ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『太陽にほえろ!』#703

2019-01-11 11:11:24 | 刑事ドラマ'80年代






 
☆第703話『加奈子』(1986.7.18.OA/脚本=古内一成/監督=高瀬昌弘)

建設中のビルから宮田(山本紀彦)というビジネスマンが転落死します。その時、宮田と一緒にいた加奈子(竹井みどり)というOLは、彼の恋人=ひとみ(佐藤恵利)のルームメート。

以前ひとみに紹介されて面識のあった宮田が、街でたまたま加奈子を見掛け、車で送ってくれる途中で夜景を見るためビルに上り、悪ふざけしてる内に誤って転落したという加奈子の証言に、ダサいマイコン(石原良純=笑)はあっさり納得しますが、ダサくないデューク(金田賢一)は違和感を覚えます。

後日、事故現場における検証を行い、デュークは加奈子の証言の細かい矛盾点を次々指摘し、彼女の反応、特に目線の動きを観察します。

最初にデュークは「緊張をほぐす為に」と言って出身校の校歌を唄わせ、加奈子が記憶を掘り起こす際の目線の動き、その癖を確認した上で、事故に関する質問に入りました。

人は嘘をつく時、通常とは逆方向に目線が動く傾向があり、それを観察すれば証人がどの質問に対して嘘をついてるかが判別出来る。そういう心理学を応用した尋問法は今でこそポピュラーだけど、当時はほとんど知られてなかった筈で、やっぱりデュークはマイコンと違って優秀です。

結果、加奈子の証言に複数の嘘があることを確信したデュークは、彼女と宮田の周辺を徹底的に捜査し、事故当夜、実は加奈子が宮田を呼び出して喫茶店で会っていた事実を突き止めます。

加奈子は、ルームメートであり無二の親友でもあるひとみが、過去に何度も男に騙されて来たもんだから、くれぐれも大切にしてやって欲しいとお願いする為に、宮田を呼び出した。それを警察に隠してたのは、ひとみに知られたくなかったから、と証言を新たにします。

「分かります。いくら親友でも、そういうことを言われたと知れば傷つくに決まってますからね」

そんなダサいことを言うのは勿論マイコンで、ダサくないデュークは全然納得しません。

「彼女はまだ2つ嘘をついている。1つはホトケを呼び出した理由。そしてもう1つは、ホトケが落ちた状況だ」

これはまるで、山さん(露口 茂)が言いそうな台詞です。しかし既にこの時、山さんは殉職して七曲署に存在しません。

当初はスコッチ(沖 雅也)、ジプシー(三田村邦彦)に次ぐ「クールでハードな一匹狼」キャラとして登場したデュークが、名探偵ホームズや刑事コロンボを彷彿させる理論派の謎解き刑事、つまり山さんの路線を引き継ぐキャラクターにシフトチェンジしてるのが、このエピソードを見るとよく分かります。

しかもこの時期、ボス=石原裕次郎さんも病気療養のため長期欠席中なんですよね! ボスも山さんもいない上、マイコン以外のメンバー=ドック(神田正輝)、マミー(長谷直美)、ブルース(又野誠治)、トシさん(地井武男)も別の事件を捜査中で、本筋にほとんど絡んで来ない。

だから今回はほぼデュークの一人舞台で、描かれる事故(事件?)の内容といい、まるで『相棒』を観てるような錯覚に陥ります。それがかえって新鮮とも言えますが、久々に観るとあまりに刑事部屋が広く見えて、めちゃくちゃ寂しいです。

ピンチヒッターとして署長(草薙幸二郎)が指揮を執ったりしてるのがまた、余計に『太陽』らしさを損ねてる感じで、ホントまるで別の番組を観てるようです。

まぁそれはともかくとして、デュークの飽くなき追究により、やがて真相が明かされます。

親友のひとみを傷つけたくないっていう、加奈子の気持ちは本物だった。けど、そうやって他者のことばかり気遣う優しさと生真面目さが、加奈子自身の心を疲弊させていた。

で、1年ほど前に加奈子は「別人になりたい」と思い詰め、一度だけ派手めのメイクをしてホテルのバーに出掛けた。その時にちょっとしたイケメンからナンパされ、一夜限りの関係を結んだものの、何ら心が満たされることはなく、残ったのは後悔だけ。

そして数ヶ月後、ひとみが新しい彼氏として連れて来たのが、その一夜限りの関係を結んだナンパ男=宮田だったから驚いた! あんな最低ナンパちんぽこ豚野郎と付き合ったら、またひとみが傷つく事になってしまう!

