ハリソン君の素晴らしいブログZ

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『太陽にほえろ!』#234

2019-08-02 00:00:16 | 刑事ドラマ'70年代






 
☆第234話『おさな子』(1977.1.14.OA/脚本=小川 英&高階秋成/監督=児玉 進)

山さん(露口 茂)の亡き妻=高子の母親であるキヨ(赤木春恵)が、隆(小椋基広)をしばらく引き取りたいと言って四国から上京して来ます。

子宝に恵まれなかった山村夫妻の養子である隆は、まだ言葉も喋れない幼児であり、多忙な山さんが独りで育てるには、確かに無理がある。けど、山さんは愛妻を失ったばかり。その忘れ形見とも言える隆まで手放すことには、さすがに躊躇し、葛藤します。

そんな折り、殺人事件が発生! 被害者は汚職の疑いがあった土木公団の業務課長で、凶器は当時「世界一強力な拳銃」と謳われたマグナム44!

並大抵じゃ扱えないマグナム拳銃を使いこなし、しかも車で走行中だった被害者を1発で仕留めた鮮やかな手口から、犯人は6年前に同様の事件を起こして国外逃亡した殺し屋=九条(松山省二)だと山さんは直感します。

その九条らしき男が、山さんの自宅を訪問して来ます。間一髪、熱を出した隆をキヨが病院へ連れて行き留守中だったもんで事なきを得たものの、どうやら九条は山さんの命まで狙ってる。

捜査の結果、今回の事件は6年前の事件と繋がっており、同じ黒幕が財界の大物たちを抹殺するため再び九条を雇い、彼をよく知る山さんをも消そうとしてる事が判って来ます。

その魔の手は隆が入院中の病院にまで及びますが、それを敵の陽動作戦だと見抜いた山さんは先回りし、次のターゲットを狙いに現れた九条をみごと逮捕するのでした。

「山村さん、俺1人捕まえたって何にもなりゃしねえよ。1人1人の人間なんてどうせ商売の道具でしかないんだ。もっと大っぴらに、命の取引をする時代がきっと来るぜ」

「そうはさせんよ。お前の言うその時代は、俺の子供が育っていく時代なんでな」

大っぴらに命の取引をするような時代っていうのが、具体的にどういう時代なのかピンと来ないんだけど、例えば過激なテロ集団がインターネットで人質の処刑を公開する、そんな時代を予言したんだとすれば鋭いですよね。

少なくとも、子供が育っていくにはキツい時代、とても不安な時代になっちゃった事だけは確かです。

それはともかくとして、今回は実にヤバかった。もしキヨが上京してなかったら、隆が人質にされてたかも知れないし、それ以前に発熱への対処が遅れて、取り返しのつかない事になった可能性も……

ついに山さんは、断腸の思いで隆を手放し、キヨに預ける決意を固めます。

凄腕の殺し屋と対決し、勝利するクールな刑事マシーンの山さんと、旅立つ息子を涙を堪えながら見送る、ごく普通の父親としての山さん。今回はその両面が堪能出来る、山さんファンにはたまらんエピソードと言えましょう。

また、44マグナムが『太陽にほえろ!』の世界に初めて登場した回としても、非常に印象深いです。

七曲署の射撃訓練場でボン(宮内 淳)がマグナムを試射し、その反動で後ろの壁に叩きつけられるというw、いくら何でもな描写が「マグナムって凄え!」って、当時小学生だった私やクラスメート達に絶大なインパクトを与え、翌朝の教室で話題沸騰になった懐かしい思い出もあります。

更に、容疑者を追い詰めたスコッチ(沖 雅也)が素早く拳銃を抜いて撃つ、一連の動作をスローモーションで捉えたスタイリッシュな場面にも魅了され、ボクらはみんな真似しましたよホントに。

半ば山村家のお手伝いさんみたいになってるアッコ(木村理恵)も大活躍するし、ラストシーンでは山さんのコミカルな芝居まで見られ、ほんと見所満載のエピソード。

↑ 一番下の画像がそのシーンで、隆を乗せたタクシーを見送った後、哺乳瓶を持ったままだった事に気づいた山さんが「たっ、隆ぃーっ!!」って叫んでる図です。決して、山さんがボス(石原裕次郎)にミルクを飲ませようとしてる図ではありませんw

キヨに扮した赤木春恵さんは当時52歳。娘=山村高子役の町田祥子さんが当時38歳ですから、実年齢からすると若すぎるワケだけど、さすが貫禄の演技で違和感を感じさせません。

松竹のニューフェイスとしてデビューされたのが1940年で、この時すでに芸歴37年! 3年後に『太陽にほえろ!』の天敵となる『3年B組金八先生』シリーズで桜中学の校長を演じ、全国的にその名を知られる事になります。

脇役一筋で映画や舞台でも息長く活躍され、2013年、森崎東監督の『ペコロスの母に会いにいく』にて「世界最高齢(88歳)による映画初主演」を果たし、ギネス認定もされてます。(それ以前の記録保持者は、ジーパン刑事のおふくろ=菅井きんさん!)

殺人犯だけは絶対に演じたくない!との事で刑事ドラマのゲスト出演は極端に少なく、『太陽~』の他は『Gメン'75』ぐらい。そういう意味でもこれは貴重な作品です。
 
コメント
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