ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『探検隊の栄光』

2019-01-06 12:06:48 | 日本映画









 
2015年公開の山本透監督による日本映画。WOWOWで観ました。あの懐かしのテレビ番組「水曜スペシャル」における名物シリーズ『川口浩探検隊』をネタにした、荒木源さんの小説が原作になってます。

『川口浩探検隊シリーズ』とは、主にツチノコとか雪男とか、いわゆるUMA(未確認生物)を求めて秘境を探検する番組なんだけど、毎回ヘビや毒グモに襲われる隊員たちのリアクションがとてもクサかったりw、最後にチラッとだけ映るUMAがどう見ても着ぐるみだったり等w、要するにヤラセなのがバレバレなのに、当人たちは極めて真剣にやってる様がマニアックな笑いを誘い、数々のパロディーや『藤岡弘探検隊シリーズ』等の後継番組も生んだ伝説のフェイク・ドキュメンタリー。

私自身も高校時代にラジオドラマでこの番組をパロディー化し、それを更にアクション映画に発展させたコメディーを8mmフィルムで自主製作、それがプロデビューに繋がった経緯があるもんで、刑事ドラマとはまた違った意味で思い入れの深い番組だったりします。

この『探検隊の栄光』は、藤原竜也扮する落ち目の俳優が初めて探検隊の隊長を務め、番組の趣旨をよく理解しないままハリボテのワニと格闘させられたりするナンセンス・コメディー。『HK/変態仮面』を凌駕するほどのバカ作品ですw

東宝さんがよくこんな企画にGOサインを出しましたね!w しかも、なぜ今さら?w もう若い人らは水曜スペシャルなんか知らないでしょうに。

藤原竜也隊長を筆頭に、ユースケ・サンタマリア(プロデューサー)、小澤征悦(ディレクター)、田中要次(カメラマン)、川村陽介(音声マン)、そして佐野ひなこ(AD)と、無駄に豪華キャストだし。皆さん、よく出演されましたね!w

川口探検隊をよく知ってて、バカ作品も大好きな私は大いに楽しめたけど、そうじゃない観客はどう受け止めれば良いやら困惑された事でしょうw

一応、ドラマはあります。最初は困惑するばかりだった藤原隊長が、ヤラセであろうが命懸けで取り組むスタッフたちに感化され、誇りを持つようにまでなったり、秘境で遭遇した過激派ゲリラと友情を育んだり。

けど、この映画自体がバラエティー番組寄りの創り方をしており、ユースケさんは終始フザケてるしw、命懸けな感じが全然しないもんで説得力がありません。そのへんはもうちょい丁寧に描くべきだったかも知れません。

けど、この話をしっかり端正に創ったとしても、観客には笑いどころが判らないかも知れず、そのサジ加減はかなり微妙で、つくづくコメディーを創るのは難しい。これくらいテキトーな作りでちょうど良いのかも知れません。

いずれにせよ、2時間近く引っ張れる内容じゃありませんからw、30分枠の深夜ドラマでやった方が良かったんじゃないかと私は思います。そしたら伝説の番組になったかも?

そんなワケで、皆さんには自信を持ってオススメ出来ませんw が、私みたいに川口浩探検隊シリーズやバカ映画に愛を持てる方ならきっと楽しめると、思わなくもありませんw
 
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『ジャッジ!』

2019-01-06 00:00:13 | 日本映画









 
2014年の正月に公開された日本映画です。

とある広告代理店の冴えないCMプランナー(妻夫木聡)が会社命令で海外の広告祭(CMコンペティション)に審査員として出席する事になるんだけど、その裏には秘密のミッションがある。

それは、お得意先企業のドラ息子が創った、どう見ても駄作なCMにグランプリを穫らせること。本来、審査員を務めるのは上司の豊川悦司さんなのに、お人好しな妻夫木くんに「断ればクビ(乳首)」って押し付けちゃったワケです。

もしグランプリを穫らせる事が出来なければ、会社は一番の得意先を失って大損害を被っちゃう。だから「失敗したらクビ(乳首)」って事で、妻夫木くんに逃げ場は無い。さぁ、どうする?

……とまぁ、序盤の展開だけ観たら凡庸なドタバタ喜劇なんだけど、ここからが素晴らしい。

実際に妻夫木くんが広告祭に参加してみたら、そこは当たり前のように買収がはびこる出来レースの温床だった。それはつまり、上手に立ち回りさえすれば、駄作CMにグランプリを穫らせる事も充分可能なワケです。

だけど、妻夫木くんにはそれが出来ない。自分が駄作だと思ってるCMに賞を穫らせる気には、どうしてもなれないんです。才能には乏しいけど、彼は根っからのクリエーターなんですね。自分のクビが懸かってるというのに……

そんな妻夫木くんに感化されて、出来レースに浸りきってた周りの審査員たちも、クリエーターの心を取り戻して行きます。私は泣いちゃいました。

現実のCMコンペはあそこまで酷くないだろうとは思うけど、お金とコネを持つ者が有利になる傾向は、少なからずあるんじゃないでしょうか? そしてそれは、映像や広告の業界に限らず、あらゆるジャンルに通ずる事かも知れません。

私自身、ほんの短い間ながら映像業界に身を置いた過去があり、あの世界で生き残るにはクリエーターとしての才能よりも、世渡りの才能の方がよっぽど必要である事を思い知らされました。

だけど、偉い人達に自分の顔を売ったりゴマを摺ったりする事が、私にはどうしても出来ませんでした。インディーズ時代に参加した映像コンペでも、他の応募者たちがせっせと組織票を集めてるのを横目で見ながら、そんな事して賞を貰っても意味が無いし、虚しいだけだと思って何もしませんでした。

本気で上を目指すなら、そんなちっぽけなプライドは捨てて、アンフェアな事でも何でもやるべきなんです。だけど私は結局、自分を捨てられなかった。負け犬です。ヘタレです。乳首です。足の裏です。だから、この映画の妻夫木くんには思いっきり感情移入できました。

現実には、あんなバカ正直な人間が周りを変えて行く事なんて、まずあり得ないだろうと思います。だからこそ、せめて映画の中だけでも夢を見たいじゃないですか。正直者がバカを見る事なく、ちゃんと報われる世界を。ちゃんと正義が勝つ世界を。

良かったです。面白かったです。めっちゃ笑ってめっちゃ泣きました。押し付けがましくないハイセンスな演出で、確実に笑わせてくれる永井聡監督の演出。巧みに張り巡らせた伏線を、意外な形で見事に回収してくれる、澤本嘉光さんの脚本。

そしてキャスト陣も皆さん素晴らしかったです。妻夫木くんは勿論のこと、広告祭に彼と同行するツンデレキャリアガールの北川景子さん。これまでイマイチ魅力を感じなかった女優さんなのに、本作では光ってます。

胡散臭さバツグンの豊川悦司さんにリリー・フランキーさん、ほか(敬称略)鈴木京香、荒川良々、玉山鉄二、伊藤 歩、風間杜夫、でんでん、加瀬 亮、木村祐一、あがた森魚、柄本時生、竹中直人etc…と、素晴らしいキャストが揃ってます。

これは観て損なし、皆さんにもオススメします。特にクリエイティブな仕事や趣味をお持ちの方は必見です。是非!
 
コメント (2)
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