ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『五番目の刑事』#01

2019-01-14 00:00:13 | 刑事ドラマ'60年代









 
1969年10月から'70年3月まで、NET (現テレビ朝日) 系列の木曜夜8時枠で全25話が放映された刑事ドラマ。傑作選DVDがリリースされたので、第1巻を借りて観ました。

東京「東新宿署」に勤める5人の刑事たち(部署は不明)の活躍、とりわけ最若手の原田刑事=原田芳雄さんをフィーチャーしたアクションドラマで、NET&東映の制作ながら、まるで『太陽にほえろ!』のプロトタイプとも思える内容です。

ジーンズスタイルでジープを乗り回す原田刑事のキャラクターは当時の常識を覆すもので、明らかに『太陽~』のマカロニ(萩原健一)やジーパン(松田優作)に影響を与えてます。

ただし最若手と言っても新米刑事ではなく、先輩たちから一目置かれる切れ者として描かれ、例えばこの第1話ではバイクで暴走族とドッグレースして余裕で勝っちゃうようなスーパーマン。

ショーケンさんや優作さんが『太陽~』で演じるキャラクターにやたら不満を抱いておられたのは、先にこの『五番目の刑事』を観ちゃったからかも知れません。原田芳雄さんに憧れ、刑事を演じるならあんな風に演じたいと思ってたのに、与えられた役は言わば青二才の半人前キャラで、思惑が狂っちゃった。多分そんなところじゃないでしょうか。

それくらい、とにかく原田さんがめちゃくちゃカッコいい。あの自然体の演技が当時いかに斬新だったか、共演の俳優さんたちの演技と比べるとよく判ります。

演じるキャラクターも大人なら、演技のスタイルも大人なんですよね。ほかの俳優さんたちがステレオタイプな「いかにも善人」をいかにもカッコつけて演じておられるのが、すごく幼稚で滑稽に見えちゃう。鋭い感性を持つショーケンさんや優作さんは、自分もそんな風に見られるのがイヤでイヤで仕方なかったんでしょう。

とは言え原田さんも当時はまだお若いですから、後年に比べると(当たり前だけど)まだ硬かったり、古いスタイルの演技も少し混ざってて、それが今観るとまた新鮮だったりします。

原田さん以外の要素に眼を向けると、やたらナイトシーンが多いことに違和感を覚えるけど、当時はそれが普通だったんですよね。犯罪を扱うドラマをデイシーン(昼間のロケ)中心に描くようになったのは『太陽にほえろ!』あるいは『刑事くん』あたりが先駆けみたいです。

それはともかく、初期『太陽にほえろ!』を観ても常に感じる事だけど、昭和40年代の風景がとても懐かしいです。50年代に入るとそれほど現在とのギャップは感じないので、この時期にかなり町並みが変化してるんでしょうね。それを観てるだけでも味わい深く、面白いです。

第1話『真昼のアスファルト』(1969.10.2.OA/脚本=池田一朗/監督=石川義寛)は、同じ孤児院で育った友人が麻薬組織に利用された挙げ句に殺され、原田刑事がリベンジに燃えるというハードな内容で、組織に飼われる暴走族に潜入捜査したり、バイクチェイスあり銃撃戦ありと、後発の『太陽にほえろ!』第1話よりもアグレッシブで驚きました。

刑事たちが使う拳銃はコルト・デテクティブスペシャルっぽいリボルバーで、恐らく法規制される前の金属製モデルガン。現在の日本じゃ黄色に塗らないと所有できない代物で、ガンマニアとしても大いに見所アリです。

東新宿署の刑事を演じるのは原田さんのほか、中村竹弥、常田富士男、桑山正一、工藤堅太郎、第12話から殿山泰司と、渋い(悪く言えば地味)にも程があるメンツ。

そして初回ゲストが左とん平、左ト全、今井健二、高木 均、上野山功一、神田 隆etc…と、後の刑事ドラマでも活躍される脇役オールスターズ。

音楽は『マジンガーZ』等を手掛けたヒーロー音楽の巨匠・渡辺宙明!(本作のBGMは後に『人造人間キカイダー』等の東映特撮番組に流用されてます)

クオリティーは高く、古臭さも感じさせない見事な作品です。原田芳雄さんの刑事役を連ドラで観られること自体がレアだし、前述の通り『太陽にほえろ!』プロトタイプとしても必見です。
 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする