ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『HK/変態仮面』

2019-01-05 12:10:25 | 日本映画









 
2013年公開の日本映画。変態とは何ぞや?を考えさせられる作品です。例えば『サロメ』のレビュー記事で、ヘロデ王はいよいよ今から踏んでもらおうという時に、サロメが裸足になった事をたいそう喜んでました。

でも本当の変態ならば、それは逆なんですよね。ハイヒール等の出来るだけ尖った靴で踏んでもらう事こそが、変態にとっての至福なんです。痛ければ痛いほど、変態は喜ぶワケですよ!

この『HK/変態仮面』は少年ジャンプの漫画を映画化した作品ですから、そんなにエロくはありません。だけど、変態とは何ぞや?っていう極めて重要な命題を、真正面から真摯に描いてくれてます。

もちろんギャグ満載でフザケてるんだけど、テキトーに小ネタを散りばめたクドカン作品みたいに手を抜かず、笑いに対して真面目に取り組み、真剣にフザケてます。とことん振り切るまでフザケてます。私は、そんな作品が大好きです。

変態夫婦の間に生まれた主人公(鈴木亮平)は、弱いクセに正義感だけは人一倍強い『キック・アス』みたいな高校生で、ある日うっかりマスクと間違えて女性のパンティーを被った瞬間、両親から受け継いだ変態のDNAが覚醒し、無敵の変態仮面に変身します。

で、ヒーロー物のお約束として、大好きなガールフレンド(清水富美加)は変態仮面に惚れちゃうんだけど、主人公はその正体が自分である事を明かせない。なぜなら、自分が変態である事がバレてしまうからw

そこに、謎の学校荒らし組織が「まじめ仮面」や「さわやか仮面」といった刺客を次々に送り込んで来るんだけど、中でも最強の敵が「ニセ変態仮面」で、彼は主人公を軽く凌駕する、変態の中の変態なワケですw

この「ニセ変態仮面」を演じてるのが安田顕さん。変態仮面と同じコスチュームで自らの乳首を両手で擦りながら迫って来るド変態ぶりが凄まじいですw

主人公の母親にしてSMクラブの女王というキャラを演じる、片瀬那奈さんの弾けっぷりもまた素晴らしいです。吹っ切れてますw ひと皮剥けましたね!

ヒロインは『仮面ライダーフォーゼ』というバリバリの正統派ヒーロー番組で注目された、清純派の清水富美加さん。田畑智子さんを彷彿させるファニーフェイスで変態仮面の股間をうっとり見つめる様に、萌えますw

監督・脚本が『コドモ警察』『勇者ヨシヒコ』シリーズの福田雄一さんですから、笑いのセンスもバッチリです。(なぜか小栗旬くんが脚本協力としてクレジットされてますw)

まぁ、そこは好き嫌いが岐れる所でしょうけど、私はかなり笑わせて頂きました。なにげにアクション映画としても良く出来てます。

変態仮面を追い詰めたニセ変態仮面が、こんなことを言ってました。

「お前はパンティーの内側が自分の顔に密着するように被っているが、甘い! そんなのは本当の変態とは言えん! 本当の変態は、パンティーの外側にこそ興奮するのだ!」

つまり、局部の匂いを嗅ぎたくても嗅げない、そのもどかしさに興奮してこそ、本物の変態だというワケです。目からウロコが落ちましたw

究極の変態の、究極の変態ぶりに敗北を喫した変態仮面は、果たして立ち直る事が出来るのか? そして彼は、ガールフレンドに自分が変態である事を告白出来るのか?

気になって昼寝も出来ませんねw たぶん地上波じゃ放映されないでしょうからw、レンタルやCS放送を是非ともチェックして下さい!


PS. その後、清水富美加さんが電撃引退されて宗教団体の広告塔になろうとは、誰が予想できたでしょうか。ほんと世の中、何が起こるか分かりません。
 
 
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『キサラギ』

2019-01-05 00:00:05 | 日本映画









 
お正月って事で、気持ちよく笑える楽しい作品をオススメしたいのですが、そうなると真っ先に私の頭に浮かぶのは、この日本映画になります。佐藤祐市監督による2007年公開の作品です。

C級アイドル歌手・如月ミキのディープなファンである男5人が、インターネットで声を掛け合ってマンションの1室に集まります。メンバーは小栗 旬、小出恵介、ユースケ・サンタマリア、塚地武雅、そして香川照之。

とても豪華な顔ぶれですが、画面に出てくるのはほぼ、この5人だけ。しかも全編マンションの1室で展開するワンシチュエーション映画なんです。だから芸達者な俳優さんだけが選び抜かれたのでしょう。

