ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『誇りの報酬』#18

2019-01-16 12:00:06 | 刑事ドラマ'80年代









 
☆第18話『真昼の挑戦者』

(1986.2.9.OA/脚本=大原 豊/監督=西村 潔)

萩原刑事(根津甚八)はある夜、若い女性が暴漢に襲われてる現場に遭遇し、自慢のボクシングで暴漢を撃退し、女性を救います。

後日、お礼を言いに警視庁を訪れたその女性=由紀子(園みどり)が有名な国会議員の娘だと知って、出世欲の強い田沼課長(柳生 博)は大喜び。その美しさに芹沢刑事(中村雅俊)も鼻の下を伸ばします。

そして数日後、萩原の住むマンションの近くで若いOLの絞殺死体が発見されます。その首に残ったロープの痕跡から、犯人は腕っぷしの強い左利きの男と推定され、芹沢&萩原は所轄署と連携して捜査を開始します。

所轄署の刑事(鶴田 忍)と組んだ芹沢は被害者の交遊関係を調べ、彼女と別れ話がこじれて口論していた恋人=落合を重要参考人として引っ張りますが、本人は犯行を否定。物的証拠もなく釈放された翌日に、落合は絞殺死体となって発見されます。どうやらOL殺しと同一犯の仕業らしい……

萩原は、刑務所を仮釈放になったばかりの前科者=佐川(阿藤 快、当時のクレジットは阿藤 海)に眼をつけます。

佐川は5年前に似たような手口による殺人を犯し、当時は所轄の刑事だった萩原に逮捕された、左利きの男。殺されたOLとも落合とも接点は無いものの、殺したのは佐川だと萩原は直感したのでした。

でも、動機が見当たらない。萩原はなぜ、佐川が犯人だと決めつけるのか? 彼を徹底マークして挑発する萩原に、芹沢が疑問をぶつけます。

「佐川がお前を恨んでるんだったら、お前を狙う筈じゃないのか?」

「ヤツは俺に挑戦してるんだ。5年前と同じ手口で、もう一度パクってみろってな。そう思えば辻褄が合う」

そんな動機で殺されたんじゃ被害者はたまったもんじゃないけど、萩原の勘は当たってました。彼が国会議員の娘を暴漢から救ったことを報道で知った佐川は、由紀子を拉致監禁し、ロープで絞め殺そうとします。

父親から由紀子が行方不明になったことを聞いた萩原&芹沢は、佐川が使ってる車を緊急手配し、すんでのところで監禁場所を見つけ、彼女を救出します。

「手を出すなよ」

加勢しようとする芹沢を制止し、萩原は佐川と1対1の殴り合いを始めるのでした。

こういう西部劇チックな展開、私は大好物です。昨今の刑事ドラマじゃすっかり見られなくなった、男どうしのタイマン勝負。どうせ刑事が勝つと分かっててもシビれます。敵が阿藤快さんみたいな大男、しかも反則技を使いまくるド外道と来れば、なお一層盛り上がります。最高!

もちろん、萩原はボロボロになりながらも最後には勝利し、佐川に手錠を掛けます。そして父親の胸で震える由紀子に「大丈夫ですか?」と声を掛けるのですが……

「やめてくれっ! あっ、いや……やめて下さい。もう、沢山です」

萩原を拒絶した父親は、そそくさと由紀子を連れて帰るのでした。

「萩原……」

「いいんだ、何も言うな」

暴漢から救ってもらった恩はあっても、萩原と関わったばかりに由紀子は見知らぬ人間に殺されそうになった。父親が拒絶する気持ちもよく解ります。

こういうほろ苦い結末も、昭和刑事ドラマの魅力ですよね。だけど残念だったのは、エンディング主題歌に乗せて映像だけで語られるエピローグの中に、由紀子を見舞いに行った萩原を、笑顔で迎えた父親が頭を下げる描写があるんですよね。たぶん「先日はつい……すみませんでした」みたいなことを言ってる。

そんなフォロー、無い方が良かったと私は思います。ほろ苦いまま終わった方が、余韻が残って良いですよ。「挫折の美学」がモットーだった『俺たちの勲章』なら絶対そうした筈です。

このへんが'80年代なんですよね。明るく楽しく、なんでもかんでもハッピーにまとめちゃう軽薄な時代。そこに美学はありません。

とは言え、それを差し引いても見応えあるエピソードでした。以前レビューした第3話といい、刑事VS凶悪犯の対決ドラマは燃えます。『あぶない刑事』にもありましたよね。

そういうのがパタッと無くなっちゃうのは『踊る大捜査線』以降でしょうか? 刑事ドラマもすっかり女性客に媚びるようになり、命懸けのタイマン勝負なんていう野蛮な、頭の悪そうな描写は避けられるようになっちゃった。今はただ、ひたすら突っ立って謎解きするばかり。つまらん。まったくつまらん。まぁ、そういうのが似合う役者もいなくなっちゃいましたからね。破滅です。

