ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『太陽にほえろ!』#235

2019-08-03 00:00:04 | 刑事ドラマ'70年代









 
☆第235話『刑事の娘が嫁ぐとき』

(1977.1.21.OA/脚本=田波靖男&四十物光男&小川 英/監督=児玉 進)

長さん(下川辰平)を尊敬する派出所勤務の巡査=桜木(峰 竜太)の、結婚して間もない若妻=知子(結城しのぶ)が七曲署捜査一係室を訪れ、夫への脅迫電話が頻繁に掛かって来ることを打ち明けます。

何とか力になってやりたいと思う長さんだけど、当の本人である桜木巡査は、勝手に長さんに相談を持ち掛けた妻を責め立てます。

そんな若い夫婦のやり取りを見て、結婚を間近に控えた長さんの娘=良子(井岡文世)は、父親の前で「私は警察官のお嫁さんにならなくてホント良かったわ」とキツい一言。長さんはショックを受け、凹みます。

そして長さん久しぶりの非番日にして、良子が参加する最後の家族旅行当日。よりによってそんな日に、桜木巡査が何者かに銃撃を受け、負傷しちゃいます。ボス(石原裕次郎)は「構わず旅行に行け」って言うんだけど、例によって長さんは捜査を優先するのでした。

大災害が起きた時に平然と遊んでる政治家がいても驚かない昨今、こんな長さんの仕事人間ぶりはもはや、視聴者に共感されないどころか信じても貰えないかも知れません。

だけど長さんは、桜木を守ってやると知子に約束した手前、放っておくワケにいかないのです。結果的に桜木を負傷させてしまい、知子には恨まれ、旅行をすっぽかして家族にも責められながら、長さんは犯人の正体を掴もうと必死になります。

しかし、それにしても当の桜木はなぜ、命まで狙われながら長さんを頼ろうとしないのか? 何か裏があると睨み、桜木を追及しようとするスコッチ(沖 雅也)を、長さんはこう言って制止します。

「キミのように順調に刑事になれた警察官には解らないかも知れんが、刑事になりたくてもなれずに、地道な仕事に耐えてる連中もいるんだ。どんなに危険でも、大きな手柄を立ててチャンスを掴みたい……この俺だってそうだった」

どうやら桜木は、自分の手で犯人を挙げる為に、その正体を知っていながら長さんたちに隠してる。叩き上げの苦労人である長さんには、その気持ちが痛いほどよく解るってワケです。

また、長さんは「警察官と結婚しなくて良かった」っていう娘の言葉を聞いて、愕然としたことをボスに打ち明けます。長さんがショックを受けたのは、実は娘に対してじゃなくて、彼女の言葉を聞いて自分自身の本音に気づいたから、なのでした。

「警察官の仕事を、誰よりも誇りに思っているつもりだった私が、実は無意識の内に、自分の娘は警察官にやりたくない……そう思っていたんです」

だから長さんは、どんな事があっても桜木夫妻を守り抜き、警察官という仕事に対する失望や不安を払拭させたいと願ってる。そんな長さんの必死な気持ちに、捜査一係の仲間たちも共感するのでした。

まぁ、そういった心情は理解出来ますよね。長さん側のドラマは実に『太陽~』らしくて良いと思います。

だけど、いくら刑事になりたいからって、脅迫して来る相手の正体を知っていながら、自分で捕まえる=手柄を立てる為に隠してる桜木巡査の行為は、あまりに愚かだし傲慢すぎます。そのせいで奥さんが脅迫電話に怯えてるというのに。

しかも敵の正体は金庫破りの窃盗グループで、そのメンツがなんと片桐竜次&苅谷俊介&堀勝之佑ですよ!w 峰竜太ひとりで捕まえられるワケがないw 峰さんが10人いても勝てませんからw

挙げ句の果てに愛する妻が、よりによって片桐竜次の人質にとられて、無事で済むワケがないw で、結局は長さんたちが命懸けで闘って救出する始末。大事な家族旅行を犠牲にして!

いくら何でもゲストキャラが愚かすぎて、どうも何だかしっくり来ないエピソードになっちゃいました。

せめて、長さんが「奥さんの気持ちを少しでも考えた事あるのか!?」って、峰さんをシバいて説教するべきでした。「和田アキ子ファミリーなんかに入るからお前は堕落するんだ!」って。

今回は豪華ゲスト陣に加え、長さんファミリーも勢揃い。おまけに長さんvs片桐竜次、スコッチvs苅谷俊介の気合いの入った死闘まで見られる贅沢さ。それだけに、ストーリーに共感出来ないのは勿体無かったです。

若妻=知子に扮した結城しのぶさんは、当時24歳。NHKドラマ『新・坊っちゃん』のヒロイン役や、ヌード&濡れ場を披露した映画『蘇る金狼』等で知られる女優さん。『正午なり』という'78年のATG映画では、デュークこと金田賢一さんとも濡れ場を演じておられます。

『太陽にほえろ!』は後に第291話、第322話にもゲスト出演。ほか、『七人の刑事』『明日の刑事』『Gメン'75』『特捜最前線』『非情のライセンス』『華麗なる刑事』『大空港』『鉄道公安官』『刑事物語'85』『私鉄沿線97分署』等々、2000年代に至るまで多数の刑事ドラマに出演されてます。
 
コメント (2)
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