリコは、アタッシュケースの中身が五千万円の現金であることを打ち明けるのでした。

一方、ナビの勤める工場へ営業に出向いたジュン(神田正輝)は、社長(金井 大)に蒸発がヤラセであることを即座に見抜かれ、ナビの代わりに工場で働かされる羽目にw

作戦失敗につき、キャプテン(沖 雅也)はナビに帰還を命じるんだけど、五千万のキャッシュを持った家出娘と一緒にいると聞いて、今度は彼女の身内から捜索料を頂こうと画策しますw

で、調べてみるとユリコは大手銀行の貸付係であることが判明。銀行の支配人に当たってみると、彼女は銀行のカネ五千万円を持ち逃げして失踪中とのことで、キャプテンはその1割=五百万円の成功報酬でちゃっかり捜索依頼を引き受けるのでした。

でも、ユリコの横領を銀行が警察沙汰にしないことには理由がありました。あの五千万は不正融資のカネであり、裏では例によって暴力団が絡んでる。

となるとユリコが狙われ五千万円を奪還されてしまう恐れもあり、ダーツ(柴田恭兵)とジュンはナビのキャンプ先へ迎えに行くんだけど、そこには独り淋しくうなだれるナビの哀れな姿が。

ナビの純粋な夢に心を打たれたユリコは「モンテカルロへの切符をプレゼントします」と書いた手紙と現金入りアタッシュケースを残して、姿を消していたのでした。

ダーツとジュンは五千万の全額ネコババを提案しますがw、キャプテンは正当に成功報酬だけ受け取る道を選択。だけど相手は悪徳銀行マンと暴力団。例によって力ずくで五千万を奪いに来た暴力団と闘う羽目になり、結局カネは銀行の不正融資を捜査してた新妻署の刑事たちに没収されるという、いつものパターン。

ところがそれで終わりかと思いきや、今度はナビが本当に蒸発しちゃいます。ナビは他の探偵社にある人物の捜索を依頼するため、アタッシュケースの金を20万円だけ使ってしまったのでした。

電話で謝罪してきたナビに、キャプテンは尋ねます。

「一体、誰を探してるんだ?」

「笑ってくれよ、消えちまったユリコさんだよ。どうしてもさ、あの人ほっとけなくってよ」

「分かった。いいから戻って来い」

「優しいこと言ってくれるけどな、みんなに会わせる顔がないよ」

泣きながら電話を切ったナビは、再びあの海辺でキャンプを張ります。で、彼はそこでまた、行く先を失ったユリコと再会するのでした。

「私、バカだった。お金があれば幸せになれるって、どうせ不正なお金だと思って盗って来たの……今から、警察へ自首するわ」

「…………」

切ない顔で頷くナビを、麻生探偵事務所の面々が全員で迎えに来ます。ナビの工場の社長が「いないと寂しいから」という理由で、ちょうど20万円の料金で捜索を依頼したのでした。

「ユキちゃん、仲間だ」

涙目のナビに紹介され、ユキは笑顔で言います。

「私、生まれ変わった気持ちでやり直します」

彼女に別れを告げ、小さな漁船でクルージングに出掛けた探偵たちは、海の上で叫びます。

「俺たちは天使だ!」

『俺天』メンバーは全員好きだけど、1人だけイケメンじゃないナビさんには特に感情移入しやすく、唯一主役を張った本エピソードも深く印象に残ってます。

純情かつ単純なナビさんが主役ってことで、これは特に青春ドラマの色合いが濃いですよね。最後に仲間が迎えに来る展開とか、犯罪を犯したヒロインがナビの純粋さにほだされ改心するとか、まさにチョー生真面目プロデューサーの岡田晋吉イズムが炸裂してます。

そこが『太陽にほえろ!』や日テレ青春シリーズを観て育った私の琴線に触れまくるんですよね。綺麗事ともお涙頂戴とも違う、人間こうあって欲しいっていう切実な願い、若い世代へのメッセージ。それが岡田晋吉イズムなんだと私は思ってます。

だから安易にセックスは扱わないし、陰惨な犯罪も描かない。私が人一倍ヌードや濡れ場を見たがるのは、そんな岡田イズムに染められたがゆえの反動ですw

いや、冗談抜きで当時のテレビ番組にはそれだけの影響力があったし、創り手たちもその責任を背負って仕事されてました。だからこうして40年近く経っても心に残ってる。

ヌード画像はゲストの加山麗子さん、当時23歳。プロフィールは『大都会PART II』#13の記事に書きましたので、今回は割愛します。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『俺たちは天使だ!』#05