由紀子に扮した園みどりさんは、当時23歳。'83年の映画『刑事物語2/りんごの詩』のヒロイン役でデビュー、その翌年に『太陽にほえろ!』のボギー刑事(世良公則)殉職編にもゲスト出演され、私にとっては忘れられない女優さんとなりました。

なのに、現在『警視庁捜査一課長』にレギュラー出演されてる未來貴子さんが、園みどりさんと同一人物であることを、私はつい最近ムーミンさんに教わるまで知りませんでしたm(__)m

いい女優さんなのに見かけなくなったなあって思ってたら、'87年あたりに改名され、ずっと第一線で活躍されてたんですね。私の眼は節穴ですm(__)m

ヌード写真はデビュー当時、21歳頃のものと思われます。素晴らしい!
 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『誇りの報酬』#16

2019-01-16 00:00:05 | 刑事ドラマ'80年代









 
番組も1クールを経過し、オープニングのテーマ曲がバラード調からアップテンポ・バージョンに替わり、タイトルバックの映像も一部差し替えられ、よりアクティブさが強調されるようになりました。

確かに、バラード調の曲はメリハリが無くフワッとしてて、あの時代の空気、番組のカラーにも合ってない気がしてました。新バージョンの方が断然グッドです。

これらの変更によって『俺たちの勲章』の続編というイメージから離れ、'80年代ならではのポップなバディ・アクション刑事ドラマ、すなわち『あぶない刑事』前身としての『誇りの報酬』独自の世界観が確立されたように思います。

ちなみに音楽担当はタケカワユキヒデ&浅野孝己、音楽プロデューサーはジョニー野村という布陣。エンディング主題歌『日付変更線』を唄うのはもちろん、主演の中村雅俊さん。

なおオープニング変更に伴い、喫茶店「バルビゾン」のウエイトレス役も堀江しのぶさんから知らない女優さんに代わりました。本筋に関わらないチョイ役で毎週出演するには、堀江さんはちょっとメジャー過ぎたのかも知れません。ぼいぃぃ~ん!


☆第16話『三河湾に哀歌をきいた』

(1986.1.26.OA/脚本=長野 洋/監督=木下 亮)

新橋のサラ金に二人組の強盗が侵入、金庫の現金を強奪しようとするも途中で発見され、警備員の一人に重傷を負わせて逃走します。

その犯人たちはすぐに捕まるんだけど、金庫にあった現金500万円が行方不明。犯人は二人とも、奪う前に見つかったから「俺たちは盗ってない」と主張。

で、同じ現場にいながら負傷しなかった若い警備員=野口(安藤一夫)がネコババしたと睨んだ芹沢(中村雅俊)&萩原(根津甚八)は、彼をマークしますが取り逃がし、潜伏先と見られる愛知県の蒲郡(野口の生まれ故郷)へと飛びます。

野口は同じ蒲郡出身の婚約者=恵子(甲斐智枝美)に「蒲郡で会いたい」と連絡を入れており、彼を自首させたい恵子は芹沢たちと同行するのでした。

後はもう、三河湾の観光名所を巡る逃走&追跡劇が繰り広げられ、野口の口を封じたい黒幕(立川貴司)も絡んで吸った揉んだした挙げ句、もちろん最終的には野口も黒幕も逮捕され一件落着。地方ロケ編ってのは得てしてこんなもん、それ以上でも以下でもない、ってな内容でした。

ただ、最後に芹沢が野口を説得するときの台詞は良かったです。

「これ以上逃げ回ってどうするんだ? 刑務所に入るのがそんなに怖いのか? お前はまだいい。世間と隔離されて生きていけるんだからな。だが彼女は違うぞ! 彼女はこれから先、世間の冷たい眼を浴びながら生きていかなくちゃいけないんだ! 彼女こそこれから先どうやって生きていったらいいんだっ!?」

それと、地元の新米刑事役で登場した若い俳優さん。無名にしちゃヤケに演技が上手いなぁと思ったら、今やチョー売れっ子バイプレーヤーの光石 研さんなんですね。クレジットを見るまで全然判りませんでした。

ストーリーとしては凡作だけど、光石さんの好演と甲斐智枝美さんの熱演に救われました。キャスティングの勝利かと思います。

ヌード画像はもちろん甲斐智枝美さん、当時22歳。『スター誕生!』が生んだアイドル歌手で、本作と同じ'86年に『太陽にほえろ!PART2』第2話にもゲスト出演されてます。

本作でのしっとりとしたOL役とは対照的に、『太陽~』ではキャピキャピした女子大生の役。どちらも違和感なく魅力的に演じておられて、女優さんとしての才能を感じます。が、'90年の結婚を機に引退され、2006年に自ら命を絶たれてしまいました。合掌。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする