ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『誇りの報酬』#41

2019-01-21 13:25:40 | 刑事ドラマ'80年代









 
☆第41話『東京―仙台・追跡300キロ』

(1986.7.20.OA/脚本=柏原寛司/監督=小谷承靖)

結城刑事(伊藤 蘭)に何やら助けを求めていた川原という前科者が、日産自動車の販売店で射殺され、犯人のヤクザらしき男たちが陸送される新車の「サンタナ」を追って行ったとの目撃情報が。

そのサンタナはユタカ(堀 道広)という陸送ドライバーが運転し、販売先の仙台へ向かっているという。結城は芹沢刑事(中村雅俊)と二人で仙台へと走り、ドライブインでサンタナを発見。

ドライバーのユタカはヒッチハイクで拾った女の子・カオリ(可愛かずみ)と一緒にいるところをヤクザたちに襲われますが、すんでのところで芹沢&結城に救われます。

サンタナには何も怪しい物は積まれておらず、ユタカも心当たりは無いと言う。しかし、何も無ければヤクザたちが襲って来るワケがない。仕方なく芹沢と結城は、ユタカたちを泳がせてオトリ捜査に踏み切るのでした。

カオリは仙台へ行ったまま音信不通になった恋人を探しており、ユタカはそれにつき合うんだけど、何度もヤクザたちに襲われ修羅場を乗り越える内、二人の間に恋が芽生えるのはお約束の展開。

実はサンタナに覚醒剤が積まれていたのをユタカが隠し持ってた、っていうオチにも意外性はなく、今回も地方ロケ編にありがちな単純でユルいお話でした。

単純でもユルくても全然構わないんだけど、刑事側のドラマ(葛藤)や作者のメッセージ的なものが何一つ見当たらないのが、私にとってはすこぶる残念なところ。

でも、'80年代~'90年代のアクションドラマって、だいたいそうなんですよね。テーマだのメッセージだの、そんな辛気臭いものは「ダサい」「ノリが悪い」とされ、意識的に排除されてた時代。そんな感覚が更にブラッシュアップされて『あぶない刑事』が生まれるワケです。

そういう時代の産物なんだと割りきってしまえば、アクションの見せ場はふんだんにあるし、東京とは違った雰囲気が味わえるし、ゲストの可愛かずみさんは可愛いしで、充分に見所はあると思います。

なお、萩原刑事(根津甚八)は今回ロケには参加せず、警視庁の刑事部屋から電話で情報を送るだけ。スケジュールの都合なのか、シリーズ後半は芹沢と萩原が一緒に動く描写が少なくなってます。

ユタカ役の堀道広さんは、よみうりテレビ&東宝製作による高木淳也主演の30分ドラマ『青春はみだし刑事』(全17回)で相棒役を務められた俳優さん。『太陽にほえろ!』や『私鉄沿線97分署』『特捜最前線』『NEWジャングル』『ゴリラ/警視庁捜査第8班』等、多くの刑事ドラマにゲスト出演されてます。

そしてカオリ役の可愛かずみさんは、当時21歳。デビューはにっかつロマンポルノ『セーラー服色情飼育』だけど、不本意な出演だったらしくポルノはそれ1本のみ。にも関わらず、ボインぼよよ~ん!な素晴らしすぎるヌードは我々昭和男子の下半身を軒並みホット☆ホットにし、'80年代オナペットを代表する存在になられました。

シブがき隊の映画『ヘッドホン・ララバイ』出演あたりから一般的な知名度も獲得され、数々の映画やTVドラマ、バラエティー番組でご活躍。刑事ドラマは『ジャングル』『さすらい刑事旅情編』『ララバイ刑事』『はぐれ刑事純情派』『風の刑事・東京発!』『はみだし刑事情熱系』等にゲスト出演されてます。

ところが、恋愛スキャンダルをきっかけに自殺未遂を繰り返し、'97年にマンションから飛び降りて帰らぬ人になられました。たかが恋愛なんかの為に(それだけが原因とも限らないけど)、なんとも勿体ないことです。合掌。
 