2018-11-03 00:00:22 | 探偵・青春・アクションドラマ









 
1979年春から日本テレビ系列の日曜夜8時枠で全20話が放映された東宝製作の探偵アクション。

前回も書きましたが、岡田晋吉プロデューサーはじめ『太陽にほえろ!』のメインスタッフ&キャストが大挙参加されており、ほぼ姉妹番組と言っていい作品ですから私は大ハマリしました。

音楽担当は『探偵物語』と同じ「SHOGUN」さんですが、スタートはこの『俺たちは天使だ!(以下、俺天)』の方が半年ほど早いんですよね。松田優作さんが当初ハードボイルド路線を狙ってた『探偵物語』をコミカルな「ハートボイルド」に切り替えたのは、SHOGUNさんの起用から見ても『俺天』の影響が確実にあったものと思われます。

つまり、その後『プロハンター』等へと続くオシャレな探偵コメディー路線の先陣を切った作品が『俺天』なワケだけど、そこは岡田晋吉チームですから青春ドラマ的な色合いも濃く、これはこれで独自の味わいがあります。で、私はその『俺天』味が一連の探偵ドラマ群の中で一番好きなんですよね。

東宝作品で『太陽~』の姉妹番組ですから、いくらオチャラケても根本は真面目で、越えて欲しくないリアリティーの境界線を(スレスレだけどw)決して越えない。

それと『太陽~』と同じくチーム物であることも大きい。私自身は独りぼっちでいるのが好きだけど、だからこそドラマには人と人との心地好い繋がりを求めてしまうのかも知れません。

また、若くして亡くなられた沖 雅也さんが主演された唯一の連ドラであることも、本作が忘れられない大きな要因になってると思います。

沖さんご自身、本作には特別な思い入れがあったようで、遺影に『俺天』の写真を使ってもらうよう遺書に書き残されてたそうです。それだけウェルメイドな作品だし、現場のチームワークも良く、撮影がすこぶる楽しかったみたいで、それが画面から伝わって来ます。


☆第5話『運が悪けりゃ女にモテる』

(1979.5.13.OA/脚本=和久田正明/監督=木下 亮)

キャプテンのルックスの良さを見込んで、ユリ(ホーン・ユキ)という女を誘惑して「間男」になって欲しい、との珍依頼が舞い込みます。

ユリは会社社長の竜吉(岸田 森)と親密な関係にあり、結婚間近と見られてるけど竜吉の親族は納得していない。依頼人は竜吉の妹=礼子(緑 魔子)で、不倫の既成事実を作って結婚を阻止したいというワケです。

なんだか危険な匂いがすると言うユーコ(多岐川裕美)の制止も聞かず、まずはナビ(渡辺篤史)、そしてダーツ(柴田恭兵)が嬉々としてユリに近づきますが、ことごとく玉砕w

で、真打ちのキャプテン(沖 雅也)がアタックするもやはりガードは固く、礼子に急かされて無理やりユリの唇を奪ったキャプテンは、竜吉に見つかってあわやセメント詰めの刑に。そう、竜吉の会社の実態は暴力団だった! 

ところが、なぜか新妻署の刑事たちにキャプテンは救われます。実はユリの正体は麻薬Gメンで、大きな麻薬取引を控える竜吉に近づいて潜入捜査していたのでした。

その取引で1億円もの現金が動くことを知ったキャプテンたちは、例によってその横取りを画策するのですが……

もちろん、いつものように南雲係長(江守 徹)に見つかり、命懸けでネコババした1億円は没収されちゃいます。そんな意気消沈の天使たちに、今度はユリから「麻生キャプテンのことをもっと知りたいから」と身辺調査の依頼が舞い込むのでした。

こうして粗筋だけ書いてても実に楽しく、なんだか可愛い感じがするんですよね。殺人事件は起こっても殺人そのものは描かないし、けっこう凄いアクションを演じても見せ方は軽やか。ブーメランとかダーツとか頭突きとか、現実的に考えればかなり物騒なもん使ってるんだけどw