そう、加奈子が宮田を呼び出した本当の目的は、ひとみと別れさせることだった。で、宮田はそれを了承しながらも「その代わり一発やらせて!」と迫り、逃げる加奈子を捕まえようとして足を滑らせ、ビルから転落した。ほんと、これはまるで『相棒』みたいなお話です。

「出来ればこんなこと、ひとみには知られたくなかった……」

「知ることは無いでしょう。いつか、彼女にも恋人が出来ます。勿論あなたにも。その時もう一度、彼女と会ってごらんなさい。きっとまたいい友達に戻れますよ」

刑事として冷徹に真実を追及しながら、人間としては加奈子の気持ちを尊重し、真実は闇に葬ることを決めたデューク。到底マイコンには出来ない芸当です。理由は、ダサいからです。

「結局、新しい事実は何も出なかったのか? ご大層なことを言いおって」

さんざん捜査を長引かせておいて、当初の見立て通り単なる事故死かよ!?とご立腹の署長に背を向け、独り歩き去るデューク。それがラストシーン。ここで本来なら、ボスがねぎらってくれるんですよね。やっぱ寂しいです。めちゃめちゃ寂しい。

だけど、殿下(小野寺 昭)みたいなルックスをした山さん、とでも言うべき新しいデューク刑事像は確立しつつあり、なのにその完成を待たずして番組終了が決定、しかも最終回直前に降板という顛末は、かえすがえすも残念でした。

アクションは駄目だったけど、山さんのキャラを受け継ぐなら問題無いし、台詞回しにやや難はあったけど、それも場数を踏めば向上していった筈。もうちょっとデュークの活躍を見たかったですね。

ヒロイン=加奈子を演じた竹井みどりさんは、当時27歳。女優デビューは16歳で、特撮ヒーロー物から日活ロマンポルノまで幅広く活躍。

刑事ドラマでは『熱中時代/刑事編』のレギュラー(潮田めぐみ役)が印象的ですが、他にも『非情のライセンス』『夜明けの刑事』『西部警察』『鉄道公安官』『警視庁殺人課』『噂の刑事トミーとマツ』『私鉄沿線97分署』『スーパーポリス』『あぶない刑事』『あいつがトラブル』『刑事貴族』等々、ゲスト出演多数。

中でも『太陽にほえろ!』は3回、『特捜最前線』は6回、『Gメン'75』に至っては9回と、まさに引っ張りだこ。刑事ドラマのミューズですよね。
 

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『太陽にほえろ!』1985~1986

2019-01-11 00:00:04 | 刑事ドラマ HISTORY









 
#660 デューク刑事登場!

何だかんだ言ってる内に、いよいよラストイヤーが近づいて来ました。それが分かってるから言うワケじゃないけど、ボギー殉職から徐々に『太陽にほえろ!』の勢いが衰えてるような実感が、当時もありました。

ボギー=世良公則からマイコン=石原良純へ、そしてラガー=渡辺徹からデューク=金田賢一へ……

私の言いたい事は分かって頂けるかと思います。私はマイコンもデュークも愛してるし、良純さんも賢一さんも好きだけど、やっぱり「華」の要素で劣っちゃう感じは否めません。

デューク刑事=島津公一は、スコッチ(沖 雅也)からジプシー(三田村邦彦)へと受け継がれた、クール路線の新たな継承者です。

スコッチは事件絡みのトラウマから、ジプシーは貧しく暗い生い立ちから孤独を背負ってましたが、デュークの場合は資産家に育ったがゆえの人間不信。孤独の種類も時代と共に変化してますね。