もちろん5人それぞれに役名(ネット上のハンドルネーム)があるんだけど、それも1つ1つが笑えるネタになってますから、ここには書かないでおきます。

とにかく素晴らしいキャスティングです。特に、イケメンの小栗くんと小出くんがディープなアイドルオタクを演じる意外性。なのに全く違和感が無いという奇跡。私はこの2人が大好きになっちゃいました。

ユースケさんも塚地さんも、もちろん香川さんもそれぞれキャラが立ってて、適材適所で本当に素晴らしいです。2時間ずっと同じ部屋の中で語られる話なのに、一瞬たりともダレ場がありません。

で、この集まりはファンどうしの軽いオフ会かと思いきや、実は1年前に自殺したらしい如月ミキの、一周忌の会である事が明かされます。そこから、話はどんどん意外な方向へと展開していく。

如月ミキの死は、本当に自殺だったのか? ストーカー被害に悩んでたらしい彼女は、実は殺されたのではないか? もしかしたら、その犯人がこの5人の中に……!?

こう書くと、安っぽい犯人当てゲームみたいに感じちゃうかも知れません。でも、もしそうならこのブログで紹介はしません。いつも書いてるように、単なる謎解きゲームの映画やドラマに私は興味が無いんです。

如月ミキの死の真相を探って行く中で、集まった5人が皆それぞれ、単なるファンではなかった事が判明して、それがいちいち笑えると同時に、泣ける要素にもなって行くんですよね。

その理由を書くとネタバレになっちゃうんで、これ以上は書けませんm(_ _)m とにかく全編どんでん返しの連続で、その1つ1つにただ驚くだけじゃなくて、笑って泣けるエモーショナルな仕掛けが隠されてるワケです。

ありていに言えば、色んな形の愛が描かれてる。綺麗事じゃない、とても不器用で純粋な愛。それはアイドルオタク5人から如月ミキへの愛でもあり、如月ミキからファンへの愛でもあって……

彼女の死によって何やら重い十字架を背負っちゃった5人の冴えない男たちが、真相を知る事によって救われて行く、復活のドラマになってるんですよね。だから単なるアトラクション映画と違ってちゃんと胸に響いてくる。

先の展開が全く読めないし、全ての登場人物に裏の顔がある(つまり多面的に描かれてる)。そこには単純な善も悪もないし、答えは決して1つじゃない。

そういう作品を、近年の連ドラでも観た気がしますよね。そう、この映画は『リーガルハイ』『鈴木先生』の脚本家=古沢良太さんのオリジナル脚本を映像化した作品なのです。だから笑いのセンスはピカイチだし、密室で二転三転する推理劇は『リーガルハイ』の法廷シーンや『鈴木先生』の学級会シーンを彷彿させます。

最初にこの映画を観た時、私が唯一不満に感じたのはラストシーンです。いきなり宍戸錠さんが出て来て、せっかく解決した謎をまた蒸し返す発言をして、思わせぶりに幕を閉じちゃうんですよね。まさか続編を創るつもりでもなかろうに、なんでわざわざ話を振り出しに戻しちゃうのか、意図不明で完全なる「蛇足」としかその時は思えませんでした。

だけど『リーガルハイ』や『鈴木先生』を観てから、ちょっと解釈が違って来ました。たぶん古沢さんの事だから、1つの答えで丸く収まっちゃうのが嫌だったんじゃないでしょうか?

世の中、単純に白か黒かで割り切れる事なんか1つも無い。何事も見る角度によって感じ方が変わるんだから、答えは十人十色でなくちゃ不自然だって事を、古沢さんは『リーガルハイ』でも『鈴木先生』でも一貫して、しつこい位に主張されて来ましたから。

『キサラギ』も本来なら、もっともっと複雑で割り切れない話にしたかったのかも知れません。すっきりハートフルに終わらせたい製作側との折衝の末に、妥協案としてあのラストシーンを書かれたのかも?

……以上、今回のレビューは作品を観てない方には何がなんだか分かんない事と思いますがw、先に分かっちゃうとせっかくの面白さが半減しますから、私としても書きたいのをぐっと堪えました。

とにかく観て下さい。絶対に損はしません。どんでん返しうんぬんは置いといても、B級以下のアイドルを一途に愛するオッサン達のw、懸命な姿を見てるだけで癒されますから。

そして心の底から笑って、条件反射じゃない本物の涙を流して頂ければ幸いです。


PS. その後、小出恵介くんが「やらかし」ちゃったので、少なくとも地上波のテレビじゃ放映できない作品になったかも知れません。いい役者さんだったのに、ホント残念なことです。
 
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