ユーコがキャプテンに恋してて、彼に間男の役をさせないよう策を講じたりする様子がまた可愛く、やっぱ岡田P流の青春ドラマなんですよね。そのへんが同じコメディでもアダルトな『探偵物語』とは違うところで、当時まだガキンチョだった私には『俺天』のテイストこそが合ってたワケです。

セクシー画像はもちろんヒロインの多岐川裕美さん、当時28歳。デビュー作の東映映画『聖獣学園』でいきなりヌードを披露されてますが、後にそれは監督に騙されての事と発言して物議を醸したり、東映から強引に事務所を移籍する等、ドラマ『柳生一族の陰謀』や『俺天』でブレイクされるまでは何かとスキャンダルが目立つ女優さんだったみたいです。

しかし私にとってはキャプテンに恋する純情なユーコのイメージが強く、後に『七曲署捜査一係』のメンバー「オネエ」も演じられる事だし、この方も忘れられない女優さんの一人です。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『俺たちは天使だ!』1979

2018-11-02 12:00:11 | 探偵・青春・アクションドラマ









 
刑事ドラマ大好き人間の私ですが、探偵ドラマはそれ程でもないんです。『傷だらけの天使』も『探偵物語』も、観れば面白いと思うし感動もするんだけど、「ハマった」と言えるほど好きにはならなかったんですね。事件物で括れば刑事も探偵も同じだろうと思われるでしょうが、私の中ではかなり違います。それは恐らく私が、登場人物に自己投影しながらドラマを観るタイプの視聴者だから、だろうと思います。

刑事は警察というガチガチの堅い組織の中で働く人達であり、厳しいモラルやルールに縛られながら捜査をし、時には自分の主義主張を曲げてお偉いさんの指示に従わなければならない、とても窮屈な職業です。それに対して私立探偵は基本的に自営業であり、組織の後ろ盾が無い替わりに、しがらみやルールに縛られない自由さがある。そこが刑事物には無い探偵物の魅力なんだけど、私がハマらない理由もそこにあるんです。

主人公の境遇に厳しい制約や障壁があればあるほど、それをはねのけて逆転勝利した時のカタルシスが大きくなると思うんですね。最初から主人公が自由な立場だと、その快感が得られない。

それと、私自身がアウトローな男に憧れながらも、現実には組織の中で生きる事しか出来ない小市民ゆえに、アウトローな私立探偵よりも窮屈な刑事の方が、かえって自己投影しやすいワケです。

探偵は拳銃を使わない(ゆえにアクションが地味になりがち)とか、他にも理由は色々あるかと思いますが、とにかく私の中では刑事物が特別好きなジャンルであり、探偵物は「その他のジャンル」の1つに過ぎません。

だけども『俺たちは天使だ!』だけは別格で、これにはハマったんですよね。毎週の放映が待ち遠しくて、地味なエピソードが多かった’79年当時の『太陽にほえろ!』よりも、正直こっちの方が楽しみだったかも?

私がハマるのも当然と言えば当然かも知れません。何しろ日本テレビ&東宝の製作(全20回)による本作は、メインスタッフ&キャストがほとんど『太陽にほえろ!』と同じだったんですね。

放送は毎週日曜日の夜8時で、NHK大河ドラマの裏だし途中からテレ朝で『西部警察』が始まったりもしたけど、私は『俺天』を観続けたし、視聴率も好調でした。

(いまだに根強いファンも多く、最近になってテレビ東京で続編らしきドラマも創られましたが、今時の若手イケメンが演じるビデオ撮りのドラマですから、それには全く興味無いです)

確かに『太陽』と同じ人達が創ってる事は観るきっかけになったけど、ショーケンさん(=マカロニ刑事) の『傷だらけの天使』にも優作さん(=ジーパン刑事) の『探偵物語』にもハマらなかった私が、なぜ『俺たちは天使だ!』にはハマったのか?