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『誇りの報酬』#37

2019-01-21 00:00:09 | 刑事ドラマ'80年代









 
☆第37話『天草灘に落日を追え』

(1986.6.22.OA/脚本=長野 洋/監督=大洲 齊)

萩原刑事(根津甚八)が休暇を取り、別れた妻との息子である修一を連れて熊本一周旅行へと出掛けます。

もちろん、どこへ行こうと事件が追いかけて来るのが、昭和ドラマにおける刑事さんの宿命です。今回もまた、萩原に恨みを持つ犯罪者=吉川(片桐竜次)が絶妙なタイミングで刑期を終え、出所しちゃいました。

5年前に強盗傷害事件を起こした吉川は、萩原&芹沢(中村雅俊)コンビに追われて車で逃走、飛び出して来た通行人をはねそうになり、萩原がとっさにマグナムでタイヤを吹き飛ばし、強引に彼の車を止めた。その弾みで車は横転し、同乗してた妻子が死んでしまった。

やむ無き処置だったとは言え、吉川にとって萩原は愛する妻子の命を奪った仇。その萩原が息子を連れて九州旅行へ出掛けたと知って(どうやって知った!?)、吉川が放っておく筈がありません。

で、彼が萩原を追って九州へ向かったことを、これまた恐るべき捜査力で察知した芹沢も、九州へ飛びます。

かくして熊本・天草を舞台に、萩原VS吉川の追いかけ合いと決死の対決が描かれます。もちろん相手はあの片桐竜次ですから、義妹の真弓(桂木 文)を使って修一を人質に取るなど卑劣な手段に出ますが、後から駆けつけた結城刑事(伊藤 蘭)に真弓を説得され、最終的には萩原からフルボッコの刑を食らってあえなく撃沈。

こういう地方ロケ編にありがちな事ですが、ストーリーがシンプルなのは良いにしてもドラマが希薄で、どうにもレビューには向かない内容です。

前述のように事件が刑事の旅行先まで追いかけて来たり、犯人が観光名所をまんべんなく回って逃げたり等の強引さも、刑事ドラマ地方ロケ編の風物詩ではあるんだけど、それにしても『誇りの報酬』にはこういうフワっとしてると言うか、捉えどころの無いエピソードが目立ちます。

いや、それは'80年代中盤から'90年代にかけて創られたアクションドラマ全体に言える事かも知れません。要するに、中身が軽くなっちゃった。話が薄いってことですね。

それは脚本力が落ちたからと言うより、やっぱ時代の流れなんでしょう。視聴者が湿っぽいドラマを好まなくなったせいもあるし、世の中が豊かになって犯罪そのものの質も軽い(貧困や怨恨に起因しない)ものになって来た影響もあるでしょう。

本作の後番組『あぶない刑事』はそういう時代の変化に対応し、ゲーム感覚で犯罪を楽しむ愉快犯が敵になることが多くなりました。それが遊び感覚で捜査したり銃撃戦したりする刑事のキャラと見事にマッチしたんですよね。

『誇りの報酬』の芹沢&萩原コンビもかなりノリが軽くなってるんだけど、事件の内容がまだ中途半端に浪花節だったりして、うまくマッチ出来てない気がします。刑事ドラマの在り方が変わるちょうど過渡期で、新時代への橋渡し役を務めたのが『誇りの報酬』だった。そんな気がします。

ゲストの桂木文さんは当時25歳。'78年のドラマ『ムー一族』で女優デビュー、'80年の『翔んだカップル』連ドラ版のヒロイン役で注目され、翌'81年にヌード写真集を発表して世間を驚かせ、我々を悦ばせてくれました。

'90年代末まで数々の作品に出演され、刑事ドラマは本作のほか『刑事貴族』『刑事貴族3』『さすらい刑事 旅情編』『風の刑事・東京発!』等にゲスト出演。

ヌード写真は20歳の頃に撮られたもので、ファースト写真集は私も買いました。その節は大変お世話になりましたw
 
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