だから、根っこの部分では情に熱いスコッチやジプシーみたいに、分厚い壁がボス(石原裕次郎)や一係メンバー達によって崩されて行くようなストーリー性は無くて、デュークはデュークのまま、最後まで孤高な存在であり続けました。それがかえって新鮮で、私は良かったと思ってます。

デュークだけは最後まで、仲間をニックネームで呼ばなかったですからね。「西條さん(ドック)」とか「水木くん(マイコン)」、ボスの事は「係長」ってw、最後まで通してました。それが何だかハードボイルドな感じで、格好良かったです。

そんなデュークが七曲署に在籍した1年間は、熱血型のキャラがブルース(又野誠治)しかいないせいもあって、やけに落ち着いた『太陽にほえろ!』になってました。『太陽』らしくないとも言えるけど、私はこの時期の雰囲気もけっこう好きだったりします。

ただ一つ不満だったのは、デュークもアクションがいまいち不格好だったんですよねぇ… ダサいとまでは言わないけどw プロ野球選手の息子さんだから期待してたのに、動きが鈍重でスコッチみたいなシャープさが無い。クールなキャラとアンバランスなんです。

だから、デュークとマイコンがコンビで銃撃戦や立ち回りを演じる場面は、観ててツラかったです。鈍いデュークと、ダサいマイコン。アイタタタ……でしたねw お2人とも柄だけは大きいのに。賢一さんも良純さんも、やっぱお坊っちゃまですよ。育ちが良すぎるのも考えもんです。

結果的に、アクティブな要素はブルースがほとんど1人で背負って行く事になり、撮影に対する法規制がどんどん厳しくなるのと相まって、『太陽』から再びアクションシーンが激減する事になります。それも番組の「衰え」を感じさせた要因の1つですね。


#661 マミーが怒った

地方へ逃げた傷害容疑者の女(熊谷真美)が自首を決意したのを知って、彼女に極秘書類の運搬を依頼するエリート検事(西沢利明)。

彼女を東京へと護送するマミー(長谷直美)&マイコンの一行を、執拗に襲撃する謎の組織。果たして検事の狙いは一体何なのか? よりによってマイコンが相棒で、マミーは彼女を守りきれるのか?

ちょっとおバカでお人好しな女を熊谷真美さんが好演。そんな彼女を冷酷に利用するエリート検事に、マミーの必殺ビンタが炸裂します。七曲署史上、怒らせると最も怖い刑事がマミーなのですw

ちなみに、男前キャラの長谷さんとネアカな良純さんはとてもウマが合うらしく、プライベートでもよく一緒に遊んでおられたんだそうです。


#664 マイコンがトシさんを撃った!

銃を持った犯人を倉庫内に追い詰めたトシさん(地井武男)とマイコン。ところが事もあろうに、暗闇の中でビビりまくったマイコンが、うっかりトシさんを誤射しちゃう! こりゃ「ダサい」で済ませられる話じゃありません。

同僚に瀕死の重傷を負わせ、茫然自失となったマイコンを、山さん(露口 茂)がシャワールームに連れ込み、文字通り冷や水を浴びせて、叱咤します。

「お前は刑事なんだぞ、マイコン!」

かつてジーパン(松田優作)も、自暴自棄になった時に同じ洗礼をボスから受けてました。藤堂チームの伝統ですね。

それで目が覚めたマイコンは、トシさんの手帳に記された捜査情報を元に、パソコンを頼らない「足で稼ぐ捜査」を実践し、犯人を追うのでした。

長い人生の中でも屈指となるであろう修羅場にぶち当たったマイコンは、果たして立ち直れるのか? かくも「おたく」に降りかかる容赦ない試練は、まるで『エヴァンゲリオン』を観てるようでw、我々の胸に突き刺さります。


#665 殉職刑事たちよやすらかに

七曲署捜査一係に送られて来た、1冊のスクラップブック。その中身は、マカロニからラガーに至るまでの、実に10名(!)の殉職を報じた新聞記事あれこれ。それ、欲しい!って、マニアはみんな思った筈ですw