多分、チーム物であった事が大きいかも知れません。宮内淳さん(=ボンボン刑事) の『探偵同盟』もチーム物ではあったけど、残念ながら掛け合いの面白さじゃ『俺天』の足元にも及びませんでした。そこはやっぱり、主役を囲むメンバー達の「役者が違う」って事になるのでしょう。『俺天』のキャスト陣は一流揃いでした。

麻生探偵事務所のメンツは、スコッチ刑事ばりにキザだけどどこか抜けてる「キャプテン」に沖 雅也、小悪魔な紅一点の「ユーコ」に多岐川裕美、ユーコLOVEな熱血単純男「ナビ」に渡辺篤史、身も心も軽いダンス野郎「ダーツ」に柴田恭兵、合理主義の業界人「ジュン」に神田正輝というメンツ。

そして同じマンションに事務所を構える藤波法律事務所の、カップラーメン大好き弁護士に小野寺 昭、その助手の久美ちゃんに長谷直美。マンション管理人に下川辰平。さらに新妻警察署の刑事に勝野 洋、江守 徹、三景啓司、横谷雄二らが扮するほか、秋野太作、結城美栄子、田坂 都etcと、『太陽』レギュラーを中心に岡田晋吉プロデュース作品のオールスターキャストが揃い踏み。

特に『太陽』におけるクールなイメージを覆す、沖さんのコミカルでお人好しな佇まいは新鮮で魅力倍増だし、恭兵さんを中心に繰り広げられるアドリブ合戦の楽しさや、ハイテンポな掛け合いのリズムと絶妙な間は、ずっとその世界に浸っていたくなる心地良さがありました。

みんなとにかく貧乏で「金にならない仕事は絶対に引き受けない!」っていつも言ってるのに、結局は義理人情にほだされたり、狡猾なクライアントに騙されて危ない橋を渡っちゃう。悪党の裏金を横取りする得意の作戦も、必ず警察に見つかって最後には没収されちゃう。人助けしてるのに決して現金じゃ報われない、それでもまた金にならない仕事を引き受けちゃう「天使」たちの姿がまた、微笑ましくて愛おしくて癒されるんですね。

この作品もかなり突き抜けた演出で、例えば驚いた時にバネ仕掛けで髪の毛が逆立ったりする漫画チックな場面も多いんだけど、そういう枝葉のお遊びなら私も楽しめるんです。だけど内容そのものが「何でも有り」になっちゃうと、リアリティや緊張感が欠落して『探偵同盟』みたいになっちゃう。セントラルアーツ作品はその一線をよく越えちゃうんです。

その点『俺たちは天使だ!』は、ギリギリ一歩手前でリアリティと緊張感を保ってくれてました。そのボーダーラインを具体的に説明しろと言われても難しいのですが、要するに「そんなヤツはおらんやろ!」と「そんなヤツ、もしかしたらいるかも?」の違いと申しましょうか……

沖さんが使う武器のブーメランや、恭兵さんのダーツ、篤史さんの頭突きもw、現実にはいないとしても有り得なくはない。9割が嘘でも1割の真実さえあれば楽しめる。そこんとこの微妙なサジ加減、解って頂けますでしょうか?

それはともかく、ヒットする番組の必須条件ではありますが、『俺天』は音楽もオシャレで軽快で素晴らしかったですね。担当したバンド「SHOGUN」はこの後『探偵物語』も続けて手掛ける事になります。主題歌『男達のメロディー』の歌詞「運が悪けりゃ死ぬだけさ」は『俺天』のスピリットを見事に体現したフレーズで、毎回のサブタイトルにも応用されました。

その主題歌が流れるOPタイトルの映像も凝ってて、ギャングに追われるキャプテン達の車がどんどん崩壊していく様が丁寧にコミカルに描かれてて、何回観ても飽きずに笑える実に素晴らしいタイトルバックでした。

ちなみにこの番組、当初のタイトルは『沖田総司』だったそうですw つまり新撰組を描いた時代劇の企画として準備を進めてたのに、撮影直前になって局の上層部から「大河ドラマの裏なのに時代劇はあかんやろ」とストップをかけられ、苦肉の策で現代劇の企画を急遽ひねり出したという、嘘みたいなホントの裏話。

だから当初は沖雅也=沖田総司、柴田恭兵=斉藤一、神田正輝=永倉新八、勝野洋=桂小五郎、江守徹=近藤勇、というような配役だったそうです。前年か前々年にやはり『太陽』チームで『姿三四郎』を連ドラ化(勝野洋 主演)してましたから、その流れを受けた企画だったんですね。

それはそれで興味深いけど、私としては『俺たちは天使だ!』が観られて幸せでしたから、撮影直前に企画変更を命じた無茶な偉いさんに感謝したいと思いますw
 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『探偵同盟』1981

