医療制度改革批判と社会保障と憲法

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確定申告が不要でも、住民税の申告は必要

2013年03月17日 | 税・公租公課

 確定申告が不要でも、住民税の申告は必要

 昨年(2012年)の確定申告から、公的年金収入の合計額が400万円以下で、その他の所得が20万円以下の年金生活者は、確定申告が不要となりました。

 税務署への確定申告が不要となった方々で、住民税の申告をしていなかったために、住民税はもちろんのこと、とりわけ国民健康保険料などが、大幅に増額になるという事態が発生し、昨年の6月中旬に、国民健康保険係へそして住民税係に、苦情や抗議が殺到することとなりました。

 昨年の事態から、税務署にも苦情や抗議が殺到したのでしょう、自治体・税務署それぞれが、案内のビラなどを作り「住民税の申告が必要になる場合があります」と、「お知らせ」がなされました。

 今年(2013年)は、多くの年金生活者が住民税の申告に来られていますが、対象者はやはり高齢の方であり、申告もれになっている方が少なくないと思われます。

 今年の申告時期は終了しましたが、住民税の申告はいつでもできますし、昨年分もできます。実例を紹介しながら報告しますので、自分自身や家族で申告もれになっていないか点検してください。

Nさんの事例

 Nさんは、公務員共済と厚生年金を受給しています。それぞれ長期間務めたことから、合計で350万円ほどの年金額になります。

 奥さんが長期入院していることから、大きな医療費控除があり、国民健康保険料などの社会保険料控除など、毎年確定申告をしてきましたが、しかし、所得税の還付を受けるのではなく、毎年数万円の追加の税を納めてきたのです。

 それが、昨年の確定申告は不要で、追加で所得税を支払う必要もなしということになり、「ラッキー」と喜んでいました。

 しかし、昨年の6月中旬に、国民健康保険料と住民税の通知を見て、「ビックリ」したのです。国民健康保険料が倍ぐらいに跳ね上がっているのです。住民税も上がっていました。

 Nさんは、さっそく国民健康保険係に出向き、健康保険料が上がった理由をただしました。「その理由は住民税が上がったから」とのこと、住民税係にその理由をただしたところ、「今年は医療費控除がなく、社会保険控除の金額が少なくなっていることから、課税所得金額が高くなり、住民税額が増額した」とのことでした。

 要するに、住民税の申告がなされていなかったために、医療費控除、国民健康保険料控除がなされていなかったのです。「その控除の申請をしてください」とのことでした。

 N さんは、税務署に提出予定をしていた資料を添付して、住民税の申告をしました。多少日時はかかりましたが、国民健康保険料も住民税も例年どおりの額に訂正されました。

 Nさんは、医療費控除のための領収書などを、きっちり保存していたことから、住民税の申告をすることができ、国民健康保険料や住民税の増額の通知に「ビックリ」はさせられましたが、結果的には追加で支払っていた数万円の所得税が軽減ということになりました。

 次は、私の父親の例です。

 父親は、公務員共済と少額の厚生年金を受給しています。後期高齢者ですが、介護保険料などは年金天引きされていますが、後期高齢者医療の保険料は年金天引きされていません。

 それは年金天引きのルールで、支給額の2分の1以上は天引きできない、また天引きの順位があり、厚生年金でだめなら次の共済年金でとはならないのです。

 少額の厚生年金では、後期高齢者医療の保険料が、引き去りできないので、納付書で本人が納めています。

 1昨年(2011年)は、長期入院がありその医療費控除と、後期高齢者医療などの社会保険料控除で、5千円ほどの所得税が、確定申告することで還付されました。

 昨年も還付申告は受け付けるということなので、試算してみましたが、通院となったことから医療費控除の額が少なくなり、逆に5千円ほど追加で、所得税を支払うという計算になりました。したがって住民税の申告としました。

 今年も同様で、住民税の申告としました。

 整理と解説です

 以上の2例から、1 還付を受けるための確定申告はできる。2追加で所得税を払うケースは申告不要で、支払いも不要。3 しかし、住民税の申告は必要で、しないと控除がもれることになる。ということなのです。

 次に、Nさんも父親も、追加で所得税を支払うということになるのは、年金天引きはそれぞれの年金ごとに、その支払い額で税額を計算して、天引きをしているからなのです。

 Nさんは、厚生年金の額が大きいので、所得税や介護保険料や住民税などが天引きされ、共済年金からは所得税が天引きされています。しかし、その税額はそれぞれの年金が、公的年金控除120万円を前提にして計算しているので、合算するとその120万円相当が、課税対象になるのです。

 父親の場合は、共済年金からは所得税が天引きされていますが、厚生年金は少額なので、所得税は天引きされていません。

 しかし、いくら少額といえども、合算すればその厚生年金部分が、課税の対象になります。

 次に、2つ以上の年金を受けている人から、追加の所得税を徴収すべきなのに、申告を不要とし納税も不要としたのか、という疑問があると思いますが、それは、説明が長くなりますので、次の機会にしたいと思います。

 住民税の申告も不要の方々

 住民税の申告をしなくとも不利益にならないケースを紹介します。

 年金が少額で非課税となっている人はもちろんのこと、医療費控除や生命保険料控除も地震保険料控除もなく、後期高齢者のように介護保険も後期高齢者医療の保険料も、年金天引きされている方々は、控除がもれることはありませんので、住民税の申告も不要です。

 それは、年金天引きされた社会保険料は、その報告が住民税係に届きますので、控除もれになることはありません。

 申告もれで負担増になっている

 医療費控除、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除などがある方々は、申告が必要です。所得税の還付がある方は税務署に、還付のない人は住民税の申告が必要なのです。

 住民税の申告をせず、控除もれで負担増になっているにもかかわらず、それに気が付いていない高齢者が、少なくないと思われます。

 Nさんのように、極端に国民健康保険料や住民税が増額になった場合は、気が付くでしょうが、少額の控除がもれていても、気が付いていない方々がたくさんいるのではないでしょうか。

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