「こんなに部下を死なせて、よくもぬくぬくと生きていられるな!」って事で、送り主はボスや山さんの命を狙って来ます。

敵の正体が不明となると、まずは遺族を疑うしかなく、一係メンバー達はゴリさんの父(下条正己)や元婚約者(水沢アキ)、殿下の元婚約者(香野百合子)、ボンの姉(沢田雅美)、ボギーの姉(有吉ひとみ)、そしてジーパンの母(菅井きん)らを訪ねて行く。

歴代のセミレギュラーキャストが続々と登場し、殉職刑事全員を回想、さらに長さん(下川辰平)も駆けつける等、オールドファンをこれでもかと感涙させてくれた、イベント性たっぷりの2時間スペシャル。出来ればジプシーやスニーカー、シンコも出して欲しかった!

ちなみに犯人は、殉職刑事達を過剰に崇拝するマニアックな現職警官(峰 竜太)でした。


#667 デュークという名の刑事

「人間は概ね、自分の利益のために他人を裏切る」……そんな信条を持つデュークは、我が身可愛さに他人を陥れる人間には、例え善良な一般市民であろうが容赦しません。

暴力団が絡む殺人事件を目撃しながら、報復を恐れて頑なに口をつぐむ中華料理店の店員・正(赤塚真人)を、デュークは徹底的に追い詰めます。だけどそれは、自らの生命を懸けて証人を守り抜くという、揺るぎない覚悟があっての事なんですね。

それを理解した正はデュークの捜査に協力し、再登場する第692話『捜査に手を出すな!』では逆にお節介が過ぎて、デュークに「捜査に手を出すな!」と叱られますw

なお前述の、鈍いデューク&ダサいマイコンの迷コンビによる超カッコイイ銃撃戦が観られるのがこのエピソードですw これがスコッチとボン(宮内 淳)のコンビだったら皮肉抜きでカッコいい名場面になったと思うんだけど……ある意味、必見ですw


#669 刑事にだって秘密はある!

マイコン刑事の代表作ですw それは冗談だけど、たぶんマイコンのキャラクターでなければ成立しない、究極にダサい刑事の姿が描かれた珍エピソード。

非番のマイコンがファミレスで会う予定だった老人が殺され、一係のメンバー達が事情を聞こうとしたら、なぜかマイコンは「刑事にだって秘密はあります!」とか言って逃げ回った挙げ句、コソコソと事件について捜査してる。見るからに怪しくて、ダサいですw

どうやら殺された老人がマイコンの何やら「秘密」を握っていたらしく、その証拠写真が行方不明になっちゃった。マイコン自身は「秘密」の内容を知らないんだけど、とにかく仲間に見つかる前に回収しようと奔走してるワケです。

果たして、その「秘密」とは一体何なのか? もちろん、究極にダサい結末が私たちを待ち構えてますw

こんな、まるで『噂の刑事トミーとマツ』みたいなエピソードが『太陽にほえろ!』で成立するのも、マイコンのダサさがあればこそ。良純さんにはホント、感謝の気持ちでいっぱいですw


#670 ドック潜入! 泥棒株式会社

強盗殺人犯の正体は、生命保険の代理店を隠れ蓑にした空き巣のプロ集団。ドック(神田正輝)は師匠の平山(殿山康司)から教わった金庫破りの腕前を生かし、組織に潜入します。

久々にドックの犯罪入門シリーズ、その上級編とも言えるエピソード。危険な潜入捜査もドックが主役だとシリアスになり過ぎず、そこが非凡で面白いし、カッコいいです。


#672 再会の時

殺し屋が絡む事件の捜査線上に、10年前に失踪したデュークの父親(北村和夫)が浮かびます。デュークが刑事になった目的はそもそも、父親を探し出す事でした。

いよいよ父と再会し、わだかまりが解けたラストシーン、デュークは初めて笑顔を見せます。彼が心から笑ったのは、任期1年間の中で唯一、この瞬間だけ……だったかも知れません。


#677 あなたを告訴する!