2018-11-02 00:00:05 | 探偵・青春・アクションドラマ









 
『あさひが丘の大統領』に続いて宮内淳さんが出演されたのが、1981年初頭にスタートしたこのドラマ。

松田優作主演『探偵物語』(’79~’80年、日本テレビ系) をヒットさせたばかりのセントラルアーツ社が製作し、フジテレビ系列の木曜夜8時枠で全12話が放映された『探偵同盟』です。

早稲田大学に実在したという「探偵クラブ」をモデルに、主に若い世代が巻き込まれたトラブルや犯罪を学生探偵達が解決していくという、最初からコケるのが目に見えてるような企画でしたw

大学生の探偵と聞けば、ただでさえ面白半分に事件を扱ってるようなマイナスイメージを受けるのに、観たら実際に悪フザケ満載の番組内容で、大方の視聴者がソッポを向いちゃったのは当たり前かと思います。

悪フザケの度が過ぎて「何でも有り」になっちゃうと、サスペンスやアクションから緊張感が欠落しちゃいます。緊張感の無い捜査物やアクション物ほどつまんない物はありません。

その「何でも有り」の一線をよく超えちゃうのがセントラルアーツという会社の(私から見れば)悪い癖で、最初は大好きだった『あぶない刑事』もテレビの第2シリーズあたりからオフザケが過ぎてバランスを崩し、私にとっては「寒い」作品になっちゃいました。

優作さんの『探偵物語』の場合は、ハードボイルドタッチで書かれた脚本を現場でコミカルに味付けして行く手法でしたから、まだ楽しめました。私としてはギリギリのラインでしたが……

その辺りは感じ方に個人差がありますから一概には言えないけど、少なくとも『探偵同盟』が低視聴率により1クールで打ち切りになっちゃったのは、間違いなく「フザケ過ぎた」ことが原因だろうと私は思います。

そのせいで未だ商品化される見込みは無く、再放送されたという話も聞いた事がありません。事実上の封印状態です。だけど私は、もう一度観たくて観たくて仕方ありません。

何しろ数少ない宮内淳さんの出演作だし、最高に可愛かった頃の森下愛子さんがヒロインですから。

その時代にスベったドラマだからこそ、今観るとまた違った楽しみ方が出来るかも知れないし、まぁやっぱり笑えないだろうけどw、それでも私は観たくてたまらないのです。

探偵クラブのメンバーは、大学8年生のリーダー「マーロウ」に宮内さん。そして早熟で多感な紅一点「モンロー」に森下さん。このネーミングセンスだけで既に敬遠しちゃう方も多い事でしょうw

ほか、プレイボーイの「ボンド」に塩屋智章、キリストかぶれの「ブラウン」に柿崎佐斗志、ルポライターの「社会人」に本間優二と、正直パッとしない面々w

そして犯罪心理学の助教授にして探偵クラブ顧問「ホームズ」に扮したのが、我らが若大将・加山雄三さん。

当時なぜかテレビ界は加山雄三ブームで、このシーズンは毎週木曜日の夜に、8時からフジで『探偵同盟』、10時からテレ朝で『加山雄三のブラックジャック』と、なんと同じ曜日に2本の主演ドラマが放映されてたという異常事態。

私は漫画『ブラックジャック』の大ファンですから、加山さんのBJにも大いに注目したんだけど、こっちは全然フザケてない超シリアスな作風なのに、『探偵同盟』を軽く凌駕する程の珍品ドラマになってました。

何しろ昼間は爽やかなハンサム実業家の加山さんが、夜になると黒マントを羽織ってニヒルな天才医ブラックジャックに変身する(顔の傷跡や白髪も急に表れる!)という、実にアバンギャルドな設定。カルト作としてマニアックな人気は得たものの、数字的にはやっぱりコケましたw

『探偵同盟』が12回で打ち切られた後は、セントラルアーツとしては珍しい正統派の刑事ドラマ『愛のホットライン』がやっぱり加山さん主演で放映され、コケましたw あの頃、何故そんなに、加山雄三でなければいけなかったのか???

