医療制度改革批判と社会保障と憲法

9条のみならず、25条も危機的な状況にあります。その現状批判を、硬い文章ですが、発信します。

推計人口雑感

2012年02月19日 | 社会保障

推計人口雑感

 

 

日本の将来人口推計が発表されました。これは国立社会保障・人口問題研究所が、国勢調査と人口動態統計の確定数が公表されたことを踏まえ、将来人口の推計を行ったものです。

「2048年に人口1億人割れ」「2060年には8674万人」「50年後は3分の2に激減・65歳以上が40%に」などとマスメディアが報道しています。

さらに、15歳から65歳までと65歳以上の人たちの比率から、高齢者を支える形が、今までは御神輿型であったものが、今後は肩車型になるとして、年金をはじめ社会保障が極めて厳しい状況になると、喧伝しています。

 

 この間、少子化対策などと叫ばれてきましたが、出生率はほんの少し改善されただけであり、ここ数十年にわたる低賃金政策により、若年層の就職難、就労しても派遣などの非正規労働者で、極めて不安定でかつ劣悪な労働条件におかれています。また、子育てに対する支援が不十分であることから、晩婚・非婚、既婚の少子が進んでいます。

若年層をはじめとして賃金労働条件の改善をすすめ、派遣・パートなど非正規労働者を安定した正規労働者とすることが必要であり、子育てに対する手厚い支援策が重要です。

人口が激減し、人口構成が大きく変動すれば、さまざまな困難が生じることは当然のことです。したがって、この人口推計を踏まえ政治的・社会的に介入し、出生率を向上させることが求められているのです。

 

政府・権力とマスメディアは、この推計を恣意的に利用し、高齢者を支える形が御神輿型から肩車型になるなどと、危機感をあおっています。しかし、これは数字上のトリックです。

なぜなら、労働力調査などで明らかなように、日本の総人口を、実際の労働に従事している労働力人口で割ってみると、一人の働き手が自分を含め約2名を扶養しており、それはこの100年間大きな変化はありませんし、今後も変わらないと思われます。その要因は、就労年数の上昇と女性の就労機会の増大です。

 

また、年金制度も危機的な状況にあると、デマ宣伝を繰り返しています。

たしかに、現役世代から徴収したものを、年金受給者に配分するという、「賦課方式」であれば、現役の勤労者が極端に減少すると、年金支給に支障をきたすことは考えられますが、日本の年金制度は、巨額の積立金を保有する「積立方式」です。

その150兆円とも、200兆円ともいわれる、巨額の年金積立金については、ほとんど触れられることはなく、その積立金を取り崩せば、年金支給について何ら支障はありません。

「法改正」により「賦課方式」に変更したとしていますが、積立金が消えてなくなったわけではなく、現状は、積立金運用益を給付に当てていることから、「修正積立方式」と呼ぶことが正確だといえます。

「賦課方式」では、積立金などは存在しませんし、支給調整のために幾ばくかの「手持ち資金」があれば事足りるのです。

 

この人口推計が、「社会保障と税の一体改革」という、「増税と社会保障の一体改悪」のために、恣意的に利用されていることに、留意したいものです。

                                                                                                                       2012.2.19     harayosi-2 



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