デュークが追跡してた飲酒運転容疑者の車が事故を起こし、ドライバーは即死。しかもその青年が実は酒を呑んでいなかった事が判明し、父親がデュークを殺人罪で告訴するという最悪の展開。

ところがデュークは非を認めないばかりか、青年が逃げた理由を突き止める為に捜査を強行、ますます父親を怒らせ、七曲署を窮地に追い込みます。

スコッチの初期を彷彿させる、デュークの冷徹さが堪能出来る1編ですが、せっかくのアクションシーンがイマイチ絵にならないのが、返す返すも残念です。マイコンよりはマシなんだけどw


☆1986年

#678 山村刑事の報酬なき戦い

新春第1弾は山さんが大活躍する2時間スペシャル。警察やら行政やらが町ぐるみで汚職を働く無法地帯に、山さんが単独で乗り込み不正を暴くハードボイルド巨編! ゲストは元宮崎県知事の元嫁=かとうかずこさん。あの頃はホント綺麗でした。

春、秋に加えて正月までスペシャルを放映してくれるなんて!と喜んだものの、いきなり山さんが単独で活躍ってのは一体どういう風の吹き回しなのか?……今思えば、この時すでに決まってたんでしょうね。山さんが、いつもそこにいて当たり前の存在だった山さんが、ああなっちゃうって事が……


#682 揺れる命

妊婦が轢き逃げされ、夫の承諾が無ければ胎児が摘出されてしまう状況に。妻の泉(渡瀬ゆき)も妊娠中であるブルースが、小さな生命を守るため父親探しに奔走します。

轢き逃げ犯を演じるのは竹中直人さん。ブルース=又野誠治さんも竹中さんも、かつて松田優作さんの物真似で世に出た者どうしで、なんだか不思議な組み合わせの共演となりました。


#683 獲物は狩人を誘う

幼女が誘拐され、犯人(深水三章)は身代金の受け渡しになぜかドックを指名。巧妙に仕組まれた罠によって、ドックは二度も身代金を奪われ、刑事生命を絶たれるか否かの崖っぷちへと追い込まれます。

極めてシンプルなストーリーながら、ドックが暴走バイクに引きずり回される等のハードアクションがふんだんに盛り込まれ、ラストの大逆転もまた痛快な、ドック屈指の傑作アクション編。

こういうハードなエピソードになると、決まって衣装が背広&ネクタイになるのが、ドックの特徴だったりします。今回は冒頭からシリアスモードで、一切オチャラケ無しの渋いドック刑事が堪能出来ます。


#684 美しき花の誘惑

トシさんのお陰でペイ中毒から立ち直った男(平泉 成)が、恩返しの為に密売組織と接触し、情報を得ようとして撃たれてしまう。

生命は助かったものの、治療に使われたモルヒネのせいで中毒が再発、トシさんは男と密室に籠もり、一緒になって禁断症状と闘うのでした。

かつてシャブ中にされた殿下が山さんと地下室に籠もった名作『鶴が飛んだ日』を彷彿させますが、病院の鎮痛剤で中毒が再発しちゃうという、麻薬の恐ろしさがリアルに伝わって来るエピソードでもありました。

地井武男さんと手錠で繋がった状態で、ペイ中の禁断症状を身体を張って熱演された平泉成さんは、かつてトシさん登場編にもゲストで登場し、アル中の役を熱演されてましたw


#688 ホノルル大誘拐
#689 キラウエア大追跡

石原裕次郎さんの体調が年々悪化し、年末年始のハワイ休養が長期化する事に。だったらみんなでハワイに行って撮っちゃおうって事で、『太陽』最後の海外ロケはハワイになりました。ゲストは佳那晃子さん。

多分このハワイロケに合わせての事だと思いますが、当時ブルースの髪型がドレッドヘアだったんですよねw スラム街の不良がやるような超いかつい髪型ですよ。いくら何でも刑事がそれは無いやろ!って思ったけど、番組スタート時におけるマカロニの長髪も、それ位のインパクトはあったのかも知れません。


#691 さらば!山村刑事

さて。これも「まさかまさか」でしたねぇ…… ゴリさん(竜 雷太)とはまた違った意味で『太陽』を象徴する存在で、ボス不在時には陣頭指揮も執った山さんが今になって、今さら殉職なんて!