『探偵同盟』には更に樹木希林、佐藤蛾次郎、そして『探偵物語』から引き続いて成田三樹夫、山西道広、竹田かほり、ナンシー・チェニーらがレギュラー出演。

特に成田さんと山西さんは前作と同じ服部警部&松本刑事の役で、毎回パトカーのスピーカーで「ワルキューレの騎行」を大音響で鳴らしながら、指揮棒を振り回して登場するというナンセンスぶり。ここまでとことんバカバカしいと笑えますw

正直なところ『探偵同盟』で私の記憶に残ってるのは、この狂ったように指揮棒を振り回す成田三樹夫さんの姿だけだったりしますw もっと他の場面も思い出したいので、是非ともDVD化して頂きたいです。

なお、宮内淳さんは同じ年の夏に『ここまでは他人』というジェームス三木・脚本によるTBS系の連続ドラマ(水曜夜9時、全9話)にレギュラー出演された後、パッタリとドラマに出なくなっちゃいました。

『ここまでは他人』の主演は漫才コンビの星セント・ルイス、ヒロインは女子プロレスのマッハ文朱という、あまりに異色……と言うよりイロモノ過ぎるラブストーリーでした。

俳優として充分に華々しいフィルモグラフィーではあるんだけど、錚々たる『太陽にほえろ!』卒業生たちのその後に比べると、宮内さんはイマイチ作品に恵まれなかった感が否めません。

だけどテレビに出なくなられたのは恐らく、宮内さんご自身にそれほど芸能界への執着が無かったから……だろうと私は思います。そんなギラギラ感の無さこそが、私が宮内淳という俳優さんに惹かれた最大の理由なのかも知れません。

宮内さんは現在「影絵劇団/かしの樹」主宰者として、また「公益財団法人/地球友の会」代表理事として精力的に活動されており、相変わらずスマートでお元気な姿を『太陽にほえろ!』や『あさひが丘の大統領』のDVD映像特典で見せて下さってます。
 
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『あさひが丘の大統領』#01―2

2018-11-01 11:11:04 | 探偵・青春・アクションドラマ









 
可愛い教え子の二宮(田中浩二)に、あわやレイプされそうになった涼子先生(片平なぎさ)ですが、駆けつけたハンソク先生(宮内 淳)の必殺もみあげパンチで、何とか事は収まりました。

現在ならば生徒のレイプ未遂よりも教師の暴力の方が問題視されそうだけど、この当時はまだ体罰1つでいちいち騒がれたりしない時代でした。

涼子先生はしかし、生徒たちが自分の色気に惹かれてラグビーをやっていた現実を目の当たりにし、打ちひしがれます。自分の理想とする教育が出来てると信じていたのに……

体育館で独り佇む涼子先生に、ハンソク先生が声を掛けます。

「あいつらが落ちこぼれたのは、それなりにそれぞれ理由があるんだ。他人がどうこう出来る事じゃないんだよ」

「……よく解るのね、あの子たちの気持ちが」

「ああ。俺も、あいつらと同じ落ちこぼれだったんだ。学校のお客さんだったんだよ。勉強が出来ないから落ちこぼれた……そんな簡単な問題じゃないんだ。先生にどうこう出来るって、そんな簡単な問題じゃないんだ」

「じゃ、先生は何だって言うの? ただ教壇の上に立って、知識を教えていればそれでいいって言うの? それだけが先生だとしたら、私は先生になんかなりたくなかった……」

多くの教師は、そんな理想を抱いて教職に附き、それとは程遠い現実の壁にぶち当たり、日々闘っておられる事でしょう。

この当時(’70年代末)は、校内暴力や学級崩壊の問題が表面化して来る少し前で、偏差値教育について行けない「落ちこぼれ」をどう扱うべきかが大きな問題になってる時代……だったように記憶します。

「青春シリーズ」って、娯楽フィクションの形を取りながら、そういった問題に対する提言を真面目に続けて来た番組だと思うんだけど、鼻で笑うような反応を示す視聴者も多かった気がします。

「私、陰口言われてるの知ってます。テレビの見過ぎだとか何とか……でも先生って、人を相手にするものでしょ? 人と人とが触れ合っていくものでしょ?」

涼子先生のこの台詞は、そんな世間に対する創り手からの反論なんだろうと私は思います。

「あんなものはテレビの中だけの出来事だって言うの? 私はそんなのイヤ。現実がどうであろうと現実に合わせて生きて行けなんて、そんなのイヤ! 私は、私の考える先生でいたいの。そうなりたいのよ!」

一見、ガキ大将がそのまま大人になっちゃったハンソク先生よりも、涼子先生の方がオトナに見えるんだけど、理想に凝り固まって壁にぶつかると脆くも崩れちゃう彼女の方が、実は未成熟なのかも知れません。

「私が触れ合えそうだったのは、この学校じゃあの子たちだけだったの。それが間違いだって言われたら、私……明日からどうやって生きて行けばいいの? どうやって生きて行ったらいいのよ!?」

返す言葉が見つからないハンソク先生は、彼女を立ち直らせてやれるのは生徒たちしかいないと考えたのか、川べりでふてくされてる水野(井上純一)らラグビー部員たちに声を掛けます。

「よお、もう一度ラグビーやってやれよ。あんなに生徒のことで一生懸命な先生、俺たちの頃にはいなかったぞ?」

しかし、二宮のレイプ未遂で自分たちのダメさ加減をあらためて思い知らされたせいか、水野らはイジケて殻に閉じこもるという醜態を晒します。

「いい仲になったのかい、涼子先生と」

「なに?」

「二宮を殴って、それで仲良くなったってワケかよ! 生徒のことで一生懸命だ? 要するにあの先公だって、俺たちと一緒にラグビーやって、それで欲求不満晴らしてただけの事だろうが!」

今度は水野のイケメン面に、必殺もみあげパンチが炸裂します。元・応援団長としては、最も許せない若造の言い草だった事でしょう。

「自分の心が汚いからって、人の心まで汚いと思うな! だからお前たち落ちこぼれるんだよ! そうやってな、いつもツルんでなきゃ1人で生きて行けないんだよ! 一生そうだお前らっ!!」

このハンソク先生の台詞には共感しました。どんなに格好つけてようが、しょせん不良や極道の本質なんてそんなもんでしょう。

痛いところを突かれた水野らは、ハンソク先生をフルボッコにしようとしますが、七曲署で4年間も鍛えられて来たボンの敵ではなく、全員1人残らずもみあげパンチを食らう羽目になります。

そしてハンソク先生は、あらかじめ野口先生(秋野太作)が用意してくれた辞表に、さっそく署名する羽目にw 町中で生徒たちと乱闘騒ぎを起こせば、まぁ当然の結末と言えましょう。

「あんた、辞めんのか? 俺たちのせいか?」

顔に青あざを作った水野が、同じく顔を腫らしたハンソク先生に声を掛けます。

「いや。俺はやっぱり、先生になれるような人間じゃない。そいつが分かったんだ」

「先生なんて、誰だってなれるさ」

「水野。お前、自分が先生になれると思うか?」

「まさか」

「そうだろう。俺もお前と同じ人間なんだよ。お前、1回落第してるんだってな。おんなじじゃねえか、俺と」

そう言って笑うハンソク先生に、水野は何やらシンパシーを感じた様子です。

そして迎えるクライマックス……って、めちゃくちゃ展開が速いですけどw、別にレビューするのが面倒になって省略したワケじゃありません。ほぼリアルタイムで進んでます。

東京へ帰ろうとするハンソク先生を、水野らラグビー部員たちが駅で待ち構えてました。

「よお、最後に1度ぐらい、先生の気分味わいてえだろ? 俺たちが味わわせてやろうか?」

青春シリーズ自体は好きなんだけど、生徒が先生に対してタメ口を聞くのだけは、当時も今もあまり感心出来ません。現実をドラマが反映してるのか、ドラマの影響で現実もそうなったのか判りませんが、私の世代でも先生にタメ口を聞く同級生が少なからずいました。

私はイヤでしたね。先生は先生であって、家族でも友達でもない。そういうケジメ…って言うと堅苦しいけど、区別はしなくちゃイカンやろって、昔も今も変わらず思ってます。

それはともかくホームに入った水野らは、線路を隔てた向かい側のホームにハンソク先生を立たせて、1人ずつ声を掛けていきます。

「先生!」「帰って来てくれよ先生!」「みんなが先生を待ってるんだ!」

これは中村雅俊さんのデビュー作『われら青春!』で、同じ鎌田敏夫さん脚本による第1話(あるいは最終回だったかも?)で描かれたクライマックスと全く同じです。

リメイクというよりも、あのドラマを観て育った水野らが、同じシチュエーションをハンソク先生にプレゼントしてあげてる……みたいな裏設定があったんじゃないでしょうか?