だからって『太陽』ファンを卒業しようとか、その時は思わなかったけど、もはや日没が近づいてるような予感が当時、確かにあったのを憶えてます。『太陽』らしさ云々は別にして、残されたメンバーでは「弱い」気がしたんですね。まして山さんの後釜になれる俳優さんがいるとも思えないし。

露口茂さんは「刑事としてじゃなく、人間として死にたい」とリクエストされたそうです。養子・隆の実の両親が今になって「隆を引き取りたい」と言ってきて、その熱き想いに嘘がない事を悟った山さんは、隆の幸せを最優先に考え、最愛の息子を手放す決意をする。

某国の大使館員が絡む拳銃密輸の難事件を解決させた山さんは、久しぶりの休日を隆と2人で過ごし、自分が本当の父親ではない事を打ち明ける。この父子の歴史をずっと観て来た我々ファンはもう、この辺りからラストまで滝の涙が止まりません。

密輸組織の報復と思われる刺客と相撃ちになった山さん。家に電話をかけ、隆に「今から帰るから。先に寝てなさい」って伝えて、実際に帰ろうとするんだけど、力尽きて倒れちゃう。

いつもの殉職エピソードだと、仲間の死を知った一係メンバー達が1人1人、その刑事との思い出を回想したりするんだけど、これも露口さんのリクエストでしょうか、この回は知らせを受けたボスが「山さんが、死んだ?」って、呆然とした所で終わっちゃうアッサリ演出でした。

翌週からは山さんのいない七曲署が描かれるワケですが、とっても不思議な感じがしましたねぇ。新人刑事は代々入れ替わっても、山さんの枠だけは山さんにしか埋められない。山さんは山さんっていう1つのジャンルでしたから。いわゆる1つの山さんですよ。

しかも、それから程なくして、再びボスが長期療養を余儀なくされる事になります。『太陽にほえろ!』が終焉を迎える時が、ついにやって来たのでした……


#695 赤いドレスの女

マカロニ(萩原健一)時代からセミレギュラーとして活躍した、麻薬Gメン村岡房江(浜 美枝)の後継者として、元ピンクレディーのMIEさんが登場、マイコンと絡みます。

警察とGメンが同じ容疑者を追って対立する話は定番で、最近の刑事ドラマでもよく描かれてますが、こちらは’80年代作品でしかも大川俊道さんの脚本ゆえ、ラブコメ調のライトな仕上がりになってました。

MIEさんの洗練された佇まいと、マイコンの類い稀なるダサさが絶妙なコントラストでw、何とも不思議な味わいがありました。

『太陽』があのまま続いて行けば、おそらくMIEさんも歴代の新人刑事たちと絡んで行く予定だった……のかも知れないですね。


#700 ベイビー・ブルース

第600話に続いて、700回目もブルースがメインの話になりました。チームプレーが描かれるイベント的な話を見送ったのは、ボスが欠場中っていう事情からでしょうけど、当時の『太陽にほえろ!』をいかにブルースが支えてたかを物語ってるようにも思います。『太陽』がデビュー作となる新人俳優として、又野誠治さんは最後の人でしたからね。

この回で妻・泉が出産、晴れてブルースは父親となりました。ゲストは故・横山やすしさんの息子である木村一八さん。なかなかのイケメンでしたよね? もしかすると新人刑事候補の1人だったのかも知れませんが、今はどうしておられるんでしょうか……

ボスも山さんもいないこの時期、新聞のテレビ欄を見ると『太陽』のキャスト筆頭が神田正輝さんになってる非常事態。

その穴を埋めるべく(ギャラ予算も浮いた事だし?)この期間はゲスト俳優がやたら豪華でした。前述のMIEさんに萬田久子さん、美保 純さん、戸川 純さん、香坂みゆきさん、武田久美子さん、室田日出男さんetc…

『太陽』はレギュラーキャスト全員がそれぞれ主役として成立する番組ですから、ボスがいなくても何とかなっちゃうんですよね。だけど、いつまでもこの状態だと、さすがに苦しい。

いよいよ15年目を迎える七曲署に訪れた、未曾有の危機を救うべく、西部方面から強力な助っ人がやって来ます。

(つづく)
 
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