レイプ未遂をやらかし、記念すべき第1発目のもみあげパンチを食らった二宮くんも、懸命に声を掛けます。

「先生! 好きなんだろ? 先生って職業が好きなんだろ?」

「好きなことは、そう簡単に諦めんじゃねえよ! もう一度、一緒にやってくれよ先生!」

感動したハンソク先生はホームから駆け出し、水野らとラグビーボールを投げ合うと、あっという間に海辺まで移動しw、砂浜をあのボン走りで全力疾走しながら、叫びます。

「俺はやっぱり先生がやりたい! お前たちと一緒にやりたいんだ!」

そんなに言うほど、先生と生徒たちとの絆がまだ描かれてないもんだから、イマイチ感動出来ないんだけどw、これぞ青春シリーズ!っていう場面を、初回できっちり見せてくれたのは良かったと思います。

しかし、いくらハンソク先生が教師を続けたいと思っても、起こした問題が問題だし、辞表も既に受理されてます。そこで助けに現れるのが、最愛のお母ちゃん=里枝(藤間 紫)です。

そもそも伝説の問題児だった「ハンソク」が朝日丘学園に教師として赴任出来たのは、居酒屋のママさんゆえに情報通な里枝が、教師たちの弱み(リベートやセクハラ等)を握っていたから。

「あなた! 私を脅迫するんですか!?」

「はい。あの子を私の手元に置くためなら、脅迫でも何でも致します!」

最大の難敵である竹内教頭(高城淳一)も脅しに屈し、高岩校長(宍戸 錠)に至っては里枝に惚れてる節もありw、ハンソク先生は難なく復帰出来る運びとなりました。いいのかそれで!?w

オレンジのラガーシャツ(『われら青春!』のと同じ?)に鉢巻き姿のハンソク先生は、水野たちに何度も「先生」と呼ばせて悦に入ると、勝手に彼らをランニングに連れ出します。

それに気づいた涼子先生はカンカンになり、ガードマン(名古屋 章)の自転車を借りてその後を追います。涼子先生、いつの間に立ち直ったんでしょうか?w

で、ブレーキが壊れた自転車で坂道を下った涼子先生は、ハンソク先生に突っ込んで抱き合う形になっちゃうというラブコメ展開。そういうの好きですw

ちなみに片平さんは自転車が実は初体験で、この場面の撮影で数針縫う大怪我を負い、番組スタッフは所属事務所から大目玉を食らったそうです。

エンディングは主題歌『新しい空』のスローバージョンに乗せて、オープニングの未使用カットも交えた青春風景。

生徒たちを連れて浜辺をランニングしながら、ハンソク先生とタックル先生が無邪気に小競り合いする姿を見て、私は何だかじ~んと来ちゃいましたw こういう演出が観られるのも『あさひが丘の大統領』が最後だったんですよねぇ……

♪追いかけようぜ~若さの蜃気楼~AHA~生きてる~生きてるんだ~俺たち~

一気に3話分ぐらい消化したような盛り沢山ぶりで、正味45分に詰め込み過ぎた感もありますが、昨今の連ドラみたいに初回から2時間もダラダラやられるより遥かに良いです。

色んな問題が提起されて、何一つ解決しないままなんだけどw、ここから全てが始まるワケだし、前回も書いた通り安易に結論を出さないのが『あさひが丘』の特徴なんですよね。

この番組の方向性を語りきった見事な第1話で、何回観ても飽きない作品です。ただ1つ問題なのは、すっかり下がったハンソク先生の好感度ですよねw

本来の優しさと熱さを発揮した後半で、やや盛り返したものの、展開があまりに駆け足だったお陰で、前半のマザコンぶりや身勝手ぶりの印象ばかり残っちゃった感じです。

しかも第2話の予告編ではパンツ1丁の姿を女子生徒たちに晒したり、ドリフのコントよろしく白粉まみれになったりと、ちょっと子供じみたドタバタ喜劇の側面ばかり強調されてて、観る気が失せた視聴者も多かったかも知れません。

宮内 淳さんの魅力って、もっと他の部分にあった気がするもんで、この『あさひが丘』の次に出演された『探偵同盟』にせよ、もうちょっと何とかならんかったかなあって、当時から思わずにいられなかったです。

とは言え、非常に数少ない宮内さんの出演作にして、青春シリーズ最後の作品としても貴重な番組です。

ヌード場面も含めて、何とか既成の殻を破って新しいものを創り出そうっていう、スタッフ&キャストの野心、そして情熱が溢れたこの第1話は、特に忘れがたい作品です。
 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする